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野生鳥獣は自然の生態系の中で、自らエサを探し、生き抜いていく力を持っています。
人間がエサをあげることは、生態系を乱し、彼らの主体性を奪う行為です。
野生鳥獣には絶対にエサをあげないでください。
何故エサをあげてはいけないの?
野生鳥獣は本来警戒心が強く、人の気配を感じると離れていくものですが、エサを与えられた野生鳥獣は、人に慣れてしまい、人を恐れなくなります。
その結果、次のような被害が発生します。
(1)人から食べ物をねだるようになります。
人を恐れなくなった野生鳥獣は、与えられるエサだけをもらって満足するものばかりではありません。人家に侵入してゴミを漁ったり、ひどいものになると、人から食べ物を奪おうと襲いかかってくるようにさえなります。
(2)食べた量だけフンをします。
人を恐れなくなった野生鳥獣は、エサが簡単に手に入るので、人間の近くに営巣し、生活するようになります。
ときには人家の軒下やベランダにまで入り込んでくる場合さえあります。
野生鳥獣の巣の付近は、フンや毛が散乱し、悪臭を伴って非常に不衛生な状態を作り出します。
また一旦営巣した野生鳥獣は、我が家を守るため、人を威嚇するようになります。
(3)栄養状態が良くなり、どんどん増えていきます。
栄養状態が良くなった野生鳥獣は、繁殖の成功率が高まるため、どんどん増えていきます。
増えた分だけ、食べ物を必要とするため、農作物を食害したり、人から食べ物を奪おうとします。
野生鳥獣が増えたぶんだけ、人に与える影響も大きくなります。
(4)野生でのエサの取り方を忘れてしまいます。
苦労せずともエサが手に入るので、自然界からエサを獲得しようとしなくなり、自力で生きる力を失っていきます。
結果としてますます人に依存するようになり、人の世界に入り込んでくるようになります。
また警戒心を失ってしまった彼ら自身は、他の野生鳥獣に捕食されやすくなります。
…最近、増えすぎた野生鳥獣のフン害など、野生鳥獣に関する多くの苦情が寄せられます。
野生鳥獣にエサを与えることで、被害を受けている方がいるのです。
人の生活環境に著しく影響を及ぼす野生鳥獣は、やむをえず駆除せざるを得なくなるなど、時として不幸な結果を招くことがあります。
野生鳥獣が人を恐れなくなることは、人にとっても、野生鳥獣にとっても不幸なことなのです。
野生鳥獣は、自然の中で、生態系の一部として生きています。
野生鳥獣が自然の中で生きられるように手を出さずに見守ることが、人が野生鳥獣にしてあげられる最大の支援と考えます。
皆様も、野生鳥獣とのつきあい方をもう一度考えてみましょう。
(参考)
●環境省HP『野生鳥獣に係る各種情報パンフレット』
http://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs5.html