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令和2年度 小学生及び中学生の「税についての作文」

小学生の「税についての作文」は、徳島県下の6法人会が主催し、中学生の「税についての作文」は、全国納税貯蓄組合連合会及び国税庁が主催してそれぞれ募集しています。

令和2年度の徳島県における応募状況は、小学生の「税についての作文」は63校が参加し、873点の作品の応募があり、中学生の「税についての作文」は55校が参加し、3,597点の作品応募がありました。たくさんの応募作品の中から特に優秀な作品を掲載します。


徳島県知事賞

藍住東小学校 6年 長井 陽依 さん

当たり前をつくってくれた税

 私は昔、消費税というものの意味を知りませんでした。なので、小さいころ、お母さんといっしょに買い物に行った時は、いつも自分達は損させられている気分になりました。それはもちろん値札に書いてある値段とは異なる、高い金額をお母さんも他の人達もみんな買うたびに払っていたからです。

 でも、その考え方は六年生になって変わりました。自分達が税金を払う事で学校や公園ができているのだと知ったからです。なので消費税も自分達のためになる役割がある、という考えに変わっていきました。

 そしてまず、消費税が何に使われているのかを調べました。調べてみると、子育て、医療、介護、年金といった社会保障四経費というものに使われていました。やっぱりどれも生活をするために必要で、役に立ってくれるものに使われていました。

 その中でも私が消費税を使っていることに嬉しく思ったのは医療です。その理由は、社会保障の医療で自分達が一番身近に払っている消費税が使われているということは、自分達がだれもが平等に差別を受けず、手術をしたり、病気になったら病院へ行く、ということを当たり前にするために必要だと思えたからです。同時に自分達が消費税を払うことで遠くはなれた所に住んでいる人も、会ったことがない人でも、一人一人が笑顔になれて、そんな現実をつくっているのが、みんなや私だということを知れました。

 このように、私が初めは疑問に思っていた事も調べるとすばらしい役割を持っていました。そして、消費税のような税は自分達一人一人が助け合って生きていくために必要で、人と人をつなげてくれるものだと私は思っています。そして、自分達が日々生きている当たり前のくらしというものは、だれかが出してくれている税のおかげなのです。


美馬中学校 3年 逢?坂 羽瑠菜 さん

私たちの生活を支えてくれる税金

 小学生の頃、夏休みになると、税の書道に取り組んでいました。小学生の頃は、先生からもらった課題をひたすら書き続け、税について何も知らないに等しい状態でした。そこで、自分なりに税の仕組みについて調べてみると、私たちはいろんな税に助けられて生活していることが分かりました。

 その中の一つ、医療費です。私は、小さい頃からアレルギー体質で季節によると、鼻が完全につまり、鼻から息をすることもできなくなり、そのせいで味覚もなくなります。そして何より怖いのが咳で夜も眠れなくなります。月に一度、病院を受診してお薬を処方してもらい、お薬を飲んでいます。先日も病院へ行きました。母がお金を払う時、いつも六百円を払います。私が、

「こんなにいっぱいのお薬と診察代で六百円は安いな。」

 と言うと母は、

「そんな安いわけないだろ。美馬市は、みまっこ医療費助成制度っていうのがあって、十八歳までは、税金で補ってくれとるんよ。助かるよな。」

 と教えてくれました。

 私たちの住んでいる美馬市では、令和元年九月一日より、みまっこ医療費助成制度の対象を十五歳に達する三月三十一日から、十八歳に達する三月三十一日までに拡大したそうです。

 私は、これからも病院に通い、お薬をもらわなければいけません。でも医療費助成制度があるから、両親への医療費の負担を少しでもかけなくていいので、本当にありがたいと思います。世界には医療保険の費用が高額すぎて病気になっても、治療をうける事ができず、命を落とす人がたくさんいるそうです。私は、日本に生まれて幸せだと思います。

 今、新型コロナウイルスで多くの人が苦しみ、亡くなったりしています。それにともない、国からたくさんの税金が使われ、多くの人々が救われています。私たちも学校に行けない、中学生最後の部活で総体が中止、大好きな友達と逢えない日々を過ごしてきました。いつまで続くか、分からず悲しくなります。でも、一人一人の心がけで、自分を守り、大切な人を守る事が税金をムダに使わない事になると信じています。

 今回、税の作文を書く事で税について分かった事、またこれから理解していかなくてはいけない事が分かりました。私はまだ学生で税金を納める事はできませんが、今自分に与えられている事をしっかり成し遂げ、感謝の気持ちを忘れず精進していきたいと思います。そして、今は守られている立場ですが、将来守る側の立場になった時、税金をしっかり納められる人になりたいと思います。


阿波中学校 3年 西村 碧樹 さん

今の自分にできること

 税金と聞いて真っ先に思いつくのは、消費税だ。公民の教科書には、消費税以外の税金についても示されている。例えば、個人の所得にかかる所得税、ガソリンにかかる揮発油税、土地・家屋などにかかる固定資産税など、あらゆるものに税金が課せられていることが分かる。納められた税金の用途を詳しく知らなかった僕は、税金に対して、「税金=負担」といったマイナスイメージを抱いていた。しかし、先日、両親と一緒に語り合った亡き曽祖母の思い出話が、僕の意識を大きく変えた。

 僕の曽祖母は、昨年、九十八歳で亡くなった。僕のお宮参りの写真には、赤ん坊の僕をしっかりと抱いた笑顔の曽祖母の姿がある。ただ、僕には、ベッドに横たわる曽祖母の記憶しかない。僕が会いに行くと、とても喜んでくれた。そんな曽祖母の死は、本当に辛かった。父と母が話してくれた曽祖母は、働き者で、八十歳を過ぎても畑仕事に精を出し、庭の草取りを欠かさない几帳面な人。しかし次第に認知症の症状があらわれはじめ、炊事や洗濯などの日常生活に介護が必要となった。そんな曽祖母の世話をしていたのは、祖母だ。祖母は食事の用意や部屋の掃除、着替えや洗濯など曽祖母の身の回りの世話を献身的に行ったそうだ。当時を振り返り、母は言った。

「毎日当たり前のようにおばあちゃんのお世話をしていたけど、お母さん、本当は、身体的にも精神的にもきつかったと思う……。」

 僕は、介護がどれだけ大変かを改めて知った。それと同時に、高齢化が進む日本において、介護は家族だけの問題ではなく、社会全体で解決しなければならない問題だと思った。

 祖母の懸命の介護は数年間続いたが、曽祖母の症状は改善されなかった。自分一人での介護の限界を感じた祖母は、市役所に相談し、介護保険制度による介護サービスを利用することにした。そして、曽祖母の特別養護老人ホーム(特養)への入居が決まった。特養では、食事や入浴等の介護、リハビリや医師による健康管理、さらには、季節にちなんだイベントも行っているそうだ。

 祖母の様々な負担を軽減させたのは、介護保険制度である。介護保険制度とは、介護が必要な人にその費用の一部を給付する制度だ。その財源は、四十歳以上の人から集められた介護保険料と国や県、市町村からの税金なのだ。僕の中の税金に対するマイナスイメージが、「税金=人と人との支え合い・助け合い」というプラスのイメージへと変わっていった。

 今の僕も、税金による「支え合い・助け合い」の中で生きている。調べてみると、学校の授業料の他、教科書、教室の椅子や机など、学校教育に関わる全てのものが税金で賄われている。中学生の僕はまだ税金を納めていないが、全力で勉強に励むことで、税金の意義を証明していきたいと思う。そして、曽祖母の思い出と共に、感謝や恩返しの心を大切に、将来、社会に貢献できる人間に僕はなりたい。