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TISネットワーク通信vol.25-COLUMN

消費者志向経営と製品安全に係るセミナー開催

古川 博康(消費者庁新未来創造戦略本部)

 消費者庁新未来創造戦略本部は、経済産業省四国経済産業局とともに、それぞれが推進する「消費者志向経営」と「製品安全」の意義を広く知っていただくため、本年6月6日(火)、「消費者志向経営×製品安全セミナー ~知ってみよう、選んでみよう、みんなのことを考える企業~」を開催いたしました。
 消費者庁では、事業者が消費者(※)と共創・協働することにより、地域や社会の課題解決に寄与し、社会全体の持続可能性向上を目指す「消費者志向経営」を推進しています。そして、各事業者が、消費者志向経営に誠実に取り組むことについて自主宣言を行うとともに、そのフォローアップを行う活動(消費者志向自主宣言・フォローアップ活動)を呼び掛け、企業の取組の普及を図っています。
 また、経済産業省は、事業者における製品安全に対する意識の向上と、事業活動や消費生活において製品安全を重要な価値として定着を図ることで、製品安全が持続的に向上していく、消費者にとって安全・安心な社会の構築を目指しています。
 今回のセミナーでは、消費者志向経営の概要や製品安全の意識に関する講演に加え、ウイルス飛沫による感染対策をしながら口元の表情が視認できるマスクの開発や、建築家・大学生・企業の3者の連携による古い倉庫街を開発する町づくり事業、高齢者の転倒予防のための個別の状態を踏まえた細やかな靴づくり等、優れた取組を実践している事業者から実際の取組事例を交えた講演をいただきました。また、会場では、登壇企業による消費者志向経営や製品安全等に関するパネル・パンフレットや製品等の展示のほか、徳島県や、独立行政法人製品評価技術基礎機構(NITE)によるパネルや事故品の展示も行いました。
 当日はあいにくの空模様でしたが、会場(高松サンポート合同庁舎)は満席となり、オンラインによる参加も合わせると合計約160名のお客様にご参加ご視聴いただき、大盛況となりました。
 本セミナーを通して、消費者が消費者志向経営と企業の取組に対して理解を深め、商品・サービスの選択における判断材料の一助としていただくとともに、事業者における更なる取組への機運醸成になる契機となれば幸いです。
 なお、セミナー当日の動画につきましては、本年夏頃にYouTubeの消費者庁公式チャンネルにて公開を予定しておりますので、ご興味ございます方は、ぜひご覧ください。


 ※消費者志向経営の「消費者」とは、現在の顧客に限定せず、事業者が提供する商品・サービスを将来利用する、又は関与する可能性のある主体(自社従業員、取引先、地域住民など)すべてを指しています。
 

「サステナブルファッションに関する日EU国際シンポジウム 」について

東 佑里子(消費者庁新未来創造戦略本部)

 消費者庁新未来創造戦略本部では、令和5年6月20日に「未来を変えるサステナブルファッションの可能性~日EUの取組~」をテーマに、「サステナブルファッションに関する日EU国際シンポジウム」を開催しました。
 サステナブルファッションが注目されることとなった背景には、衣類の原材料調達から生産、使用、廃棄の各段階での環境負荷等の様々な社会課題が内外で指摘されたことにあります。環境負荷としては、例えば、ファストファッションの需要拡大により、大量生産・大量消費のもと世界全体で、毎秒トラック1台分の衣服が埋め立て又は焼却処分され、人間活動で排出される炭素の10%が衣服生産段階で排出されていることがあげられます。環境負荷以外にも、衣類の製造段階における人件費を抑えることを目的とした、委託生産先である発展途上国での低賃金・長時間労働や児童労働も問題視されています。
 これらの課題に対し、EUでは世界に先駆けた取組を行っており、人権デューデリジェンスや循環経済実現のための法規制も進んでいます。2022年3月には持続可能な製品のためのエコデザイン規則案を公表し、この規則案の公表とあわせて持続可能な循環型繊維戦略も公表しています。この戦略では2030年までにEU域内で販売される繊維製品については、耐久性があり、リサイクル可能で、リサイクル繊維の利用を増やし、危険物質を含まず、労働者の権利や環境に配慮したものにするという目標を掲げ、デザイン要件の設定、情報提供の強化、過剰生産・過剰消費の廃止、未使用繊維製品の廃棄禁止等の対策が提言されています。
 本シンポジウムの第1部の基調講演では、EUの行政機関・事業者団体の方から、人権デューデリジェンスや循環経済実現を目指した法制度や、事業者による持続可能な衣料品サプライチェーン構築に向けた取組などを御紹介いただきました。第2部のラウンドテーブルでは、繊維産業における環境や人権への配慮に関するガイドライン策定などの取組について、経済産業省から御説明いただきました。また、日本の事業者からは、環境負荷の少ない天然素材の活用など、サステナブルファッションに関する先進的な取組を御紹介いただくとともに、サステナブルファッションに取り組む学生にも登壇いただき、その更なる推進に必要な連携などについて意見交換を行いました。本シンポジウムの詳細は、消費者庁ウェブサイトで公表していますので、御興味のある方はぜひ御覧ください。
 その他、消費者庁では、サステナブルファッションにどう取り組むべきか、どのような事業者がリサイクル素材の使用や衣類の回収、リペアやアップサイクルの支援などの取組を行なっているか等について、ウェブサイト「サステナブルファッション習慣のすすめ」等にて情報発信をしています。こちらもぜひ御覧ください。
 サステナブルファッションに関する日EU国際シンポジウムURL
 https://www.caa.go.jp/policies/future/topics/meeting_015/
 サステナブルファッション習慣のすすめURL
 https://www.ethical.caa.go.jp/sustainable/index.html
 

・第2部ラウンドテーブルの写真