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TISネットワーク通信vol.28-REPORT(ジェトロ)

プラスチック廃棄物削減へ、対策が官民で進む(英国) ジェトロ地域・分析レポート(2023年12月28日掲載)より

独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)徳島貿易情報センター

 国連では2015年、「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択された。これに基づき、各国で対策が進められており、英国でもプラスチック廃棄物削減の一環として、使い捨てプラスチック製品の禁止対象拡大などの取組が行われている。

 イングランドでは以前から、「ストロー」「マドラー」「綿棒」については、使い捨てプラスチック製品を販売することが禁止されていた。英国政府は2023年1月、その禁止対象をさらに追加すると発表した。追加されるのは、「カトラリー」「皿」「トレー」「ボウル」「風船の棒」「特定のポリスチレン製カップ・食品容器」である。今回の措置の背景として、使い捨てカトラリーの低リサイクル率が指摘されている。政府によると、英国では使い捨てカトラリーが年間約27億個、使い捨て皿が約7億2,100万枚、使用されている。リサイクルに回るのは、そのうちわずか10%にすぎない。

 これを受け、英国企業は対応に迫られている。食品関連団体、ブリティッシュ・テイクアウト・キャンペーンはBBC(英国放送協会)の取材に対し、企業に対する支援が必要と訴えた。代替品の切り替えには、コストがかかり、テイクアウトを提供する店舗を経営する小規模事業者は、その費用を価格に転嫁せざるを得ないためである。

 一方、既にプラスチックを使用していない飲食店がロンドン市内だけでも複数存在する。ベーカリーE5ベイクハウスは、5年前から脱プラスチックに取り組み、堆肥化可能な生分解製容器、利用者が再利用可能なカップやテイクアウト用の箱を使用している。また、利用者にカップの持参を推奨。持参していない利用客には、スタートアップ企業「リユーサー」が提供する再利用カップを使うことができるサービスを導入済みである。

 英国の各スーパーマーケットでも、プラスチック削減のため野菜などのプラスチックトレーを除去したり、木製カトラリーを配布するなどの取組みがなされている。

カフェで使用される紙製のふたと100%リサイクル材のペーパーナプキン(ジェトロ撮影)
スーパーマーケットで配布される木製カトラリー(ジェトロ撮影)