イギリスのエシカル・コンシューマー誌では、1999年から毎年Ethical Markets Reportを公表し、エシカル市場規模を推計してきました。2024年11月現在、2023年12月に公表された2022年の市場推計が最新情報として掲載されており、市場規模は約1410億ポンド、日本円で約22兆8510億円(2022年の年平均交換レート:1ポンド=161.92円で換算)にも及ぶことが示されています。
市場レポートでは、以下の項目をエシカル消費のカテゴリーとして設定しています。
2023年の数値は、1999年の調査開始以降、ほとんどのセクターで成長が鈍化していることが指摘されています。しかし、市場調査と並行して実施した世論調査では、エシカルな選択を行うことの関心は低下しておらず、イギリス経済の厳しさを反映しているようです。
このように市場規模が時系列で把握できることにより、イギリス国民のエシカル消費の水準が明らかになるだけでなく、マーケットに与える影響も「見える化」することができ、企業や行政、消費者それぞれの役割も明確になってくるように思います。
2024年10月、イギリスの推計手法を参考に、日本でもエシカル市場規模調査が公表され、約8兆円であることが明らかになっています。これは東京経済大学 渡辺龍也名誉教授を中心にしたプロジェクトで、筆者も参画しましたが、初めてということもありデータが十分に整備されておらず、加えることができない数値も多くあり残念な思いをしました。この先、エシカル消費の市場規模を「見える化」する取組を日本にも根付かせることができれば、消費者への啓発アプローチを超えて、企業や行政のエシカル消費を促進させるための環境整備を加速させる、新しいエシカル消費推進のステージに進むことができるのではないかと期待しています。