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TISネットワーク通信vol.40-COLUMN

消費者トラブルを防ぐSNS利用法とは ~大学生への調査から~

鳴門教育大学大学院 学校教育研究科 教授 坂本有芳

SNS利用の拡大

 昨今、SNSを悪用した投資詐欺やロマンス詐欺、偽の広告による金銭要求などの被害が全国各地で相次いでいます。警察庁によるとSNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数・被害額は増加の一途であり、全国における2025年の認知件数は11月末時点で38,121件、被害額2,763.9億円にものぼっています。

 さて、私の周りにいる大学生・大学院生達は、SNSを日常的に利用しており、生活の一部として巧みに使いこなしています。そんなに使っていたら、思わぬ消費者トラブルに巻き込まれるのではないかと心配です。では、実際の大学生はSNSとどのように向き合い、消費行動を行っているのでしょうか。

大学生の利用状況

 2024年11月に全国の大学生を対象に「大学生のSNS利用と消費生活に関する調査」¹を実施し、606名から回答を得ました。

 大学生のSNS接触時間は1日2~4時間が最も多く、4時間以上利用する学生は全体の約半数に達しています。SNSは情報収集や人とのつながりに役立つ便利な存在として活用されている一方で、依存性や偽情報、個人情報流出といったリスクについても、多くの学生が認識していることが分かりました。

 ネットでの買い物や契約時の判断材料をたずねた結果では、家族や友人の意見が最も信頼され、SNS上に流れてくる情報はあまり信頼されていませんでした。また、レビューについては、肯定的な内容よりも否定的な内容や評価の高低が重視される傾向が確認されています。利用時間が長いことが気になりますが、情報の取捨選択には気を配っている様子がうかがえました。

消費者トラブルとの関連は?

 「フィッシング詐欺にあった」など消費者トラブルの経験9項目を9-36点に得点化し、様々な行動との関連を分析したところ、驚くべき結果が出ました。1日あたりのSNS利用時間によってトラブル経験得点は統計的にも有意に異なるのです。6時間以上の利用はトラブルに遭いやすいことが示されました(図)。

 また、SNS以外のメディアを定期的に利用する学生は、トラブル得点がやや低い傾向がありました。例えば、新聞やテレビを併用する層は平均9.6~9.8点で、SNSのみ利用層(約10.8点)より統計的に有意に低い結果となりました。気になったのは、テレビを使わず、テレビ局によるニュースサイトを見ている層はトラブル得点が高かったことです。情報源は同じでも、媒体によって影響力が異なることは意外でした。現在の動画配信など、視聴者の興味関心に合わせたお薦めを次々と表示するフィルターバブル現象の危険性が指摘されていましたが、視野を広く保てない弊害を実証したひとつの結果になったのではないかと思います。

トラブルを防ぐために

 調査から浮かび上がった、消費者トラブルに遭いやすい特徴は以下の囲みのとおりです。

 AIも急速に発展し、デジタル手段はどんどん便利さを増しています。しかし、調査の結果から言えることは、デジタル経由の情報との付き合いはほどほどにして、情報を取り入れる際にも慎重になることが重要だということです。大学生を対象とした調査結果ではありますが、多くの世代の人にも参考にしていただければと思います。

¹NACS(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会)西日本支部の協力を得て実施しました。