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TISネットワーク通信vol.22-COLUMN

デジタル時代のコミュニケーション

坂倉 忠夫(公益社団法人消費者関連専門家会議(ACAP)専務理事)

 持続可能な社会に向けて、事業者と消費者が共創し、消費者志向経営とエシカル消費の好循環を回していく必要がある。そのための基盤は、消費者と事業者の双方向のコミュニケーションによる信頼関係の構築である。

 デジタル化の加速を背景に、消費者のコミュニケーション手法も変化してきており、事業者へ直接申し出る消費者は減少傾向にある。今後事業者はコミュニケーション強化に向け3つの方向に進むであろう。第1はコミュニケーションチャネルの多様化である。チャット、有人チャット、LINEなどノンボイスチャネルを中心に多様化が進んでいく。第2は自己解決手段の拡充である。ホームページのQ&A、チャットボットなど、消費者がいつでも好きな時に自分で解決を図れるセルフソリューションチャネルの強化が進む。特にチャットボットはコロナ禍で一気にトレンド化した。第3は事業者からの能動的なコミュニケーションである。外部Q&AサイトやSNSで消費者がお困り事などを書き込みすると、事業者が公式アカウントとして回答や解決策の提示を行うものである。
 消費者が事業者へ申し出る際のチャネルは、日本では電話やメールの比率が高いが、米国ではライブチャットやSNSへの投稿を利用する消費者が多く、ある調査によるとどちらも利用率は2割を超え、日本の2倍以上である。日本でもコミュニケーションのデジタル化が今後加速していくであろう。

 今後事業者は消費者との接点を増やしてコミュニケーションを進化させることが必要である。ただし、デジタルに頼るのではなく、デジタルと人との融合、オンとオフの融合により最適なコミュニケーションを図ること、さらには、チャネルだけでなくコンテンツが重要であり、消費者が知りたい情報を伝えることが望まれる。一方、消費者も自身でアンテナを広げて情報収集し、事業者に適切な意見を申し出るとともに、消費行動により持続可能な社会に向け参画をしていくことが望まれる。