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TISネットワーク通信vol.40-REPORT(CLAIR)

サステナブルな観光地選び

一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR) ロンドン事務所

 国土の約3分の1を森林が占める自然豊かなノルウェーでは、持続可能な観光の推進を通じて観光地としての魅力を高めるため、サステナブル・デスティネーションプログラムを展開しています。これは、観光が環境や自然、地域社会に及ぼす悪影響を長期的かつ体系的に軽減すると同時に、社会的・経済的・文化的な側面における良い影響を拡大することを目的とした、観光地の認証制度です。

 このプログラムは、国および地方公共団体が株主のイノベーション・ノルウェーの主導により、2013年から実施されています。現在では約50の観光地がこの認証を取得しており、認証にあたっては、気候変動への対応に加え、すべての人への安全かつ満足度の高い体験の提供、地域の文化的アイデンティティの尊重と発展、地域・観光事業者の経済的持続性及び競争力の向上など、多様な視点から設定された指標に基づいて評価が行われます。

 評価プロセスを経て認証を受けることは、一定水準のサステナビリティが認められた地域であることを示すと同時に、より高い水準の持続可能性の実現に向けた長期的な取り組みが継続的に進められている地域であることを意味します。また、認証を受けた地域は、その規模などに応じて補助金を受けられるというメリットもあります。

 認証された観光地は、3年ごとに再評価を受けることが義務付けられており、直近の認証時点における取り組みからの明確な進捗が求められます。評価基準も適宜見直されており、二度の改定を経た現在の基準では、5つのテーマ、31の基準、84の指標が設定されています。これには現状を測定する指標に加え、将来的に再認証を受けるために改善や発展が必要となるパフォーマンス指標も含まれています。

 ノルウェー第2の都市で、世界遺産ブリッゲン地区を有するベルゲンも、サステナブル・デスティネーションの認証を取得しています。フィヨルドクルーズといった涼しい気候の中で休暇を楽しむ「クールケーション」の地として人気を集めるベルゲンでは、サステナビリティへの取り組みが観光振興において重要となっており、持続可能な観光地づくりが積極的に進められています。

 地域のホテルは客室ベースで約97%がサステナブル関連の認証を取得しており、年間1,000件以上の国際会議が開かれるという国際都市として、主要な会議場もすべてサステナブル関連の認証を取得しています。さらに取り組みに賛同する飲食店の86%がフードロス削減に取り組むなど、地域全体で環境負荷の低減等が進められています。

 観光客への意識啓発にも力が注がれており、公共交通機関の利用促進や、地元特産の海産物などを積極的に楽しんでもらう地産地消、宿泊や体験等の地域事業者からの直接購入など、さまざまな取り組みが呼びかけられています。また、ベルゲン周辺に1~2日長く滞在することも推奨しており、滞在日数が延びることで、観光客は周辺地域をより深く体験できるだけでなく、人流の抑制による二酸化炭素排出量の削減にもつながるとされています。

 ノルウェーだけでなく、フィンランドもサステナブル・トラベル・フィンランドプログラムと呼ばれる同様の取り組みによって、観光分野における持続可能性の確保が図られています。このようなサステナブル認証を取得した地域を旅先とするといったエシカルな選択は、地域と旅行者の双方にとっての利益をさらに高めてくれることでしょう。

ベルゲンの街並み