シンガポールでは近年、植物代替肉や細胞培養肉などフードテック関連のスタートアップが急速に集積している。その背景には政府が積極的に代替肉産業を支えるエコシステムを整備しているほか、人々の環境や健康に対する意識の高まりもある。
同国では近年、植物由来肉や細胞培養肉など代替肉を提供する飲食店が増えている。都心部の高級食材店フーバーズ・ブッチャリーで2023年1月から、米国のイート・ジャストが開発した鶏の細胞培養肉の販売が限定的に始まった。2022年1月には中華街の一角に、豆などの植物由来の代替肉を販売するアジア初の植物由来の専門肉店「ラブ・ハンドル」が開店した。また、大手バーガーチェーンのマクドナルド、バーガーキングやケンタッキーも2021年以降にそれぞれ植物代替肉を使ったバーガーの提供を始めた。このほか、主要なスーパーマーケットでも、植物代替肉の缶詰や冷凍食品の取り扱いが増えている。
こうした代替タンパク食品を開発するフードテック分野のスタートアップも近年、シンガポールに集積しつつある。米アグリフードテック専門のベンチャーキャピタル(VC)のアグファンダーによると、シンガポールには2022年11月時点で、30社以上の代替タンパク質を開発する企業が拠点を置いており、なかには商業生産の開始を目指しているスタートアップもある。
しかし、本格的な商業生産に当たっては課題もあり、予定されている商業生産の規模は依然として小さく、そのため製品販売価格も高額となる。この解決手段として、細胞培養肉に植物代替肉を混ぜたハイブリッド製品を開発すれば、コストを削減できる可能性などがある。
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