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TISネットワーク通信vol.21-REPORT(クレア)

エシカル消費とインフレに揺れるフランス

クレア パリ事務所
スーパーマーケットで売られているBIOのじゃがいも

 フランスでは昨今、大規模な火災や干ばつなど気候変動の影響が甚大になってきたことで、身近なところから環境を守る取り組みを始めようと、環境にやさしいオーガニック食品を好む人が増えてきました。また、コロナ禍で外出制限された際には、自宅で自ら料理をする「手作りブーム」が巻き起こり、野菜や肉、魚といった健康に良い生鮮食品を取り扱うオンラインスーパーなどが注目されるようにもなりました。

 しかし、ウクライナ問題に端を発するインフレが、こうしたエシカル志向や健康志向にブレーキをかけ、現在フランスでは、オーガニック食品産業が大きな困難に直面しています。
 一般的に、オーガニック食品は通常の食品と比較しておよそ40~50%ほど割高であると言われているところ、今年9月にフランス国内の食品価格が全体として約10%上昇するなど、急激なインフレが起こったことが、オーガニック食品業界にとって大きな打撃となっています。これまでフランスのオーガニック食品市場は、毎年2桁台の成長を記録していましたが、2021年以降は後退が続いています。更に、2022年にはインフレの影響によりオーガニック食品の消費率が-15%と大きく反転してしまい、多くのオーガニック食品の専門店が閉店に追い込まれる事態となりました。

 先日フランスで行われた調査では、およそ2人に1人が、気候変動に良い影響を及ぼす製品やサービスに対して高いお金を払いたくないと回答しており、オーガニック食品は得られる利益と比べて価格が高すぎると考えられているようです。インフレを背景に一般家庭の家計が厳しくなる中で、消費者が環境保護や自身の健康についてどのような消費行動をとるのか、フランスにおけるエシカル消費の今後が注目されます。

スーパーマーケットの中のBIO食品(ナッツ、コーンフレークなど)
お問い合わせ
危機管理環境部 消費者くらし安全局消費者政策課
電話番号:088-621-2175
FAX番号:088-621-2979
メールアドレス:shohishaseisakuka@pref.tokushima.jp