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財政状況資料集の見方と用語解説

<財政状況資料集とは>

 県内市町村の財政情報について、財政比較分析表・歳出比較分析表・財政状況等一覧表として公開されていましたが、平成22年度分から情報を追加し、より体系化、視覚化した「財政状況資料集」として再編成されました。

 財政状況資料集は、総括表と(1)から(8)までの様式で構成されています。各様式の見方は、次のとおりです。

 総括表

 財政状況に関する項目を集約し、その地方公共団体の全体像を把握するための様式です。

 上段左側に人口、面積、産業構造、職員の状況等の基礎的情報を表示しています。また上段右側に当該年度及び前年度の収支状況及び各種財政指標等を表示しています。

 下段には、その地方公共団体に属する各会計名のほか、関係する一部事務組合等及び公社・第三セクター等の団体名を表示しています。名称の前に付された数字は、以降の様式と共通しています。

 (1)普通会計の状況

 普通会計の歳入・歳出の状況を把握するための様式です。

 歳入については区分を、歳出については目的別・性質別の状況を表示しています。また、公営事業等への繰出金及び国民健康保険事業会計の概要も表示しています。

 なお、地方財政の統計では、各団体ごとに設置している特別会計や一般会計で管理する範囲が異なるため、便宜上「普通会計」という会計区分を設けています。具体的には、「一般会計」に「公営事業会計(水道、病院、国民健康保険等)以外の特別会計」を加えたものです。

 (2)各会計、関係団体の財政状況及び健全化判断比率

 その地方公共団体に属する各会計、関係団体の財政状況と健全化判断指標を把握するための様式です。

 各会計、関係団体別に、上段に財政状況一覧を、下段に実質公債費比率、将来負担比率等の健全化判断比率4指標とその構成要素を表示しています。

 (3)市町村財政比較分析表(普通会計決算)

 その地方公共団体の普通会計決算の状況について、7種類の財政指標を類似団体と比較することで相対的に把握し、その要因を分析するための様式です。

 7種の財政指標について、過去5年分を類似団体の平均値と比較する形式で折れ線グラフを表示しています。また、グラフの右側には、その団体による要因の分析と指標の改善に向けた取組み等を記載しています。

 (4)ー1・(4)ー2市町村経常経費分析表(普通会計決算)

 経常収支比率及び経常経費を性質別に区分して類似団体と比較することで、その地方公共団体の経常経費の状況を相対的に把握し、その要因を分析するための様式です。

 経常収支比率については7区分で、経常経費については3区分で過去5年分を類似団体の平均値と比較する形式のグラフを表示しています。また、グラフの右側には、その団体による要因の分析と指標の改善に向けた取組み等を記載しています。

 (5)市町村性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)

 (6)市町村目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)

 住民一人当たり行政コストについて、経年比較や類似団体間比較を含めて性質別・目的別で網羅的に表示しています。

 (7)実質収支比率等に係る経年分析

 (8)連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析

 (9)実質公債費比率(分子)の構造

 (10)将来負担比率(分子)の構造

 健全化判断比率4指標について、構成要素と経年推移を把握することにより、その地方公共団体の財政状況を分析するための様式です。

 健全化判断比率4指標とその構成要素について、過去5年分の推移をグラフで表示しています。また、その団体による要因の分析と指標の改善に向けた取組み等を記載しています。

 (11)基金残高(東日本大震災分を含む)に係る経年分析

 (12)公会計指標分析/財政指標組合せ分析表

 地方公会計(固定資産台帳)を整備することにより得られる「有形固定資産減価償却率」、また参考指標として「債務償還比率」を表示しています。発生主義・複式簿記を前提とする地方公会計を整備することにより、現金主義・単式簿記だけでは見えにくい減価償却費、退職手当引当金といったコスト情報や、資産・負債といったストック情報の把握が可能となります。

 また、地方公共団体の財政状況については、一つの財政指標だけでなく、様々な観点から分析することが重要であることから、将来負担比率と有形固定資産減価償却率の組合せによる分析と、将来負担比率と実質公債費比率の組合せによる分析を表示しています。

 将来負担比率と有形固定資産減価償却率の組合せによる分析については、公共施設等の将来的な更新経費等を含め、将来負担をより総合的に捉えることができます。例えば、将来負担比率が低下している一方、有形固定資産減価償却率が上昇している場合は、(1)必要な投資が行われず、老朽化対策が先送りにされている可能性、又は(2)単純な施設更新を行うのではなく、既存施設を活用して財政負担を抑えている可能性、が考えられます。

 将来負担比率と実質公債費比率の組合せによる分析については、将来負担比率はストックの指標、実質公債費比率はフローの指標であるため、組み合わせて分析することにより、ストックとフローの両面から将来負担を捉えることができます。例えば、実質公債費比率が低くても将来負担比率が上昇傾向にあれば、実質公債費比率が今後は上昇していく可能性があることがわかります。

 (13)ー1・(13)ー2市町村施設類型別ストック情報分析表

 各地方公共団体における公共施設マネジメントの取組に活用するため、地方公共団体が住民にサービスを提供する観点から維持していかなければならない公共施設等の類型ごとに、住民一人当たり面積や有形固定資産減価償却率等を表示しています。

 <用語解説>

【い】

○一部事務組合

都道府県、市町村及び特別区が、その事務の一部を共同処理するために設ける団体のこと。

○一般会計

地方公共団体の会計の中心をなすもの。特別会計で計上される以外のすべての経費は一般会計で処理される。

○一般会計等

健全化法における実質赤字比率の対象となる会計。地方公共団体の会計のうち、地方公営事業会計以外のもの。地方財政統計で用いられる普通会計とほぼ同様の範囲であるが、地方財政統計で行っている一の会計の区分は行わないこととしている。

○一般財源

地方税、地方譲与税、地方特例交付金等及び地方交付税の合計額。なお、これらのほか、都道府県においては、市町村から都道府県が交付を受ける市町村たばこ税都道府県交付金、市町村においては、都道府県から市町村が交付を受ける利子割交付金、配当割交付金、株式等譲渡所得割交付金、地方消費税交付金、ゴルフ場利用税交付金、特別地方消費税交付金、自動車取得税交付金及び軽油引取税交付金(政令指定都市のみ)を加算した額をいう。

○一般財源等

一般財源のほか、一般財源と同様に財源の使途が特定されず、どのような経費にも使用できる財源を合わせたもの。目的が特定されていない寄附金や売却目的が具体的事業に特定されない財産収入等のほか、臨時財政対策債等が含まれる。

【き】

○基準財政収入額

普通交付税の算定に用いるもので、各地方公共団体の財政力を合理的に測定するために、標準的な状態において徴収が見込まれる税収入を一定の方法によって算定するものであり、次の算式により求められる。

標準的な地方税収入×75/100+地方道路譲与税等

○基準財政需要額

普通交付税の算定基礎となるもので、各地方公共団体が、合理的かつ妥当な水準における行政を行い、又は施設を維持するための財政需要を算定するものであり、各行政項目ごとに、次の算式により求められる。

単位費用(測定単位1当たり費用)×測定単位(人口・面積等)×補正係数(寒冷補正等)

【け】

○経営健全化基準

地方公共団体が、自主的かつ計画的に公営企業の経営の健全化を図るべき基準として、資金不足比率について定められた数値。

○経常収支比率

地方公共団体の財政構造の弾力性を判断するための指標で、人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費(経常的経費)に充当された一般財源の額が、地方税、普通交付税を中心とする毎年度経常的に収入される一般財源(経常一般財源)、減収補てん債(特例分)及び臨時財政対策債の合計額に占める割合。この指標は経常的経費に経常一般財源収入がどの程度充当されているかを見るものであり、比率が高いほど財政構造の硬直化が進んでいることを表す。

○減債基金

地方債の償還を計画的に行うための資金を積み立てる目的で設けられる基金。

○健全化判断比率・再生判断比率

健全化判断比率とは、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率及び将来負担比率の4つの財政指標の総称。

再生判断比率とは、健全化判断比率のうちの将来負担比率を除いた3つの指標。

地方公共団体は、この健全化判断比率等のいずれかが一定基準以上となった場合には、財政健全化計画又は財政再生計画を策定し、財政の健全化を図る。

健全化判断比率等は、財政の早期健全化や再生の必要性を判断するものであるとともに、他団体と比較することなどにより、当該団体の財政状況を客観的に表す。

【こ】

○公営企業(法適用企業・法非適用企業)

公営企業のうち、地方公営企業法の全部又は一部を適用している事業が法適用企業であり、それ以外の公営企業が法非適用企業である。

法適用企業には、地方公営企業法の全部を適用することが法律で定められている上水道、工業用水道、軌道、鉄道、自動車運送、電気(水力発電等)、ガスの7事業と、法律により財務規定等を適用するように定められている病院事業(以上、当然適用事業)、また、条例で全部又は一部を任意で適用する事業で、簡易水道、下水道等(以上、任意適用事業)がある。法非適用事業は、法律を適用していない公営企業(地方財政法第6条に規定するもの)である。

公営企業を行うために設けられた特別会計が、公営企業会計である。法適用企業の公営企業会計については、企業会計方式により経理が行われるが、法非適用企業については、一般会計と同様、地方自治法に基づく財務処理となる。

【さ】

○財政再生基準

地方公共団体が、財政収支の著しい不均衡その他の財政状況の著しい悪化により自主的な財政の健全化を図ることが困難な状況において、計画的にその財政の健全化を図るべき基準として、実質赤字比率、連結実質赤字比率及び実質公債費比率のそれぞれについて、早期健全化基準を超えるものとして定められた数値。

○財政調整基金

地方公共団体における年度間の財源の不均衡を調整するための基金。

○財政力指数

地方公共団体の財政力を示す指数で、基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値の過去3年間の平均値。

財政力指数が高いほど、普通交付税算定上の留保財源が大きいことになり、財源に余裕があるといえる。

○債務負担行為

数年度にわたる建設工事、土地の購入等翌年度以降の経費支出や、債務保証又は損失補償のように債務不履行等の一定の事実が発生したときの支出を予定するなどの、将来の財政支出を約束する行為。地方自治法第214条及び第215条で予算の一部を構成することと規定されている。

【し】

○資金不足比率

当該地方公共団体の公営企業会計ごとの資金の不足額の事業の規模に対する比率。

公営企業の資金不足を、公営企業の事業規模である料金収入の規模と比較して指標化し、経営状態の悪化の度合いを示す指標ともいえる。

○実質赤字比率

当該地方公共団体の一般会計等を対象とした実質赤字額の標準財政規模(地方公共団体の標準的な状態で通常収入されるであろう経常的一般財源の規模を示すもの)に対する比率。福祉、教育、まちづくり等を行う地方公共団体の一般会計等の赤字の程度を指標化し、財政運営の悪化の度合いを示す指標ともいえる。

○実質公債費比率

当該地方公共団体の一般会計等が負担する元利償還金及び準元利償還金の標準財政規模を基本とした額に対する比率で、次の算式により求められる。

(地方債元利償還金+準元利償還金-元利償還金・準元利償還金に充てられる特定財源-地方債元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額算入額)/(標準財政規模-地方債元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額算入額)

借入金(地方債)の返済額及びこれに準じる額の大きさを指標化し、資金繰りの程度を示す指標ともいえる。

健全化法の実質公債費比率は、起債に協議を要する団体と許可を要する団体の判定に用いられる地方財政法の実質公債費比率と同じもの。

○実質収支

当該年度に属すべき収入と支出との実質的な差額をみるもので、形式収支から、翌年度に繰り越すべき継続費逓次繰越(継続費の毎年度の執行残額を継続最終年度まで逓次繰り越すこと。)、繰越明許費繰越(歳出予算の経費のうち、その性質上又は予算成立後の事由等により年度内に支出を終わらない見込みのものを、予算の定めるところにより翌年度に繰り越すこと。)等の財源を控除した額。通常、「黒字団体」、「赤字団体」という場合は、実質収支の黒字、赤字により判断する。

○実質収支比率

実質収支の標準財政規模に対する割合。実質収支比率が正数の場合は実質収支の黒字、負数の場合は赤字を示す。

○実質単年度収支

単年度収支に含まれている実質的な黒字要素(財政調整基金の積立や地方債の繰上償還)又は赤字の要素(財政調整基金の取崩し)を除いた単年度収支で、次の算式により求められる。

当該年度実質収支-前年度実質収支+財政調整基金積立額+地方債繰上償還額-財政調整基金取崩し額

○将来負担額

地方公社や損失補償を行っている出資法人等に係るものも含め、地方公共団体の一般会計等が将来負担すべき実質的な負債で、次の算式により求められる。

一般会計等の前年度末地方債現在高+債務負担行為支出予定額+一般会計等以外の会計の地方債元金償還に充てる一般会計等からの繰入見込額+当該地方公共団体が加入する組合等の地方債元金償還に充てる当該団体負担見込額+退職手当支給予定額のうち一般会計等負担見込額+当該地方公共団体が設立した一定の法人の負債額等+連結実質赤字額+組合等の連結実質赤字額相当額のうち一般会計等負担見込額

○将来負担比率

将来負担額の標準財政規模を基本とした額に対する比率で、次の算式により求められる。

(将来負担額-充当可能基金額-特定財源見込額-地方債現在高等に係る基準財政需要額算入見込額)/(標準財政規模-地方債元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額算入額)

地方公共団体の一般会計等の借入金(地方債)や将来支払っていく可能性のある負担等の現時点での残高を指標化し、将来財政を圧迫する可能性の度合いを示す指標ともいえる。

【そ】

○早期健全化基準

地方公共団体が、財政収支が不均衡な状況その他の財政状況が悪化した状況において、自主的かつ計画的にその財政の健全化を図るべき基準として、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率及び将来負担比率のそれぞれについて定められた数値。

○その他特定目的基金

財政調整基金、減債基金の目的以外の特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立てるために設置される基金。具体的には、庁舎等の建設のための基金、社会福祉の充実のための基金、災害対策基金等がある。

○損失補償

債務不履行に伴う債権者の損失について、地方公共団体が当該損失を補償する契約を締結すること。

地方公共団体が損失補償契約を行う場合は、予算で債務負担行為として定めておかなければならない。

【た】

○第三セクター

地方公共団体が出資又は出えんを行っている会社法法人及び民法法人。

○単年度収支

実質収支は前年度以前からの収支の累積であるので、その影響を控除した単年度の収支のこと。具体的には、当該年度における実質収支から前年度の実質収支を差し引いた額。

【ち】

○地方公営事業会計

地方公共団体の経営する公営企業、国民健康保険事業、後期高齢者医療事業、介護保険事業、収益事業、農業共済事業、交通災害共済事業及び公立大学附属病院事業に係る会計の総称。

○地方交付税

地方公共団体の自主性を損なわずに、地方財源の均衡化を図り、かつ地方行政の計画的な運営を保障するために、国税のうち、所得税、法人税、酒税、消費税及びたばこ税のそれぞれ一定割合の額を、国が地方公共団体に対して交付する税。

地方交付税には、普通交付税と災害等特別の事情に応じて交付する特別交付税がある。普通交付税は、基準財政需要額が基準財政収入額を超える地方公共団体に対して、その差額(財源不足額)を基本として交付される。

○地方財政状況調査(決算統計)

地方公共団体の決算についての統計として、地方自治法第252条の17の5第1項及び第2項に基づいて、各地方公共団体で毎年定期的に行われ、これを集計・分析したものが、地方財政法第30条の2の規定により、「地方財政の状況」(いわゆる「地方財政白書」)として毎年度国会に報告されるとともに、都道府県決算状況調、市町村決算状況調等として公表される。

【と】

○特定財源

財源の使途が特定されている財源であり、国庫支出金(都道府県支出金)、地方債、分担金、負担金、使用料手数料等をいう。

○特別会計

特別会計は一般会計に対し、特定の歳入歳出を一般の歳入歳出と区別して別個に処理される会計。料金収入を主な財源としている公営企業会計、法律で特別会計の設置が義務付けられている国民健康保険事業会計、介護保険事業会計などが、特別会計として設けられている。

【ひ】

○標準財政規模

地方公共団体の標準的な状態で通常収入されるであろう経常的一般財源の規模を示すもので、標準税収入額等に普通交付税・臨時財政対策債発行可能額等を加えた額。

○標準税収入額

地方税法に定める法定普通税を、標準税率をもって、地方交付税法で定める方法により算定した収入見込額。具体的には、法定普通税の基準税額の合計をいう。

【ふ】

○普通会計

個々の地方公共団体ごとに各会計の範囲が異なっているため、財政状況の統一的な掌握及び比較が困難であることから、地方財政統計上便宜的に用いられる会計区分。

健全化法における実質公債費比率の対象となる「一般会計等」とほぼ同様の範囲の会計である。

【り】

○臨時財政対策債

地方一般財源の不足に対処するため、投資的経費以外の経費にも充てられる地方財政法第5条の特例として発行される地方債。

【る】

○類似団体別市町村指数表の市町村選定

市区町村をいくつかの類型に「人口」と「産業構造」により分類し、各類型の中から大規模な合併、多額の赤字や災害等の影響がない標準的な財政運営を行っている市町村を類型ごとに選定し、その財政状況の平均値を指数とし、各類型別に示したもの。

【れ】

○連結実質赤字比率

公営企業会計を含む当該地方公共団体の全会計を対象とした実質赤字額又は資金の不足額の標準財政規模に対する比率。

すべての会計の赤字や黒字を合算し、地方公共団体全体としての赤字の程度を指標化し、地方公共団体全体としての財政運営の悪化の度合いを示す指標ともいえる。