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TISネットワーク通信vol.40-COLUMN

消費者庁新未来創造戦略本部におけるJICA青年研修事業への取組について

消費者庁新未来創造戦略本部

 消費者庁新未来創造戦略本部(以下「未来本部」という。)は、政府関係機関の地方移転の一環として徳島県に設置され、全国展開を見据えたモデル事業や消費者政策の研究に取り組んでいます。さらに、国際業務の拠点として、国際消費者政策研究や国際シンポジウムなどの幅広い取組を展開しています。

 特に近年のデジタル化の進展に伴う消費者問題は、特定の国や地域にとどまるものではありません。インターネットを通じて取引や情報が国境を越える現在において、世界共通の課題であり、次々と現れる新しい問題を迅速に把握し、的確に対応するためには、国境を越えた連携が不可欠と考えています。

 こうした背景を踏まえ、未来本部では、海外の行政職員を対象とした人材育成が重要と考えているところ、令和7年度は、国際協力機構(JICA)や鳴門教育大学などと連携し、タイの若手行政職員を対象とした研修を実施し、日本の消費者行政や地方創生の取組について学んでもらいました。

 未来本部が担当した研修では、日本の消費者行政の歩みや、消費者庁や未来本部の役割について説明しました。こうした説明の中で特にタイの研修生の注目を集めたのは、全国の消費生活センターに寄せられる相談情報を集約した「全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)」の活用です。蓄積された相談情報を分析することで、消費者被害の傾向を把握し、政策に反映させている点は、研修生にとって新鮮な学びとなったようです。「自国でもこうした情報基盤を構築できれば、消費者被害の防止や政策形成に大きく役立つ」といった声もありました。

 また、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による消費行動の変化等に関する研究」における情報収集の手法も関心を集めました。本研究では、徳島の官民挙げての協力・参画という消費者庁新未来創造戦略本部の強みを活かし、とくしま生協と組合員の皆様の全面的な御協力を得て、生活協同組合という地域密着型のネットワークを活用して調査を行っており、行政の枠を超え、民間組織と連携して社会課題を把握するという手法が参考となったようです。

 タイの研修生と未来本部職員との意見交換では、タイと日本それぞれの消費者保護制度や課題について率直な意見が交わされました。制度や環境の違いはあるものの、人口減少や高齢化、地域格差といった共通の課題を抱えている点も多く、相互に学び合う貴重な機会となりました。

 未来本部は、こうした国際的な取組を通じて得られた知見を、国内の消費者政策にも生かしながら、消費者が安心して暮らせる社会の実現を目指しています。今後も国内外の関係機関と連携し、消費者行政の発展に取り組んでいきます。