デジタル取引における「ダークパターン」とは、利用者を特定の選択へ誘導したり、不利益な契約を締結させたりするウェブサイトやアプリの設計手法をいう。OECDは、こうした手法が利用者の自律的な意思決定を歪めるものと指摘している。
ダークパターンは消費者問題として論じられることが多いが、近年では中小事業者や零細事業者も被害を受けている。例えば、オンライン広告、クラウドサービス、業務用ソフトウェア等の分野では、自動更新条項の不明瞭な表示、解約手続の複雑化、追加料金の後出し表示などにより、小規模事業者が意図せず不利な契約を負担する事例がみられる。
中小事業者は法務担当者を置いていないことも多く、実質的には消費者に近い立場にある。今後は、消費者保護法制による知見も活用しながら、契約条件の透明化、公正なデザイン指針の策定、迅速な紛争解決制度の整備を進めることが重要である。デジタル社会の信頼性向上のためには、消費者だけでなく小規模事業者の保護にも目を向ける必要がある。