2022年12月27日、徳島市でエシカル甲子園2022(主催:徳島県教育委員会・徳島県、後援:消費者庁ほか)の本選が開催されました。エシカル甲子園は、エシカル消費の推進や実践を行う高校生等が日頃の取組の成果や今後の展望等について発表する場を設け、特に優れたものを表彰する行事です。2019年12月に第1回を開催し、今回で4回目の開催となります。
エシカル消費とは、地域の活性化や雇用等も含む、人や社会、環境に配慮した消費行動のことです。エシカル消費の例としては、生産者の生活向上や環境保護を目指して適正価格で取引するフェアトレード商品、地元産の農産物や障がい者支援につながる商品、リサイクル製品、資源保護に関する認証マークが付いた商品等を購入するといったことが挙げられます。
エシカル甲子園2022では、全国から応募のあった76校の中から、予選審査を経て選ばれた12校が本選に出場し、発表しました。
本選では、コロナ禍で長期間にわたって学校生活が制限されている中でも、高校生等が地域住民や企業・団体と協力しながら、主体的に社会的課題の解決に取り組んでいる様子が伝わってきました。審査の結果、宮城県農業高等学校は、海洋ごみの原因となるプラスチックカプセルを使用しない肥料の開発に取り組み、開発した新肥料を使用した稲の生育を調査・検証し、新肥料の商品化を実現したことが評価され、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)賞を受賞しました。また、愛媛県立大洲農業高等学校は、地域で大量廃棄される「バショウ」という植物を再利用した「芭蕉和紙」の果実袋を開発し、プラスチックごみとして廃棄される果実袋を削減したことが評価され、消費者庁長官賞を受賞しました。各校の取組は、高校生ならではの豊かな感性と柔軟な発想に基づいて創意工夫されており、非常に素晴らしいと感じました。
消費者庁では、高校生を始めとした若い世代にエシカル消費に興味・関心を持ってもらうために、学校現場等で分かりやすく学ぶことができる学習教材を作成し、配布しています。また、エシカル消費特設サイトを活用し、個人や企業・団体のエシカル消費につながる取組を紹介して情報発信しています。
若い世代を中心としたエシカル消費に関する積極的な取組が、今後もより一層拡大していくことにより、より良い社会やより良い未来の創造に繋がっていくことを期待しています。
エシカル消費の学習教材の公表ページ
URL:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/ethical/material/
エシカル消費特設サイト
徳島県では県内に24あるすべての市町村において、消費者安全確保地域協議会、いわゆる見守りネットワークの設置が完了しています。この見守りネットワークは、どのような人たちを見守り、どのような取組を行っているか御存知でしょうか。
まず、見守りネットワークとは、消費者安全法に基づいて設置することができる、高齢者や障がい者等の「配慮を要する消費者」の方たちを見守るためのネットワークです。見守りネットワークに参画している団体及び個人を構成員と呼びますが、警察や地域包括支援センターなどの行政機関に留まらず、社会福祉協議会などの福祉関係者、銀行やコンビニなどの民間企業が構成員となっている市町村もあります。見守りネットワークの構成員が消費者トラブルと思われる事案を発見した際には、本人の同意を得ることなく、見守りや被害救済に必要な情報を消費生活センターなどへ提供することができます。これは、消費者安全法の規定により個人情報保護法の例外規定が適用されることになるため、個人情報についても必要な限度での提供が許されるためです。
一般に、消費者トラブルに対しては、消費生活センターに相談があった案件について対応する、いわば「待ち」の態勢であることが多いといえますが、見守りネットワークを設置することにより、日ごろから消費者と接する機会がある構成員が、実際に現場で発見した消費者トラブルを消費生活センター等に繋ぐことができるといった「アウトリーチ」の機能を確保することが可能になります。これにより、消費者トラブルを早期に発見したり、未然に防止することできるという点が、見守りネットワークを設置する最大のメリットだと言えます。
消費者庁新未来創造戦略本部では、この見守りネットワークの取組を充実させるために様々なモデルプロジェクトにこれまで取り組んできました。消費者庁ウェブサイト(後掲のURL参照)にて我々のこれまでの取組を御覧いただけますが、そちらに掲載されている「徳島県から県下市町村への情報の共有」に関する取組について、御紹介させていただきます。
例えば、徳島県では、県内における全ての消費生活相談のうち、約3割~4割が徳島県消費者情報センター(徳島県の消費生活センター)に寄せられています。これらの相談に対する対応自体は同センターでなされるものの、継続的な見守り(福祉サービスへの繋ぎや、発生した消費者被害に対するケア等)が必要だと思われる場合であっても、個人情報保護法により徳島県と市町村間での個人情報の共有が制限されるために、相談者の居住する市町村等へ案件の十分な共有ができないという課題がありました。そこで、消費者庁新未来創造戦略本部と徳島県とが連携したモデルプロジェクトにおいて、見守りネットワークの構成員同士であれば、個人情報の共有ができるという見守りネットワークの仕組みを活用し、徳島県が各市町村の見守りネットワークに構成員として参画することによって、市町村等に対し、継続的な見守りに必要な情報を共有できる枠組みを構築しました。徳島県内の見守りネットワークにおいて、このような体制を作り、実際の運用を開始することで、同センターに寄せられる相談案件についても、地域での見守りに繋げることが可能になるなど、見守り活動の更なる充実に寄与することができました。
今後も、各市町村における見守りネットワークの活動をより良いものにするためにはどうすれば良いか、消費者トラブルの未然防止や早期発見のためにどうすれば良いか、消費者庁新未来創造戦略本部としても、引き続き様々な方向から検討を進めてまいります。
消費者庁HP「消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)の取組」
URL:https://www.caa.go.jp/policies/future/project/project_007/