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TISネットワーク通信vol.23-COLUMN

「新型コロナウイルス感染拡大の影響による消費行動の変化等に関する研究」について

安井 杏奈(消費者庁新未来創造戦略本部)

 新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、私たちの生活は大きく変化しました。感染拡大初期には、マスクやトイレットペーパーの買占め行動が広く見られたほか、マスクの転売や不良品・粗悪品の流通、詐欺的商法が横行し、消費者に混乱が生じました。
 消費者庁新未来創造戦略本部では、非常時における消費者の購買行動の解明と、非常時における適切な情報発信の内容及び方法の検証を目的として、新型コロナウイルス感染拡大の影響による消費行動の変化等に関する研究を進めています。

 この研究の一環として、2021年3月に全国における消費者を対象に実施したウェブ調査のデータを用い、緊急事態宣言下の消費生活の変化の有無・程度、当該変化に影響した要因に加え、消費者の属性・特徴と非常時に最も重視する情報源の関係等を分析しました。

 分析の結果、感染拡大当初から約1年で、消費者の生活は感染拡大以前と比べて変化しており、特に友人・知人との交流時間が大きく減少していました。これは緊急事態宣言の対象地域か否かではなく全国的にみられた変化でした。時間の経過に伴って、消費者の生活変化は徐々に落ち着いてきましたが、感染拡大以前の生活に戻る動きについても、緊急事態宣言の対象地域か否かの違いは限定的でした。心理面では、むしろ宣言対象外地域で、僅かながら不安が大きい傾向がみられました。
 生活の変化に影響する要因として、収入の減少には「パート・嘱託・自営業等」といった非定型の就業形態が挙げられました。また、買物の頻度及び友人・知人との交流時間の減少には「女性」などが要因として挙げられた一方で、非常時といえども買物の頻度を変えることが難しい可能性も示唆されました。
 また、消費者が非常時に最も重視する情報源として、特に消費者の年代に違いがみられ、中でも行政による情報は、高齢層や教育歴の長い層が重視している傾向がありました。

 分析結果の詳細については、消費者庁ウェブサイトで報告書を公表(以下URL参照)していますので、興味のある方は是非ご一読ください。

報告書(プログレッシブ・レポート)の公表ページURL:https://www.caa.go.jp/policies/future/icprc/research_002/