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水質総量削減計画(第9次)の公表について

 水質総量削減制度は、人口・産業が集中し、汚濁の著しい瀬戸内海等の広域的な閉鎖性水域の水質汚濁を防止する目的で、昭和53年に「水質汚濁防止法」及び「瀬戸内海環境保全特別措置法」の改正により導入された制度です。

 徳島県では、昭和54年から8次にわたり国の「総量削減基本方針」に基づき、総量削減計画を策定し、水質総量規制を実施してきました。

 このたび、国の定めた「総量削減基本方針(第9次)」(令和4年1月24日策定)に伴い、令和6年度を目標年度とする第9次の「化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減計画」を策定し、告示しました。

総量削減計画の概要

第1 基本方針

 総量削減計画に基づく汚濁負荷量の軽減により,瀬戸内海の水質は良好な状態が保たれるようになった一方で,海域によっては養殖ワカメ,ノリの色落ち被害や漁獲量の減少等の新たな問題が生じている。

 そのため,従前の汚濁負荷量の総量規制に加え,地域における海域利用の実情を踏まえた順応的かつ機動的な栄養塩類(海水中に溶けている窒素やりん)の管理等,特定の海域ごとのきめ細やかな水質管理を行い,良好な水質と生物多様性や生産性など自然の恵みが享受できる「とくしまのSATOUMI(里海)」の実現を目指すこととする。

 この計画は,「瀬戸内海の環境保全に関する徳島県計画」との一体的な取組により,里海の再生・創生を推進するものである。

第2 削減目標量

 「化学的酸素要求量(COD)」については,良好な水質を次世代に継承するために,生活排水処理施設の整備促進等により更なる削減を行う。

 「窒素・りん」の栄養塩については,藻類の色落ちや漁獲量の減少との蓋然性を見据えながら,水質改善と生物多様性・生産性といった相反する課題を両立させる削減目標量とする。

CODの削減目標量(トン/日)
令和6年度削減目標量 【参考】令和元年度(第8次)削減目標量 【参考】令和元年度排出量
生活排水 9 10 10
産業排水 21 21 16
その他 3 3 2
合計 33 34 28
窒素含有量の削減目標量(トン/日)
令和6年度削減目標量 【参考】令和元年度(第8次)削減目標量 【参考】令和元年度排出量
生活排水 6 6 6
産業排水 4 3 2
その他 9 10 9
合計 19 19 17
りん含有量の削減目標量(トン/日)
令和6年度削減目標量 【参考】令和元年度(第8次)削減目標量 【参考】令和元年度排出量
生活排水 0.5 0.6 0.5
産業排水 0.5 0.5 0.4
その他 0.5 0.4 0.4
合計 1.5 1.5 1.3

第3 とくしまのSATOUMI(里海)を実現するために

 とくしまのSATOUMI(里海)を実現するため,次の施策を推進する。

汚濁負荷削減による水質保全

  1. 生活排水改善のための施策
    • 下水道の整備
    • 公共浄化槽等の整備促進及び適正な維持管理の推進
    • 一般家庭における生活排水対策
  2. 事業場排水の適正処理のための施策
    • 総量規制基準の適用事業場に対する監視指導
    • 総量規制基準の適用されない事業場等に対する監視指導
  3. 農水産系排水の負荷軽減のための施策
    • 環境保全型農業の推進
    • 家畜排せつ物のバイオマス資源への活用など畜産排水対策の推進
    • 水質改善に資する養殖等の取組の推進

生物多様性・生産性の確保に向けた水環境の改善

  1. 海域の実情に応じたきめ細やかな栄養塩類管理の推進
  2. ブルーカーボン生態系を支える藻場・干潟の保全,再生及び創出
  3. 水環境改善対策の推進
  4. 生物と共生する環境配慮型構造物の採用

基盤となる施策の推進

  1. 豊かな海「里海」を支える水質モニタリングの充実
  2. 里海づくりの普及啓発活動
    • 未来につなぐ「里海」創生リーダーの育成
    • 県民総ぐるみの水教育の実施
    • DXの推進による里海の魅力発信
  3. 国内外の閉鎖性海域とのコラボレーション