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TISネットワーク通信vol.24-COLUMN

企業の持続可能性と消費者志向経営との関係性に関する研究

組橋 美佳 (消費者庁新未来創造戦略本部)

 消費者庁では、持続可能な社会の実現に向けて、事業者が「消費者」と「共創・協働」して「社会価値」を向上させる経営を「消費者志向経営」と定義し、事業者が消費者志向経営を行うことが当たり前となる社会の実現に向けた環境整備に取り組んでいます。消費者志向経営における「消費者」とは、現在の顧客に限らず、事業者が提供する商品・サービスを将来利用する又はそれらに関与する可能性のある主体(自社従業員、取引先、地域住民など)すべてを指しています。
 未来本部では、消費者志向経営を一層推進するための施策を検討するにあたり、基礎となる情報を収集するため、四国にある創業300年以上の老舗企業を対象としてその事業活動を調査し、その中から消費者志向経営につながる要素を探ることにしました。
 日本は世界と比較して老舗企業が多いという特徴があります。老舗企業であるということは、消費者のニーズに応えた商品・サービスを長きにわたり提供し、消費者からの支持を受け続けてきたのではないかと考えられます。すなわち、老舗企業では意識的に、または無意識的に消費者志向経営を実践しているのではないかという仮説を立てました。
 そこで、四国に所在する創業300年以上の事業者うち御協力を得られた16社に対し、先行研究として老舗企業の特徴とされる事項(下掲(表1))を基にインタビュー等の調査を行った上でその中で明らかになった取組について、事業者が消費者志向経営を認識・理解するためのガイドを用いて考察しました。
 その結果を取りまとめたものが(下掲(表2))であり、「評価項目」はガイドにおいて消費者志向経営の実践のために必要又は推奨されている項目です。実際に老舗企業が行っている取組がどの項目に該当するかを分類したところ、老舗企業の多くにおいて、その様々な事業活動の中で消費者志向経営につながる取組を実践していることが分かりました。
 詳細については、2023年3月に消費者庁ウェブサイトで成果を公表(以下URL参照)しています。各事業者の具体的な取組をまとめた事例集も併せて掲載しておりますので、興味のある方は、ぜひご覧ください。

 報告書(プログレッシブ・レポート)の公表ページURL:https://www.caa.go.jp/policies/future/icprc/ 
 

(表1)インタビュー調査項目
(表2)結果
(表2)結果