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食品衛生検査について

 当センターでは,県内を流通する食品の安全性確保のため,食品衛生法第28条第1項に基づき,保健所の食品衛生監視員が収去した食品の検査を行っています。検査については,同法第29条第3項に基づく厳密な業務管理(GLP)を行い,検査の信頼性を確保しています。

 また,平成18年5月29日から残留農薬等のポジティブリスト制が施行され,約800種の農薬等に残留基準が設定され規制強化が図られたため,これに対応するため検査の高感度化,対象農薬の拡大等を進めています。

 ここでは,残留農薬の検査の流れを紹介します。

農産物中の残留農薬検査の流れ

(検査の業務管理)

検査の全行程について,作業方法や記録方法を「標準作業書」で詳細に規定しています。検査は,標準作業書に従って行います。検査の際には検査記録を作成し,後から誰が見ても検査が正しく行われていることが検証できるようにしています。

1検査開始前の準備等

●試薬等の管理

検査の際に比較対象とする農薬の標準品・標準液等について,所定の条件で保管し,品質の劣化や使用期限切れ等がないかを常に確認しています。

標準品・標準液は,管理用ソフト(ファイルメーカープロ)を用いて管理し,試薬ラベル等は専用ラベルプリンタ「TLSPCLINK熱転写プリンタ」で作成しています。

●器具・機械の管理

検査に使用する器具は洗浄,保管を適切に行っています。また分析機器等の機械について日常点検、定期点検を行い,正常に作動するか,適切な検査データが得られるかを確認しています。

●検査の事前検証

農産物は,その種類によって含まれる成分が大きく異なります。この成分が時に検査の妨げになる場合があり,検査結果に大きく影響します。このため,検査の前には必ず,検査対象の農産物から目的の農薬を正しく検出できるかどうかを確認し,検査依頼者に事前に報告しています。

方法は,検査対象の農産物に,濃度の分かっている農薬の標準液を一定量加えて,それらが適切な濃度で検出できるかどうかを確認しています(添加回収試験)。

●標準液の調製

検査の際に比較対象とする農薬の標準液を調製します。標準品等に品質の劣化や使用期限切れ等がないかを再度確認してから調製しています。

標準品
標準液
標準品・標準液のパソコン管理
ワークシートとラベル
標準液調製

2試料の受付

●試料の確認・受領

持ち込まれた試料について,検査依頼書との照合,試料の状態及び重量の確認等を行い,適切であることを確認後、受領します。

●試料の粉砕・秤量

試料は原則として,受領後速やかに試料の粉砕を行い,検査に必要な分量を量り取った後すぐに検査を開始するか,検査開始まで冷凍保管します。

残りの試料は,冷凍で一定期間保管します。

試料の切断
粉砕
秤量

3試料からの抽出・精製

●試料の溶媒抽出

粉砕した試料に,有機溶媒を一定量加えて振とうすることにより,農薬成分を試料から抽出します。このあと,ろ過で試料残さを取り除きます。

●抽出液のカラム精製等

試料の抽出液を、2種類のカラムに負荷して、精製します。また,塩析・脱水操作なども行います。

●濃縮・試験溶液調製

適宜、精製後の液を濃縮して、測定に必要な濃度に調製します。

ろ過
塩析
カラム精製
濃縮
試験溶液調製

4分析機器による測定・結果の解析

●GC/MS/MS(ガスクロマトグラフタンデム質量分析計)測定・解析

測定液をGC/MS/MSで測定します。農薬と思われる成分が検出された場合は、条件を替えて再度測定し、測定結果が一致した場合に、農薬であると判断しています。

●LC/MS/MS(液体クロマトグラフタンデム質量分析計)測定・解析

測定液をLC/MS/MSで測定します。農薬と思われる成分が検出された場合は、条件を替えて再度測定し、測定結果が一致した場合に、農薬であると判断しています。

GC/MS/MS
GC/MS/MS
LC/MS/MS
LC/MS/MS