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TISネットワーク通信vol.32-REPORT(ジャイカ)

独立行政法人国際協力機構(ジャイカ) 海外協力隊 仁木 博子(派遣国:スリランカ、職種:体育)

 スリランカは日本の紅茶輸入相手国の第一位(注)で、最近特によく知られるようになりました。自然豊かなスリランカとの間では、ゴム、ヤシ、スパイス、黒鉛なども取り引きされています。まずは紅茶の容器に目を向けてみてください。その原材料となる茶葉のはじまりから私達の手に届くまでの間にある過程を想像する一つの手がかりとなるでしょう。

 スリランカでの生活は日本と違うことが多く、初めは驚きの連続でした。たくさんのご飯にスパイスを豊富に使ったおかずを包んでいるのは、大きなバナナの葉です。それを皆でシェアしながら手で捏ねて五感をフルに使って楽しみます。食べきれなかった分は、道端に置きます。それを犬や猫、カラスなどが食べます。日本では燃えるゴミとして処分されることがほとんどの残飯ですが、スリランカではコンポストして再利用されています。

 私は普段、体育教育の質の向上、スポーツ機会の充実に向けて学校で活動しています。体育は6~9年生が必修、10・11年生は選択教科となっています。子どもたちは体を動かす経験が乏しく、疲れやすい、怪我をしやすいといった実態があります。体力テストを実施したところ、どの種目も日本の数値を大きく下回る結果でした。授業はルールや理論を学ぶ座学中心の内容です。そこで、実技が教育課程に組み込まれている学校では、簡単なルールのある遊びを通して体を動かす楽しさを感じてもらえるよう工夫しています。

 また、自分のこれまでの経験を活かしてハンドボールクラブを立ち上げました。未知のスポーツを始めることはソフト・ハード面で課題が山積でした。そんな中、恩師が現地に来てワークショップを開いてくれたり、高校時代の友人がボールを、恩師に繋がる方達が衣類を寄付してくれたりしました。日本から来たボールを使ってみんな生き生きと動いています。今後も人との繋がりを大切にしながら子どもたちのより良い成長に関わっていきたいです。

(注)農林水産省輸出・国際局国際経済課「農林水産物輸出入概況 2023年(令和5年)」
 https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kokusai/index.html#r