2020年7月に開設された消費者庁新未来創造戦略本部には、消費者政策についての研究及び国内外の研究機関との連携等を行うことを目的とする国際消費者政策研究センターが設置されています。同センターでは、デジタル化等の消費者を取り巻く環境の変化や高齢化の進展等によるぜい弱な消費者の増加といった新たな政策課題等へ対応するため、行動経済学、消費者法、老年精神医学、社会心理学、データサイエンス等の専門家が参画して理論的・実証的な消費者政策研究プロジェクトを推進してきました。
同センターでは、これまで20の研究プロジェクト(令和7月8月現在。実施中のものを含む。)が実施され、その成果を発信してまいりました。このTISネットワーク通信でも「テキストマイニング技術を用いた消費者問題の傾向分析」(2024.5月発行 vol.30)など、その成果の一部を紹介してきたところです。
(これまでの研究成果は、消費者庁ウェブサイト国際消費者政策研究センターのページ(https://www.caa.go.jp/policies/future/icprc)から御確認いただけます。)
そして、このたび、同センターの設置から5年を迎える節目として、「国際消費者政策研究センターに関する研究運営懇談会」を開催することといたしました。この懇談会は、依田高典研究センター長や黒木理恵新未来創造戦略本部次長に加え、同センターに所属する研究官も参加し、同センターの機能拡充や研究官相互の学際的な交流等に向けた意見交換を行うものです。
令和7年8月25日(月)に、オンライン形式で懇談会を開催したところ、同センターにおける研究等に関する基本方針、体制、中長期的な課題などについて活発な意見交換がなされました。例えば、「デジタル化の進展を踏まえて、デジタル分野の研究の比重を増やしてもよいのではないか。」、「基本方針の柱にある消費者の脆弱性については、従来の『若者と高齢者が脆弱である』という考え方は見直した方が良いのではないか。」など、同センターの発展に資する御意見がたくさんあったところです。
こうした懇談会を開催するなどして同センターの機能拡充を図ってまいりますので、今後の取組について、より一層御注目いただければ幸いです。