2024年9月1日に消費者庁は設立15周年を迎えました。これに先立ち7月23日に三田共用会議所において消費者行政の15年を振り返るとともに、これからの15年を考えるシンポジウムを開催しました。当日は会場参加とオンライン視聴により多数の参加を得て、成果発表、基調講演、パネルディスカッションを行いました。
成果発表は、消費者庁の職員2名が担当し、消費者庁の設立以降の消費者問題と消費者行政の歩みを振り返りました。加えて、デジタル化や高齢化の進展、個人の価値観の多様化など変化する社会の中で消費者庁はどのような組織・姿勢で臨んでいくべきかについて考えが述べられました。
次に、英国の経済ジャーナリストであり、欧州有数の未来学者であるヘイミシュ マクレイ氏に「Japan’s bright future - and how consumers will shape it」と題した基調講演を頂きました。
同氏は、日本が高齢化や生産年齢人口の減少などの課題がある中で、高齢者の力の活用によって経済を成長させ、高品質な高齢者向けの商品やサービスを生み出していることは、同じ問題に直面するであろう世界の先駆者として有益な先例・希望になっているとの見解を述べるなど、明るい未来を想起させる内容でした。
最後に、龍谷大学法学部教授のカライスコス・アントニオス氏の進行により、パネルディスカッションを行いました。新未来創造戦略本部の酒井啓課長補佐、(株)電通の吉田健太郎氏、(株)第一生命経済研究所の宮木由貴子氏、(株)三菱総合研究所の藤本敦也氏の4名を迎え、「目指すべき未来」「そうした未来に向けて各主体に期待される役割」について意見が交わされました。
紙幅の都合ですべての意見を紹介できませんが、前者のテーマでは、多くのパネリストからウェルビーイングがキーワードとしてあげられ、未来では個人の価値観にあった消費による心の豊かさや満足度の向上などがより重要になるのではないかとの意見がありました。
また、後者のテーマでは、行政は目指すべきビジョンを明確化すること、事業者は自社の社会的存在意義を認識し、自社の商品やサービスを通じて良い社会のけん引役となること、消費者は示されたビジョンに対して受け身でなく、より良い未来に向けて声をあげることなどの意見がありました。
本シンポジウムを通じて、1人の行政職員としてより良い消費生活の実現のために努力する決意を新たにしました。本稿を御覧になった皆様も良い未来とは何か考えて頂ければと思います。