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契約の基礎知識

消費者情報センターに寄せられる相談には、契約・解約に関わるものが多いため、消費者として知っておきたい契約に関する基本的なことがらをまとめてみました。

契約とは

現代は契約社会であるなどといわれ、「契約」という言葉をよく耳にします。契約というと難しいことのように思われますが、スーパーで買い物をしたり、自動販売機でジュースを買ったり、バスに乗ったりと、私たちは日常生活のあらゆる場面で契約を締結しています。

契約は、当事者間の「約束」であり、互いに対立する複数の意思表示(例えば売買では「売りたい」「買いたい」という意思表示)の合致により成立します。

契約は当事者間の約束ですから、契約書がなくても口頭で契約は成立します。また、一度結んだ契約は、一方の当事者から勝手にやめたり変更したりすることはできないのが原則です。契約をするときはくれぐれも慎重に考えましょう。

契約書とは

クレジットカードの申し込みをしたり、マンションの賃貸借契約をしたり、私たちは日常生活のさまざまな場面で契約書を作成しています。契約書を作成することの第一の目的は、お互いに約束の内容をはっきりさせておくこと、第二には、いったん結んだ契約書の内容をあとでトラブルにならないように証拠として残しておくことです。

契約書に署名なつ印するときは必ず内容をよく読み、理解した上で行うことが大切です。なつ印は、実印でも認め印でも法律上の効力は同じなので、認め印だからと気軽に押さないようにしてください。契約書は、なくさないように大切に保管しておきましょう。

契約をやめたいとき

契約は約束ですから、いったん契約したものを、一方的にやめることは出来ないのが原則です。しかしこれは契約がきちんと問題なく成立している事が前提ですから、そうでない時はやめることができる場合もあります。

契約の重要な部分について錯誤(思い違い)がある契約、公の秩序または善良の風俗に反する契約などは無効です。また、契約の相手に騙されたり、脅迫されたりして結んだ契約、未成年者・被後見人・被保佐人・被補助人が締結した契約などは取り消すことができます。この場合は、取り消すまでは契約は有効ですから、契約の相手方に取消しの意思表示をすることが必要です。

未成年者の契約

判断力が十分でない未成年者の保護のため、民法は、未成年者が法定代理人(両親等)の同意を得ないで締結した契約を、無条件で取り消すことができると定めています。ただし、次のような場合は取り消すことができません。

  • 親権者の同意を得て行った契約
  • 使用目的を定めて渡されたり、日頃小遣いとして与えられたお金で買った場合
  • 営業することを許された未成年者が行った、営業の範囲内での取引
  • 未成年でも結婚した(婚姻届を出した)者が行う契約
  • 未成年者が自分は成年者であるとか両親の同意があるなどと偽って、取引きの相手をだました場合

親権者の同意を得ずに契約をした未成年者が、成年になってから契約代金を支払ったり商品を受け取ったりすると、法定追認となり契約を取り消すことができなくなります。

取消しをすると、その契約ははじめからなかったことになり、未成年者の場合、「現に利益を受けている限度」において相手に返還しなければなりません。