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令和5年度 小学生及び中学生の「税についての作文」

小学生の「税についての作文」は、徳島県下の6法人会が主催し、中学生の「税についての作文」は、全国納税貯蓄組合連合会及び国税庁が主催してそれぞれ募集しています。

令和5年度の徳島県における応募状況は、小学生の「税についての作文」は111校が参加し、1,061点の作品の応募があり、中学生の「税についての作文」は72校が参加し、4,816点の作品応募がありました。たくさんの応募作品の中から特に優秀な作品を掲載します。


徳島県知事賞

中野島小学校 6年 德永 優衣 さん

恩送りの税金

 みなさんは、「恩送り」と言う言葉を知っていますか?この言葉は私がお母さんにもらったとても大切な言葉です。その意味は、だれかから受けた恩を直接その人に返すのではなく、別のだれかに送ることです。だれかにしてもらった恩をその人に返す「恩返し」も素敵だけれど、親切にしてもらってうれしかったことを次の人に送っていくことは、幸せになる人がどんどん増えることになるような気がして、心に残っています。

 今年、物価が急に値上がりしたことを受けて、なんと私たちの給食が半額になりました。税金で給食費がまかなわれることになったからです。私は税のことを社会の時間に勉強し少しは知っていたけれど、社会保障といっても自分には無関係のような気がして、実感がもてませんでした。また、納税が国民の義務であったとしても、私にとっては遠い未来の話のように思っていました。しかし、今回のことで、税金がぐっと自分の身近なことに考えられるようになりました。税金は、みんなが困った時に手を差し伸べてくれるんだなぁとうれしくなりました。

 今、この給食費のために使われる税金は、私たちのお父さんやお母さんが納めたものです。私たちは、今はお父さんやお母さんが納めてくれた税金のおかげで毎日安心して生活ができています。でも、お父さんやお母さんも子どものころは、おじいちゃんやおばあちゃんが納めてくれた税金のおかげで大きくなったのだと分かります。

 今だれかが納めてくれている税金が「恩」であり、その恩恵を受けた人たちが、次の世代の人たちのために「恩」を送る人になっていくんだと思います。私もこの恩をたやさないように大人になったら次の世代のために税金を納めます。そしてこの幸せな気持ちも一緒に、この仕組みがずっと続いていったらいいなと願っています。


応神中学校 3年 齋藤 美心 さん

よりよい日本のために

 「虫歯と詰物の治療二本で、合計九万四千五百円?!」

 これは芸能人のたむらけんじさんが、アメリカで支払った歯の治療費だ。私はこのニュースを見てとても驚いた。母親に日本だとどのくらいかかるのか聞いてみた。「治療内容にもよるけど、だいたい五千円くらいかな」と言っていた。アメリカと日本とでは、どうしてこんなにも違うのかと疑問に感じ、調べてみることにした。

 日本には、アメリカにはない国民健康保険制度というのがあり、日本国民には国民健康保険税を支払う義務があることを知った。私の家の場合、一年間の収入や家族構成などに応じて、市町村で決められた算定方法で国民健康保険税の金額が決められる。そして、その金額の税金を納めることにより、国民健康保険に加入したことになり、三割の自己負担で医療を受けられ、残りの七割分は保険でまかなわれるということだ。だから同じ歯の治療でも、アメリカと日本とではこんなにも大きな差が発生することがわかった。

 私の家は農家だ。毎年七月頃市役所から国民健康保険納税通知書が送られてくる。それを確認する父は、毎年その金額に驚き、そして落胆している。その姿を見る私は子供なりに「どうして毎年そんなお金を支払わないといけないんだろう」と疑問に思っていた。しかし、たむらけんじさんの一件で、父が毎年納めている税金がどのように使われて、そしてその恩恵を私自身も身近に受けていることを知り、納税の大切さを実感した。

 コロナが流行してから、私は二度コロナになった。その時の検査や薬の処方、支援物資の提供も全て税金により無償で行われたことにとても感謝している。同じ頃、アメリカでは毎日大勢の人がコロナで亡くなっているとニュースで報じられているのを見た。そこには、こうした健康保険の有無が大きく関わっていると思う。日本では、電話ひとつで救急車が無償で出動してくれる。有料のアメリカでは、救急車を呼ぶのを諦めた人がいたかもしれない。高額の治療費のために診てもらえない人がいたかもしれない。そう思うと、日本は本当に恵まれていると思う。

 私の日々の生活の中で、税金による恩恵をたくさん受けていることを改めて知った。通学途中、自転車をこぐ足に当たって痛い道路脇の草はきれいに刈り取られている。教室に設置されたエアコンのおかげで、猛暑の中でも快適に授業が受けられる。私はまだ中学生なので、消費税くらいしか納められないが、自分が納めた税金が誰かの生活に役立てられていると思うとうれしくなる。「なんで払わなくてはいけないの」とは、もう考えなくなった。

 私の住む日本がよりよい国であるために、しっかり納税していこうと思う。


北島中学校 3年 新井 水稀 さん

「よろしくね」と「ありがとう」の気持ち

 私にとって幼稚園は思い出の場所だ。優しい先生、楽しく遊んでくれる友達など、すてきな人達に恵まれた。みんなと過ごした日常は、今でもよく覚えている。

 そんな忘れられないものとなった貴重な経験をした幼稚園が、2019年10月から、一部を除き制限付きで、利用費が無償化されていることを知った。そこでなぜ無償化することにしたのか、そして、そのお金はどこから支給されたもので賄われているのかということについて調べてみた。まず無償化された理由として最も大きなものは、少子高齢化対策だそうだ。そして無償化された分のお金は、増税された分の消費税で賄われているそうだ。

 この2つを知って特におどろいたのは、支払っていた消費税が、私より小さな子たちのためにも多く使われていたということだ。正直、増税され納めてはいたものの、「なぜ上げるんだろう」と思うだけで、使い所は知らなかった。中学生の私でもどこかで役に立てているというのが素直にうれしかった。

 また、子どもに対し税金が使われているのは、保育園、幼稚園ばかりではない。小学校や中学校の義務教育中、さらにそれを終えた先にある高等学校にも税金があてられている。高校卒業時までに使われる税金が、一人あたりなんと一千万円をこえる都道府県もあるそうだ。いったいなぜ、みんなが納める大切なお金を、未成年の私たちに多く使ってもらえるのだろうか。

 それはきっと、学校に通っている、また今後通うことになる私たちは、自分だけでなく税金を納める大人の未来をも担っているからだと思う。学生のときは税金の助けを受け勉強をし、大人になったら過去の自分のような、未来を担う学生に期待と希望をこめて税を納める。こういった循環がつながっていることを考えて、暖かな気持ちで税を納め、あてられた分を使うことこそが、未来をつくっていくのではないだろうか。

 よく大人が、

「学生時代の思い出は忘れられない」

 というのを耳にする。きっとその言葉は本当で、私も今までの幼稚園、小中学校での思い出を忘れず、これからの残りの中学校生活、そしてその先の学校でも、忘れられない思い出をたくさんつくることと思う。しかしそれは支えてくれる家族など周りの人、さらに国民が納める税金があって成り立つことだ。そのため、思い出をつくるだけでは終われない。思い出をつくると同時に、助けてくれるたくさんの人たちに恩返しをするような気持ちを持って授業を受け、勉強するようにしたい。

 大人になる上で必要な経験をするために保育園、幼稚園、学校などはあり、だからこそそこに税金が使われる。これからは私が出した私なりの考えを胸に、学校に通うようにしたい。学校に行くのを助けてくれている多くの人たちに、ありがとうの思いを持ち続けよう。