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坂州発電所の経緯

坂州発電所は、砂防用の追立ダムを利用し那賀川河川総合開発事業の工事用電力供給源として建設した、最大出力2,400kWの水路式発電所で、昭和27年5月より県営発電所として最初に運転を開始しました。その後、老朽化対策及び耐震化のため、平成30年3月に建物、発電設備のリニューアル工事を完成させ、現在、最大電力2,500kW、常時出力120kWとなっています。

なお、平成11年4月1日に運用を開始した総合管理推進センターから遠隔監視制御しています。

坂州発電所(現況)の画像
【坂州発電所(現況)】
  
追立ダム(現況)の画像
【追立ダム(現況)】
  
発電所完成直後(昭和27年5月)の画像
【発電所完成直後(昭和27年5月)】

工事計画

坂州発電所の目的

坂州発電所は、「那賀川河川総合開発事業」の一環として、日野谷発電所、川口発電所とともに計画されたもので、日野谷発電所と長安口ダムの建設工事用電力の供給が大きな目的でした。

昭和25年10月に着工、昭和27年5月に完成し、総合開発事業の推進に貢献しました。また、工事用に供給した残りの電力は、四国電力(株)へ卸供給することも目的でした。

計画の概要

本計画は、那賀川支流坂州木頭川を坂州村追立橋上流の峡谷部において、基礎岩盤上29.5mのコンクリート造砂防ダ ムを利用してダム直上流の右岸に取水口を設け、標高276.85mを取水位として最大6.3m3/sの水を取り入れ、幅2.0m、高さ2.5mの矩形頂底部円弧形隧道により勾配800分の1の第1、第2、第3、第4号並びに蓋渠及び第5、第6号隧道総亘長1,754.5mをもって那賀郡坂州村大字坂州字高山平 (現、那賀町)山腹に構築した水槽に導き、内径1.85m、延長63.9mの水圧鉄管を通じて有効落差47.9mを得て最大出力2,400kWを発電し、 延長34.7mの放水路を経て坂州木頭川に放流させるものでした。

建設工事

□坂州発電所

昭和25年10月に着工した坂州発電所(追立ダム)の工事は、昭和27年5月、1年7か月の工期で完成し、同月から発電を開始しました。

なお、水車、発電機、変圧器などの大型機器の運搬は、約60km離れた国鉄桑野駅から重量車を使って行いましたが、狭い国道の山腹を削ったり、支柱や補助材で橋を補強しながらのため、何昼夜もかけて行われました。

□追立ダム

追立ダムは基礎岩盤上29.5mの堤高とし、上流側6分、下流側3分の勾配をつけたコンクリート造り重力溢流堤で、 ダム中央部延長48.5mを溢流型、両袖30.7mを非溢流型とし、中央に溢流水を集中させる構造としました。またダム右岸よりに取水口の前面堆砂を排除するため、幅3.0m、深さ4.0mの排砂門1門を設置しました。

ダムの基礎岩盤は輝緑凝灰岩の1枚岩で、亀裂や断層などのない良質岩盤でした。築造に当たっては、坂州木頭川両岸の 取付箇所を掘削し、晩秋の低水期に川の仮締切工および左岸沿いに開渠・隧道の仮水路を設けて川水を一時切り替えして川底を掘削し、基礎コンクリートの築造 と堤体コンクリート打設を行いました。その後、ダイヤモンドボーリングで基礎岩盤に錐掘し、漏水止めグラウト工を施しました。

建設費用

約3億8千万円

追立ダム基礎掘削状況(昭和26年3月頃)の画像
【追立ダム基礎掘削状況(昭和26年3月頃)】
  
コンクリート打設状況(昭和26年頃)の画像
【コンクリート打設状況(昭和26年頃)】
  
コンクリート打設状況(上流側より)の画像
【コンクリート打設状況(上流側より)】
コンクリート打設状況(昭和26年12月頃)の画像
【コンクリート打設状況(昭和26年12月頃)】
  
コンクリート打設状況(昭和27年1月頃)の画像
【コンクリート打設状況(昭和27年1月頃)】
  
排水路閉塞状況(昭和27年3月頃)の画像
【排水路閉塞状況(昭和27年3月頃)】
追立ダム完成直後(昭和27年5月)の画像
【追立ダム完成直後(昭和27年5月)】