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令和4年度 小学生及び中学生の「税についての作文」

小学生の「税についての作文」は、徳島県下の6法人会が主催し、中学生の「税についての作文」は、全国納税貯蓄組合連合会及び国税庁が主催してそれぞれ募集しています。

令和4年度の徳島県における応募状況は、小学生の「税についての作文」は101校が参加し、1,231点の作品の応募があり、中学生の「税についての作文」は71校が参加し、4,955点の作品応募がありました。たくさんの応募作品の中から特に優秀な作品を掲載します。


徳島県知事賞

羽ノ浦小学校 5年 小川 虹歩 さん

未来をつくる税金

 曽祖母が、ひざの手術をすることになった。片方ずつ手術して、その後、リハビリができる病院に移り、良くなったらもう片方のひざを手術して、またリハビリ病院に移るという。しばらく会えなくなるのはさびしかった。それと同時に、長期入院するお金や手術代、リハビリ代はどうするのだろうと疑問に思った。そこで、母に聞いてみることにした。すると、母が、

「わたしたちが納めた税金がね、医りょう費にも使われているのよ。だから医りょう費の負たんが軽くなる。心配しなくていいのよ。ありがたいことだね。」

と言った。わたしはびっくりした。なぜなら、いつもお菓子や文ぼう具を買うとき、すっきりしない金がくが表示されているので、税金というものが、ややこしいなあと感じてしまっていたからだ。でも、その税金が、医りょうに使われているなんて。病気でしんどい時、医りょう費の心配が軽くなることは、本当にありがたいことだと思った。

 税に興味が出てきたわたしは、図書館で調べてみた。すると、消費税が社会保しょう費に使われていることがわかった。介護や年金、子育て支えんにも。私がはらった消費税も、めぐりめぐってだれかの役に立っていると思うと、税金をおさめることが、とてもすばらしいことだと思った。

 ほかにも税金は、くらしを支えてくれている。公園だって学校だって図書館だって、税金で管理されている。ゴミの収集も、警察や消防も。私がいつもたくさん借りる図書館の本も、お金がかかるとなると大変だ。わたしが毎日元気に学校に行けるのも、まわりの大人の人たちが税金を納めてくれているおかげだ。だから、そのことに感謝しないといけないと思う。そしてわたしも大人になった時、助け合いの気持ちをこめて、納税しようと思う。だれもが安心してゆたかなくらしができることを願って。


城東中学校 3年 鹿 愛 さん

命を繋ぐ救急車

 税金とは、消費税や所得税、ガソリン税等の様に、取られてしまう悲しいお金だと私は思っていました。しかし、その税金の使われ方について父と話をした事もあり、一度深く考えてみる事にしました。

 私が通っている中学校の色々な設備、教科書、また、日常的に利用している道路や公園などの公共施設、税金が使われ維持されている所はたくさんあります。その中でも、私が着目したい点は救急車です。父は北京市出身で、中国の税金の使われ方を聞いてみました。中国では救急車の利用が全て有料との事です。救急車が現地に到着するやいなや、

「あなたは救急車の利用料金が支払えますか?病院の費用も支払う能力がありますか?救急車に乗る事ができるほどあなたはお金を持っているのですか?お金を払わなければ救急車に乗せる事はできません。」

と、最初に問われるのだそうです。利用料金を直ぐに支払える人もいれば、そうではない人もいるでしょう。私も持病のぜん息発作により、クループ咳が止まらず息苦しくなり、徳島市消防局東消防署の救急車にお願いをした事があります。その時に私が少しでも安心ができるようにと、優しく心を砕いて下さいました。しかし、中国では容態や安否を尋ねる前に、救急車の利用料金や病院の支払い能力について先ず尋ねるのです。支払える事の確認が取れ、実際に支払いの確約が取れた後に、ようやく病院へと搬送をして貰えるのです。

 その人に支払い能力がなければ、親兄弟親戚や友人に借金をして乗せてもらうか、もしくは乗る事自体を諦める他ありません。その費用の内訳はと言うと、要請をした基本料金と、その場所から病院までの往復の距離に応じての料金が加算される仕組みだそうです。その他にも、人件費やガソリン代金等の費用も上乗せされるようです。距離に応じての料金と言う点は、タクシー利用に似ています。

 日本では、市町村に納められた自治体の税金により、救急車の利用は一切費用が掛かりません。その時の出動条件にもよるようですが、一回出動する度に、四万五千円ほど必要だそうです。無料だからと言って昼間の混雑を避けるため、夜間外来へタクシー代わりに救急車でやってくる患者もいると、ニュース報道で見たことがあります。安易な救急要請をするその裏で、一刻を争うような患者が助からないなどと言う様な事があるかも知れません。

 最近で言うと、新型コロナウイルス感染症に罹患した患者の命綱が、救急隊員さんと救急車なのです。自分たちがいつ罹患するかどうか分からない中で救助活動をして下さっているのです。いたずらや面白半分で救急要請をする人がこのまま増えて行くと、自治体の税金で維持しまかなうことが難しくなってきます。自分たちの命を救い、また、命の選別をされないためにも、自分たちの納めている税金を大切に使って行きたいと思います。


阿波中学校 1年 中野 夏実 さん

税金があったから

 六月、私の母と妹が新型コロナウイルスに感染した。そして、家族全員が濃厚接触者になって、父は単身赴任のため、私が朝昼晩のご飯を作らなければならなくなった。はじめのうちは楽しんでやっていたものの食料も少なくなりわたしができるメニューも、もうなくなった。近くに住む祖父も協力してご飯を運んでくれたがあと八日間もどうすればいいのかと途方に暮れた。

 そんな時、玄関前に大きなダンボールがどんと二つ置かれた。母に開けてみてと言われ、中を開けてみると、たくさんのレトルト食品と飲み物、そしてビニル袋や消毒液などの日用品、デザートの缶詰まで入っていた。後で母に聞いてみると、それは、税金でコロナにかかった人に送られてくる救援物資だったそうだ。私は、小学校での学習で、税金はすごく大切なものと知っていたけれど、実際は、消費税などで払うことばかりで自分の生活に役立っているという実感はなかった。しかし、今回のことで、税金にとても助けられた。救援物資が届かなければ、私たち家族の十日間の自宅待機生活はどうなっていたのだろうと感じた。

 救援物資以外にも毎日の健康確認の電話をしてくださった保健所の方々への給与、コロナ治療のための薬、濃厚接触者のPCR検査など、この一件だけでも、たくさんの税金で賄われている。コロナの予防接種も無料で受けることができ、そのおかげで重症化する人が少ない。私の母や妹が軽症ですんだのも、そんな国の制度のおかげなのかもしれない。もし税金がなかったら、私たち家族は、コロナにかかった上にお金が大量にかかって大変だったことを知って、税金は本当に大切で困っている人を助けてくれる命綱みたいなものだと身をもって実感した。

 調べてみると税金は、健康や生活を守る社会保険費、道路や住居などを整備する公共事業費、教育や科学技術の研究の文教・科学振興費、国の防衛のための防衛費、海外援助などの経済協力費などに使われているそうだ。税金は日本のことだけではなく、海外の救助までしていて、とてもびっくりした。

 わたしはこれまで、何も考えずに平和で豊かな暮らしを送っていて、税金によってこの生活が維持されているなどということは考えもしなかったが、わたしたちが今、普通に学校に通い、家族と幸せな生活を送ることができているのは税金のおかげだということを改めて考えることができた。

 これから、私は困っている人たちやみんなのため、そして私自身のためにもしっかり働いて、きちんと税金を納める人になりたいと思う。私の払った税金が誰かを助け、誰かが払った税金が私を助けてくれているというのが税金の仕組みだ。実際に、助けられた私たち家族のこの経験を忘れずに毎日を過ごしたい。そして、この制度が平等に困っている人にしっかり届いて、みんなが幸せになれる税金になってほしい。