日本において、まだ食べることができる食品が、生産、製造、販売、消費等の各段階において日常的に廃棄され、大量の食品ロスが発生しています。食品ロスの問題については、2015年9月25日の国際連合総会において採択された持続可能な開発のための2030アジェンダにおいて言及されるなど、その削減が国際的にも重要な課題となっています。政府は、世界には栄養不足の状態にある人々が多数存在する中で、とりわけ、食料の多くを輸入に依存している我が国として、真摯に取り組むべき課題であるとし、「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」を定めました。
食品ロスを削減していくためには、消費者が日々の生活の中で食品ロスを削減するために自らができることを考え、例えば買い物時の「てまえどり」や、無駄なく食品の備蓄ができる「ローリングストック法」など、できることから行動に移すことが大切だと思います。また、社会の変化に伴い消費者の暮らしも多様化し、冷凍野菜やカット野菜、加工品、ミールキットの需要が増えました。生産段階における規格外や未利用の廃棄をできるだけなくし、積極的に加工品やカット野菜へ転用、活用していくことが家庭での調理の大きな助けとなるだけではなく、キッチンでの無駄な廃棄を出さず、食材を使い切ることにつながります。このような取組をサプライチェーン全体で進めていくことも大切です。
外食の際にはその場で食べ切ることを前提としつつも、やむを得ず食べ残してしまった場合には、「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン」に基づいて、料理を持ち帰ることも食品ロス削減につながります。
消費者、事業者、行政、それぞれが役割を果たしながら連携・協働して取り組むことが、公平で持続可能な消費者市民社会の形成に大きく寄与することと思います。