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春先から夏にかけて、上手く飛ぶことができないヒナを発見して
「ヒナが巣から落ちている。飛べないようだから保護したが、どうしたらいいか?」
といった内容のお問い合わせが当課によく寄せられるようになります。
この時期にお問い合わせのあるヒナのほとんどが巣立ちビナと呼ばれるもので、自立へ向けて勉強中のヒナです。
○私たちができること
人目につくところや交通量が多い場所でヒナを発見した場合は、近くの木の枝や草むらなどに移してあげてください。親鳥が鳴き声で探し出してくれます。
それ以外の場所では、そっとしておいてください。(人間が近くにいることで、親鳥がヒナに近付くことができない場合があります。)
私たちがヒナを保護することは、自然界で生き抜く親鳥やヒナにとって必ずしも良いことではなく、ヒナの自由を奪うことにもなりかねません。(県では巣立ちビナの保護は行っておりません。)
ヒナに限らず、野生動物とは一定の距離を保ちながら付き合うことが大切です。
また、すでにヒナを保護している場合は、できる限り速やかにヒナを元の場所に返してあげてください。
保護した期間が長くなるほど、野生へ復帰することが困難になってきます。
○巣立ちは自立ではありません
一般的に「巣立ち」と聞くと「自立」した「一人前」の状態を思い浮かべるかもしれませんが、身の回りで生活しているほとんどの野鳥にとって「巣立ち=自立」ではありません。
たとえばスズメは1回に5個くらいの卵を産みますが、かえったヒナは約2週間で巣立ち、その後1週間くらいを親子で過ごして自立の準備をします。
生き残る方が少ないため、たくさん卵を産む必要があり、そのためには短期間でヒナを巣立たせなければなりません。
ヒナたちは巣の中で十分成長して、自立して巣立っていく訳ではなく、自立する前に巣立っていきます。
そのため巣立ったばかりのヒナは体格も小さく、体力もないため上手に飛ぶことができないことがほとんどなのです。
巣立ちビナは巣立った後も親鳥から、飛び方・餌のとり方・仲間とのコミュニケーション・外敵からの身の守り方など、生きていくために必要なことを学びながら成長していきます。いわば「社会勉強」の最中です。
巣から落ちているように見えるヒナも、飛行訓練の最中だったり、親が取ってくる餌を待っていることが多く、ヒナの取り扱いには注意が必要です。
ヒナが落ちているように見えても、人間がいるために親鳥が近づけない状態であったり、鳥の種類によっては、1日に朝夕1回ずつ位しか餌を与えない鳥もいるため、親鳥と一緒にいないこともよくあります。
姿が見えなくても親鳥とヒナは鳴き声でコミュニケーションをとっています。
○人間は親鳥の代わりになれません
私たちが心配してヒナを保護することは、親鳥とヒナを引き離すことにつながり、ヒナが自立するための教育が行われなくなってしまいます。人間が親鳥に代わってヒナを教育し、自立させることはできません。
厳しい自然界の中で生き抜いてきた親鳥にしかできないことです。