「持続可能な未来へつなぐ、エシカル消費の“実践”~『宣言』から『提言』へ~」
徳島県のホームページ上で、令和7年7月24日(木)に行われた「海外大学等とのオンライン交流会」のレポートが公開されました。
今回の発表では、各大学がそれぞれの国で取り組んでいるエシカル消費に関する実践例が共有され、マイボトルの持参、省エネを促すシールの設置、ハンドブック等の配布、食品アクセス困難地域での調査、色分けされたゴミ箱の活用促進、食品廃棄物の堆肥化等、多様な活動が紹介されました。
一方で、エシカル消費を推進する上での課題としては、一般的な認知度の低さや、継続的な活動を支える人的資源不足等が挙げられました。
意見交換では、「エシカルな商品を購入するという一歩を、どう踏み出すか」といった参加者に共通する課題意識に基づく問いかけもなされました。
これに対し「エシカルな商品を選ぶことは、自分自身の価値観の表現につながる。世界が抱える様々な問題への配慮であることを考えると手に取りやすくなるのではないか」といった意見も寄せられました。
内容についてまとめたページを
徳島県ホームページ上に公開しておりますので、是非ご覧ください!
〇日本語ページ
https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/kurashi/shohiseikatsu/7306141/
〇英語ページ
https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/kurashi/shohiseikatsu/7306268/
8月25日~27日に「とくしま高校生エシカルサミット2025」が開催されました。テーマは「食から見た、世界の課題とエシカル消費」です。「エシカル甲子園」の進化版として、この3日間のイベントは、高校生等の若者が、フィールドワークや意見交換を通じてエシカル消費の視点を組み込みながら、未来の社会を形作る力を身につけることを目的としています。
イベントは四国大学交流プラザで開催され、初日に徳島県教育委員会教育長:中川斉史氏と日本エシカル推進協議会長:生駒芳子氏の開会挨拶で幕を開けました。続いて、横浜国立大学:西村隆男名誉教授の司会によるパネルディスカッションが行われ、4名のパネリストが発表を行いました。パネリストは、農林水産省:坂下誠氏、 ソーシャルグッド・プロデューサー:石川淳哉氏、元エシカル甲子園参加者であり(株)八芳園交流コンテンツプロデュース:藤井実音氏、西オーストラリア州エディスコーワン大学3年:シャーロット・ブラウン氏(オンライン参加)が登壇され、各々が所属組織で現在行われているエシカルな取組を紹介しました。その後、全国各地の高校から集まった約60名の学生で構成される12グループが、四国大学・加渡いづみ副学長のファシリテーションのもと、グループワークを行いました。参加者は、これまでの知識とパネルディスカッションで学んだことを基に、日本や世界が直面する課題解決に向けた発表テーマをブレインストーミングしました。
2日目は高校生たちがフィールドワークを体験しました。3つのコースに分かれ、徳島県内のエシカルな経営に取り組む地元企業・農場の現場を訪れました。訪れた先では、SDGsの達成を意識した取組(地産地消、放置竹林活用、循環型農法、食ロス削減、傾斜地農耕システム、耕作放棄地活用など)が行われています。現地視察後は、残りの時間をプラザに戻りプレゼンテーションの準備に充てました。
最終日となる3日目には、12のグループが、食に関するエシカル消費の視点から日本と世界が直面する課題の解決に向けたアイデアを発表しました。生徒たちの投票により、3つの賞が選ばれました。受賞者のグループと、発表の簡単な説明は以下のとおりです。
★ベストパフォーマンス賞:エシカル消費の重要性が最も伝わるプレゼンテーションをした発表者に贈られる賞
7班: 育てよう、食べよう、繋がろうプロジェクト
注目ポイント:主に空き家問題と高齢者の孤独問題の解決を目指す。空き家については、若い起業家がオーナーとなってカフェを経営する。一人暮らしの高齢者には、自宅のスペースを貸してもらい、食料を栽培できるようにする。こうすることで、空き家が減り、高齢者の孤独感を軽減し、地域社会との関わりを深めることができる。同時に、地産地消と地域活性化が促進される。
★ナイスアイデア賞:創造性と独自性に優れ、ユニークなアイデアのプレゼンテーションをした発表者に贈られる賞
2班: エシカルを吸い込もう!
注目ポイント:既存の解決策を改善し、問題をさらに軽減することを目指す。プラスチック製ストローに代わるマイストローの普及促進において、ストローの長さが固定されているため、消費者にとって飲料容器に合わせて様々な長さのストローを持ち歩かなければいけない問題点が生まれている。そこで「ロケットストロー」を通じてこの問題を解決しようとする。ロケット鉛筆のように、積み重ねて使用することで、利用者が好みの長さに調整できるストローを提案する。
★とくしまサステナブル賞:持続可能性で地域に根ざした内容のプレゼンテーションをした発表者に贈られる賞
10班: 宝の畑で一獲千金!
注目ポイント:耕作放棄地をエシカル作物の栽培試験場へと転換することで、エシカルな作物の栽培方法を発見し、成功した事例(エシカル作物の栽培に成功したもの)を販売することを目指す。かつては役に立たないとされていたものも再利用できるようにし、人々に食のエシカル消費に対する意識を高めることを目指す。
表彰式と認定証の授与後は、西村名誉教授による総括講評が行われ、徳島県知事・後藤田正純氏の閉会の挨拶でイベントは終了しました。
個人的には、今回のサミットで生徒たちが実際に現場を訪れ、これらの問題解決に取り組んでいる企業の話を聞き、その方法を見学する機会が与えられたことは良かったと思います。見学で得た経験は各グループに、明らかなプラスの効果を与え、素晴らしいアイデアに満ちた発表の大きな要素になったと思っています。
今回、生徒たちの発表を通して、私たち消費者も「フードロス」という問題について考える機会を得ました。しかし、データ(単なる数字)でしか情報を見るにとどまっているため、消費者は一般的に問題の深刻さをあまり実感していないように思われます。例えば、多くのグループのプレゼンテーションでは、日本の食品廃棄物の量(トン数)が世界上位(14位)であることに言及していました。しかし、私たちはその膨大な量をどれほど認識しているでしょうか?参加した高校生達は、今回のプログラムで課題を発見し、解決策を構想することを体験的に学ぶことが出来ました。この経験を生かし今後、実践やさらなる課題の発見など、探求を深める中で、生徒たちは問題の深刻さを実感し、行動を起こすための決意をより強く持つことができるでしょう。
私たちは常に、若者は未来のリーダーであり、希望だと言い続けています。しかし、私たち大人には、彼らを正しい道へと導く責任があります。人類の存続を望むなら、私たち自身を救うために自らの役割を果たさなければならないからです。このようなイベントは、若者をその道へと導く方法の一つだと思います。だからこそ、この取り込みが継続され、エシカル消費の輪が広がっていくことを願っています。
関連サイト
https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/kyoiku/gakkokyoiku/7303758/
(概要等に関しましては、以上のURLからご確認いただけます。)