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TISネットワーク通信vol.20-REPORT(クレア)

デンマークにおける食料品向け気候影響度ラベル

クレア ロンドン事務所
写真:洗濯機のエネルギーラベル

 EUでは、冷蔵庫や洗濯機などといった特定の電化製品に「エネルギーラベル」を表示することが義務付けられています。これは、消費者がエネルギー消費効率のより良い製品を選ぶことを可能にするとともに、製造業者がエネルギー消費効率のより良い製品開発を促す狙いもあります。

 EUが2050年までに達成を掲げているカーボンニュートラル実現に向けた1つの手段として、このエネルギーラベルのような考え方が、食料品にも取り入れられる動きが出てきました。

 デンマークは、この動きにいち早く対応を始めた国の1つです。2022年4月16日、デンマーク食糧農業水産省は、食料品向け気候影響度ラベルの開発に向けて900万デンマーククローネ(約1億6700万円)(※1)の予算を確保し、動き出しました。ラベル案を作成するためのワーキンググループも設立され、2022年末までにラベル案が提案される見込みです。

 政府管理のもとで食料品向け気候影響度ラベルを作る取り組みは、国としては世界初の試みです。食料品の生産時に発生する環境影響度合を表示することを目的として、カーボンフットプリント(※2)がこのラベルに示されるようになるため、環境にとって良い方法で食料品が作られているどうかを消費者が容易に確認できるようになります。

 一方で、この制度に対する課題もいくつか指摘されています。まず、このラベル表示は義務ではなく任意であり、強制力はありません。また、環境に配慮した数多くのラベルが既に存在しているため、消費者が数多くの食料品ラベルにより混乱してしまうのではないか、といった懸念もあります。

 しかし、人や地域、環境などに優しいモノを購入する「エシカル消費」は、SDGsの目標とも重なることから、今後の大きなトレンドとなる可能性も十分にあるところです。上記のようなラベルをきっかけとして、消費者がより環境に優しい選択をするようになり、その結果として、気候フレンドリーな食料品がますます増えていくという好循環が生まれるかどうか、注視していきたいと思います。

(※1)2022年7月6日のレート適用時。1デンマーククローネ18.56円。
(※2)商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を CO2に換算して表示する仕組み。
 

(参考)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/03/b3eb2914f74f3a2a.html
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sangi/carbon_neutral/pdf/001_04_01.pdf
https://www.dailyscandinavian.com/voluntary-climate-labelling-in-denmark/
https://www.nycfoodpolicy.org/food-policy-snapshot-denmark-climate-label/
https://www.foodnavigator.com/Article/2022/04/19/denmark-first-country-in-the-world-to-develop-its-own-climate-label-for-food

お問い合わせ
危機管理環境部 消費者くらし安全局消費者政策課
電話番号:088-621-2175
FAX番号:088-621-2979
メールアドレス:shohishaseisakuka@pref.tokushima.jp