文字サイズ

やさしいブラウザ・クラウド版はこちらからご利用下さい

令和6年度 小学生及び中学生の「税についての作文」

小学生の「税についての作文」は、徳島県下の6法人会が主催し、中学生の「税についての作文」は、全国納税貯蓄組合連合会及び国税庁が主催してそれぞれ募集しています。

令和6年度の徳島県における応募状況は、小学生の「税についての作文」は98校が参加し、1,144点の作品の応募があり、中学生の「税についての作文」は73校が参加し、4,840点の作品応募がありました。たくさんの応募作品の中から特に優秀な作品を掲載します。


徳島県知事賞

美馬小学校 5年 園原 陸 さん

人と人をつなぐ税金

 今年の一月、ぼくの弟が生まれました。笑顔がとてもかわいいです。弟は、月に一度病院へ行って予防接種をうけています。多いときには五本も注射を打ったことがありました。この間はBCGというワクチンを打ちました。腕に跡が残っていて痛そうでした。打った時も、たくさん泣いたと母から聞いたのでかわいそうだなと思いましたが、こわい病気から弟を守るための注射だそうです。そして、すべての赤ちゃんが予防接種を無料で受けられることも母から教えてもらいました。そのために税金が使われているそうです。外国ではワクチンを受けられず、亡くなってしまう赤ちゃんもいることを知りました。ぼくたちの命も税金で守られているのだと感じました。

 そして、ぼくがお店ではらった消費税もだれかの命を救うかもしれないと思うと、なんだかうれしくなりました。自分の気づかないところでだれかの笑顔につながっているなんて、すてきなことだと思います。学校でも、友達から助けてもらうこともあるし、自分が助けることもあります。税金も同じで困ったときや大変なときに、おたがいが助け合うためのものだということが分かりました。

 一人の小さな力では、どうしようもできないことでも、みんなで力を出し合うとできることがあります。今まで税金は、みんなが出し合う「お金」というイメージがありましたが、税金には人と人をつなぐ役わりがあって、そこには目には見えないけど、みんなの「やさしさ」がつまっているのだと思います。ぼくも学校で当たり前のように使っていた教科書や机、いすなどが税金を通してたくさんの人たちの「やさしさ」がこもっているものだということを忘れずにいたいです。

 みんなが笑顔でいられるように。みんなのたった一つしかない命を守るために。これからも税金が大切に使われてほしいと思います。


羽ノ浦中学校 3年 梶川 心愛 さん

夏と税金

 「体温チェック表持っていっとるで?」朝からお母さんが大きな声を出して、プールバッグを持って、目をきらきらと輝かせ、嬉しそうな私の弟と、楽しそうに話している。どうやら、弟の通う小学校で水泳の授業が始まったそうだ。私が自転車に乗り、登校している最中にも、プールバッグを持ち、嬉しそうに歩く小学生をたくさん見た。とても微笑ましく、私までワクワクした。

 私の中学校では、残念ながら水泳の授業がない。だから私は弟に「プールいいな。」とよく話していた。すると父は毎回「プールも税金が関係しとんやで。」と嬉しそうに話す。私の父は、こういう税金の話が大好きだ。よく日本と日本とは別の国との比較動画を見せてくる。すべて税金が関係しており、メインになっている動画だ。「救急車を呼ぶのにお金が必要だから、救急車を呼ばない。」なんて動画も見たことがある。とても驚いて父の顔を見たら、また父は嬉しそうな顔をする。私が三年生になってからそんなことが多くなったように思う。だからなのか、今年の夏は異様に税金について敏感になっていた。水泳についてもそうだ。プールバッグを持ち、楽しそうに笑っている小学生を見ると「税金のおかげなんだな。」と考えるようになった。ニュースでは、熱中症関連の報道がよくされるようになった。私の町でも救急車のサイレンがたくさん聞こえる。「救急車を呼ぶのにお金が必要だから、救急車を呼ばない。」なんてことなく、救急車を呼ぶのに躊躇することもない。安全を第一に考えることができるのも、税金のおかげなんだと考えた。夏休みに入り、夏祭りにも行った。橋の上に花火を見に来たたくさんの人がいる。小さな子が、花火の真似をしながら座ったり跳ねたりして、その周りの大人たちが優しい目で見ている。親子、おばあちゃんと浴衣を着た小さな女の子、手を繋いだカップル、友達と来た人たちが「綺麗だね。」と楽しそうに話している。SNSでは音楽と共に流れる花火の映像を何度見たことか。私の視界が花火に染められるぐらい大きな花火は本当に綺麗で音と共に心に残った。あれも自治体の税金が関わっていることを知り、祭りで見た花火が鮮明に蘇った。

 今年の夏は税金についてたくさん考え、理解を深めることができた。命を救う行動にも、楽しくてたまらない行事も、学校での勉強もだ。私が今座っているこの椅子も、原稿用紙を置いている机も、そばに置いてある社会の教科書も税金によって無償で配られている。

 税金は人々を助けるだけではない。人の心を豊かにし、感動させることもできるのだ。学習する前は正直「なんで税金なんて払わんとあかんのやし。」と思うこともあった。だが、この夏を通して税金の大切さを再確認することができた。来年も再来年も、税金が大きく関わり、素敵な夏を送れることを、今からとても楽しみにしている。


鳴門教育大学附属中学校 3年 小松 凛 さん

税金とともに創る未来

 「痛っ!」今年の五月、昼休みに友達と遊んでいた時に、階段を踏み外した。足首が腫れていたので保健室に行って応急処置をしてもらったが、念のために病院へ行くことに。その時に先生から手渡されたのが、日本スポーツ振興センターと書かれた紙だった。友達がもらっているのは見たことがあったが、自分が手にするのは初めてである。どういった案内なのか分からなかったため、病院での待ち時間に母に聞いてみることにした。母は私に、医療費を支給してくれる制度だと教えてくれた。私はそのお金の資金源が気になり、家に帰ってから調べてみた。

 日本スポーツ振興センターの資金源は、国からの出資金やスポーツくじの売上金、共済掛金などである。この国からの出資金というのが税金だ。まさか、こんな場面でも税金が使われているとは思っていなかったので、とても驚いたのを覚えている。今までは、税金の使い道といえば、国の借金の返済や公共施設の整備などの印象を強くもっていた。これは、私が怪我をしなかったら気づけなかったことだと思う。税金について、自分の知識不足を知らされる機会となった。

 まだ中学生の私たちは、納めている税金といえば、消費税しかない。しかも、それはとても身近なものになりすぎて、私はあまり税金を納めている感覚になることはない。だから、今までは税金について興味をもつことはなかった。しかし、この出来事を通して、自分も税金を納めている国民の一人としてしっかりと考えていかなければいけないと強く感じる。これまではどこか他人事として捉えていた部分があるが、自分事として捉えていく必要があると思った。

 最近、税金について耳にすることといえば「増税は嫌だな。」や「負担が大きい。」などのマイナスの声ばかりだ。私も以前までは「大人になったら納める必要のある税金が増えて大変だな。」「消費税がアップしてほしくないな。」と思っていた。しかし、税金は社会保障や公共事業など、いろいろな面から私たちの暮らしを支えてくれている。それは、税金のプラス面だと思う。それが当たり前になりすぎて、目を向けている人が減っているのだ。こういったプラス面にも目を向ける人が増えれば、マイナスの声を持つ人が減っていくだろう。

 これから、私たち若い世代も年齢を重ねていき、税金を納める機会も、税金に支えられる機会も増えていくだろう。税金を納めることは私たち国民の義務であり、これからもずっと果たさなければいけないものだ。だからこそ、今のうちに税金についての知識を身に着けておく必要があると思う。税金は私たちの暮らしを豊かにし、より良い未来へとつなげてくれる大切なものだ。その重要性について考え続けるとともに、より良い未来を創っていく一人として税金を納めていきたい。