〒770-8570
徳島県徳島市万代町1丁目1番地
- 電話番号:
- 088-621-2500(代表)
- 法人番号:
- 4000020360007
小学生の「税についての作文」は、徳島県下の6法人会が主催し、中学生の「税についての作文」は、全国納税貯蓄組合連合会及び国税庁が主催してそれぞれ募集しています。
令和元年度の徳島県における応募状況は、小学生の「税についての作文」は118校が参加し、1,538点の作品の応募があり、中学生の「税についての作文」は82校が参加し、6,064点の作品応募がありました。たくさんの応募作品の中から特に優秀な作品を掲載します。
自分の身近にある税
昨年の冬、僕の妹は高熱でけいれんをおこし意識が戻らず、救急車を呼びました。救急隊員の方たちは、手際よく妹の状態を確認し、病院へ運んでくれました。後で聞いた話では、ドクターヘリも飛んできて、そのヘリには小児科の先生が乗って来てくれていたそうです。
僕は、妹が無事元気になってくれて本当によかったと思いました。それと同時に、この時の救急車やドクターヘリを呼んだ費用は誰が支払うのか、どうなっているのかとも思いました。
調べてみると、僕とは関係ないと思っていた税金で、いろいろなものが運営されていました。
今回、僕の妹を助けてくれた救急車や救急隊員、ドクターヘリだけではなく、火事の時に来てくれる消防車や消防隊員、生活で出たゴミを収集してくれるゴミ収集車など、みんなが安全で安心して生活できるために税金が使われているということを知りました。また、僕たちの身近では、学校で使っている教科書の費用や、僕たち子どもの医療費も税金でまかなわれていると知りました。
今、日本は少子高れい化社会と言われています。この大切な税金を払える人が少なくなっているということです。もしも救急活動が税金で運営できなくなったら、救急車や消防車を呼ぶ時に支払いができるかどうかを考えなくてはいけません。そのため、助かる命が助からないということになるのではないかと思います。
僕が大人になり、税金の支払いが大変だと思った時、妹を救ってくれたように、僕の税金も誰かのために役立つということを思い出したいと思います。そして、みんなが安全で安心して生活できる暮らしやすい日本になるように、税金を納めたいと思います。
税金に感謝して
新しい時代、令和がスタートした。私達の暮らしも新しく変わる事がいくつかある。お札が新しくなったり、消費税が八パーセントから十パーセントに増税されるのだ。小売業をしている私の家にとって一番の問題は消費税らしい。レジやパソコンのデータを新しく十パーセントに変えなくてはいけない。でも一番の問題はお客さんに理解し、納得して消費税を支払ってもらうことだと両親や祖父母は言う。私は不思議に思い「みんな払うだろう?何かあるん?」とたずねた。すると祖母が今から三十年前、消費税が三パーセントで始まったころの話をしてくれた。「当時はな、お客さんも消費税について知らん人が多かった。一番困ったのはな、消費税で商売人がもうけを増やしとると誤解し、支払いの時に文句を言うたり、まけてと言う人も多かったんよ。」その度に、祖父母は「商売人のもうけが増えて得しとるわけでない。私ら商売人も、お客さんから預かった消費税を国にきちんと納めてます。どうぞご理解ください。」と何度も頭を下げたらしい。理解して払ってくれる人もいたが、中には「もうこんな店では買い物せん。消費税のいらん店で買うわ。」と怒る人もいたそうだ。「あそこの店は消費税を取らんええ店じゃ。」と小売店の中には消費税をサービスしてお客さんをよびこもうとする店もあった。
時が過ぎ、消費税も私達の暮らしにとけこんできた。でも、やはり支払うお金が高くなるのは嫌だとおこづかい制の私も思う。「あああっ消費税とられんかったら、もう一つ買えるのに。」と母と買い物に行き私が言った。すると、母が「消費税を払うのはもったいないと思うかもしれんな。でも、あんたもお母さんもみんなが消費税や他の税金でずい分助けてもろうとんよ。」と言った。私は別にお世話になってないと心の中でつぶやいた。でも私が小三の時に耳の手術で入院した時の話を聞き、今までと考えが変わった。「あの手術で入院した時も、個室の差額代と食事代だけの負担ですんだんよ。そうでなかったら、何十万もあの時払わないかんかったんよ。みんなが払った税金であんたも助けてもろうたんよ。」と言われた。毎日当たり前に楽しく学校に通えること、学年が変わると新しい教科書を当たり前に無料でもらえることなどずい分私も税金にお世話になっていたことに気づいた。
この作文を書くことで、あらためて税金のありがたさや大切さを考えることができ、前よりも税金を身近に感じるようになった。税金はとられているのではなく、税金を納めることでみんなで支え合い、平和な暮らしが保たれているのだ。これからも税金に感謝することを忘れず、きちんと税金を納める大人になりたい。そして、私の納めた税金も社会を支える力のひとつになれば良いと思う。
税と助け合い
私の父は役場の職員として二十三年間勤めてきました。家で仕事の愚痴を一切言わない父が決まって悲しそうな顔をしている時期があります。それは納税の時期です。納税は国民の義務であり、私達子供も消費税という身近な税を払っています。「生活をするのに精一杯な人でも、一生懸命支払ってくれている。本当に大切なお金だ。」と父は言います。色んな事情の家庭があることを父の表情が物語っていました。
地域住民から頂いた税金を有効利用出来るようにと、常に町の発展を考えていた父が、突然病に倒れたのが三年前の夏。皮肉にも、父が大切にしていた税金に私達家族は助けられることになりました。父の病気は重く、様々な検査、入院、抗癌剤治療、放射線治療と莫大なお金がかかりました。当時小学六年生だった私でも、子供ながらに家計を心配したことを鮮明に覚えています。病院にかかった医療費の明細書を見てみると、ひと月に百万円二百万円といった目を疑うような桁の数字が並んでいました。自己負担額の三割でも毎月となると支払える金額ではありません。そこで利用したのが、高額療養費制度というものでした。この制度は、医療機関や薬局でかかった自己負担額が、ひと月で一定額を超えた場合に、その超えた金額が支給される制度です。この制度のおかげで、父は治療を諦めることなく最善の治療を受け続けることが出来ました。二年半の闘病生活の末、父は天国へ旅立ってしまいましたが、皆が一生懸命働いて納めてくれた税金がなければ、もっと早く父との別れがきていたのではないかと思うと感謝の言葉しかありません。税金によって救われたものは、お金だけでなく、私達家族が一緒に過ごすかけがえのない時間も与えてくれました。
父が亡くなり、我が家は母子家庭になりました。心配した先生が、就学支援金制度の話を母にしてくださったそうです。この制度は学用品や給食費といった学校へ支払った費用を税金によって援助してもらえる制度です。しかし、母はその援助を受けませんでした。「条件に当てはまるからといって甘えて多用してはいけない。税金は本当に必要な場所に使う物。」と、その理由を教えてくれました。確かに、身近な人にお金を渡されたら遠慮するのに、出所が直接見えない税金は無駄遣いされやすいものだと思います。天から降ってきたお金ではないことを、両親が身をもって証明してくれました。意識してみると、私達の生活の多くは税金で支えられています。国民一人ひとりの大切なお金が国を支える資金となり手と手を取り合って繋がっています。今年度には消費税が十%に上がります。国を支える一員として「誰かに届きますように。」と祈りを込めて支払っていきたいと思います。そして税金が正しい用途で使われるように、使い道に関心を持つことが大切だと思います。