ISO(国際標準化機構)の組織のもと、COPOLCO(消費者政策委員会)は、消費者の視点から国際規格化の必要性や有益性、また消費者参加の促進の検討などを行っています。昨年11月、全国消団連では国際活動専門委員会の主催でISO/COPOLCOの学習会を開催しました。
学習会はCOPOLCO国内委員会委員長でもある一橋大学名誉教授の松本恒雄さんより消費者政策における標準化の役割とISO/COPOLCOの最近の動向について、主婦連合会会長の河村真紀子さんより新規国際規格提案の経緯と現状をお話しいただきました。
学習会の報告はこちらをご覧ください。http://www.shodanren.gr.jp/Annai/797.htm
標準化はすべてのステークホルダーの参加のもとコンセンサスベースで作られるソフトローであり、とりわけ消費者の意見をきちんと反映させるためにも、消費者の参加は重要です。普段感じている問題から、それが標準化というプロセスを通じて対応可能かどうかを考え、可能なら提案をしてみるということが重要とのお話でした。
現在、主婦連合会から提案された「消費者事故調査」の標準化作業が行われています。なぜ消費者事故調査の標準化なのか。これは河村さんがシンドラーのエレベーター事故、パロマの湯沸かし器事故などの被害者遺族の方からお話を聞く活動の中で、事故を繰り返さないためには再発防止のための調査をしなければならない、つまり処罰や責任追及と事故調査の峻別の必要性が見えてきたことにあります。事故の直接の引き金となった要因だけに着目するのではなく、その背景に目を向け要因の連鎖をたどる視点が重要であり、これはどの分野の事故にも共通しているという気付きから国際標準化提案にトライされました。
2012年のCOPOLCO総会で資料を配布してから10年かかりましたが、ISOにドラフトを登録するところまで来ました。河村さんはこれまでを振り返って、流ちょうに英語を話せなくても言うべき言葉が頭の中にあること、そして各国のメンバーをまとめたり、オンラインシステムを使いこなすスキルも必要だが、最後は思いの強さとあきらめない心、この気持ちが大事だということをおっしゃっていました。