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令和3年度 小学生及び中学生の「税についての作文」

小学生の「税についての作文」は、徳島県下の6法人会が主催し、中学生の「税についての作文」は、全国納税貯蓄組合連合会及び国税庁が主催してそれぞれ募集しています。

令和3年度の徳島県における応募状況は、小学生の「税についての作文」は108校が参加し、1,310点の作品の応募があり、中学生の「税についての作文」は74校が参加し、5,116点の作品応募がありました。たくさんの応募作品の中から特に優秀な作品を掲載します。


徳島県知事賞

伊沢小学校 6年 林 優希 さん

人の命も守る税

 新型コロナウイルスのワクチン接種券が私にも届きました。いつもなら届いた手紙などは中身を見ないけど、新型コロナは今の私の大きな関心事の一つなので封を開けて隅々まで読みました。中に「費用負担はありません」と書かれていました。お母さんに聞いてみるとワクチンのほとんどが公費いわゆる税金で賄われているからという返事でした。

 そして、私の母子手帳を見せてもらったところ、三種混合とかBCGとかと書いている欄に隙間なくワクチンナンバーと接種日が書かれていました。お母さんは予防接種のおかげもあって今私が元気で学校に行って友達と一緒に勉強したり遊んだりできるのだと教えてくれました。

 学校で税の勉強をしたときは、税金を国に納めるより自分で働いて稼いだお金は貯金をして、将来の蓄えや困ったときに使いたいと思っていました。けれど、全員が病気に対して同じように予防ができるなら税金を納める意味もあるのかなと思いました。

 その他に人の健康や病気の予防に使われているものはなんだろうと気になって調べてみると、新型コロナの治療や救急車の運用などにも税金が使われていることが分かりました。おじいちゃんは仕事中にケガをしたときに救急車を使ったそうです。そのときはとても助かったと言っていたのを思い出しました。海外では救急車が有料なところもあり、貧富の差によって治療が遅れてしまうこともあることを知りました。日本の税金利用のシステムはありがたいことであるということを身近に感じました。

 税金を納めることが国民の義務であるということはわかっていましたが、それが何に使われているのかを知ることも大切だと思いました。そして、税のおかげで人が健康で仲良く生活をし、私たちの将来を支えていることが分かりました。今の私は税金にたくさんお世話になっていますが、将来は立派な納税者になって、自分の将来や未来の人の支えになりたいと思います。


鷲敷中学校 2年 岸本 愛 さん

税金は自分自身も守る

 「税金」それは、私には関わりのないものだと思っていた。ある日、私は母と買い物に行き、消費税で思ったよりも高額になったため

「なんで税金って払わなあかんの。」

と母に尋ねた。すると母は、

「税金がなかったら、今当たり前にできよることはできんよ。」

ときっぱりと答えた。それ以上話すことはなかったけれど、私の心にはまだ疑問が残っていた。

 今年の七月、租税教室が行われた。税金は私たちが毎日使っている教科書など身近なところにたくさん使われていることを知った。驚いた私は、税金について調べてみた。すると災害復旧費というものがあることを知った。日本は災害がとても多い国だ。最近も熱海市の土石流のニュースに心を痛めたばかりだ。私も災害を経験したことがある。

 私が小学一年生の夏、相次ぐ台風により、那賀川流域では甚大な浸水被害が発生し、特に私の家がある和食・土佐地区では、二七九戸もの家屋浸水被害が発生したのだ。二年生の夏は、私の家は倉庫にしていた一階が浸水した。幸い生活場所が二階と三階であったため、避難することはなかったのだが、停電により、肺の悪い祖父が使っていた酸素の機械が動かなくなってしまった。いつもその機械で酸素を吸入していた祖父にすれば、機械は命綱とも言える。幼かった私はどうすればよいか分からず不安を募らせていた。

 そのとき消防の方がボートに乗って祖父のために発電機を持ってきてくださった。そのおかげで祖父の機械を動かすことができたのである。私は消防の方に

「大丈夫やけんな。がんばりよ。」

と声をかけていただき本当に勇気づけられた。台風が過ぎ去ったあとも、家の周りにあった大きながれきを片付けてもくださった。

 もし税金がなかったら、消防の方は来てくれないし、祖父の機械も停電のままで動かすことはできなかった。私も不安なままで夜を過ごすしかなかっただろう。母が言っていたように、税金がないと、当たり前にできることはできないのだとわかった。税金とは、いつでも私たちを助けてくれる、なくてはならない存在だと思った。

 度重なる浸水被害をなくすため、多額の費用と時間をかけて建設してきた町の堤防工事が、今年五月、ついに完成した。町の景観が一変するほどの大工事は、六年という長い歳月をかけて行われた。堤防が完成したことで、私の家はもう浸水被害の心配もなくなった。堤防工事をしてくれている人たちの姿や、徐々に完成していく堤防の様子を見ながら、私たちはたくさんの人や税金に助けられているんだと実感し、深く感謝した。

 町を守ってくれるのが堤防であるように、税金は自分自身を守るためのものでもある。租税教室により、税金について知り、税の大切さを学ぶことができて本当によかった。みんなが感謝の心で税を納められる社会にしたいと、私は今心から思っている。


鷲敷中学校 2年 尾崎 結菜 さん

税から学んだこと

 私がまだ自分の体より大きいランドセルを背負っていた頃。普段の母からは考えもつかない慌てた声で電話がかかってきた。

「落ち着いて聞いてよ。」

その電話の内容は、弟がしばらくの間、病気で入院することになったというものだった。突然の思いもよらぬ出来事に、頭の中が真っ白になったのを今でも鮮明に覚えている。私の弟は、今でこそ溌剌として元気だ。しかし幼い頃は病院に行くことが多く体は弱かった。弟は五歳という幼さで長期入院を経験することになったのだ。私もまだ幼かったので、両親が弟の世話でかかりっきりになっているのが寂しかった。両親の顔を見るより、近所に住む祖父母と顔を合わせることの方がはるかに多くなっていた。

 一人の時間を持て余した私は、よく町の図書館を訪れていた。たくさんの本を読み、本を借り、静かな図書館で自分の好きな時間を過ごしていた。こんなに多くの本があることを不思議に思った私は、司書の方に

「こんなにたくさんの本は、どこからくるんですか。」

と尋ねた。すると

「貸し出すための本は税金でまかなわれているんよ。」

と教えてくださった。その頃の私にとって、税金のイメージは、店で買い物をしたら支払うお金が高くなるという厄介な存在であった。しかしこのとき、大好きな本を与えてくれるものという税の働きを知ったのである。幼いながらも、税金のありがたさが心に刻まれた瞬間でもあった。

 そして中学二年生となった私は、「租税教室」で税金について学習する機会を得た。そのとき私の目に飛びこんできたのが、国民医療費という文字だ。幼い日に長期入院をした弟を助けてくれたのは、医療従事者の方々であり、税金であったのだと改めて実感し、さらに税金への感謝を深めたのであった。弟もあれからは入院することもなく、元気に過ごしている。私たちの町の「はぐくみ医療」は、十八歳まで医療費を負担してくれるというものだ。私たちが大きな病気にならずに成長していけるのも、このような税の助けがあるからだと深く感謝した。

 私たちに一番関わりの深い消費税が十パーセントになって、もうすぐ三年が経つ。今も税金にマイナスイメージを持つ人は多くいる。しかし考えてみてほしい。一人一人が納める税金によって、私たちは多大な恩恵を受けているのだ。

 租税教室で教えていただいた「税金は、平和で健康で人間らしく生きるため、みんなが平等に負担する会費のようなもの」という言葉は私の心に強く刻まれた。私は弟にこの言葉を伝えたい。日本の税金の使われ方を正しく理解し、税金に感謝できる人になってほしいと思う。そして税金について得た知識は、弟以外にも伝えていきたい。税金について理解し、正しく行動できる人が少しでも増えてより豊かな社会が築けるように。私はこの社会の一員として、自分にできることを続けたいと思っている。