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TISネットワーク通信vol.28-REPORT(クレア)

エコスコア導入で進むフランスのエシカル消費

 フランスでは2020年に施行された「循環型経済のための廃棄物対策法」や、2021年に市民からの政策提言をもとに策定された「気候変動対策・レジリエンス強化法」に基づき、持続可能な社会の実現に向け多様な取組みが進められています。

 2021年からはフランスのIT企業や市民団体により、食品の環境への負荷を評価した「エコスコア」が導入されており、環境への負荷が低い順にAからEへと区分されています。エコスコアは現在商品パッケージには表記されていませんが、アプリケーションを使用し商品のバーコードを読み取る事で、食品の製造過程を含む環境負荷を容易に確認することができ、これにより事業者に対しては環境負荷を考慮した製品の製造を、消費者に対しては消費行動を促しています。

 エコスコアについて、前述の「気候変動対策・レジリエンス強化法」に基づき、2024年からは衣料品への導入が予定されています。政府は繊維業界における環境への影響について、繊維生産に係る温室効果ガスの排出量が飛行機の国際線や海運による排出量を上回ることや、生産にあたって大量の水が使用されていることから重要な課題として位置づけており、事業者及び消費者の意識改革が求められています。

 評価にあたっては、製造過程で必要となる水量、マイクロプラスチックの排出量、農薬や化学物質の使用状況など8つの基準が設けられます。今後、食品だけでなく衣料品についても環境への影響を明確にすることで、環境に配慮した消費行動の推進に寄与することが期待される一方、事業者の経済活動への影響も大きいことから、具体的な評価方法など、今後どのようにルールが運用されていくのか注目が集まっています。

 フランスではこのほかにも、衣料品や電化製品の修理費の一部について政府が補助する仕組みがあり、消費者に製品を長く使うよう促しています。エシカル消費の推進に向けた意欲的な取組みから今後も目が離せません。