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とくしま歴史文化総合学習館(徳島県立埋蔵文化財総合センター)

レキシルとくしま

徳島県観音寺・敷地遺跡出土品の重要文化財(考古資料)の指定について

徳島県観音寺・敷地遺跡出土品の重要文化財(考古資料)の指定について


文化審議会は、平成27年3月13日(金)に同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、国宝・重要文化財の新指定16件を文部科学大臣に答申しました。この中に、徳島県の「徳島県観音寺・敷地遺跡出土品」が含まれていますので、ご紹介します。


特徴・評価

今回、重要文化財にしてされる徳島県観音寺・敷地遺跡出土品(922点)は、平成9年度から平成20年度の環状道路建設に伴う発掘調査で、徳島市国府町観音寺・敷地で主に流路跡(りゅうろあと)2条から出土した阿波国府に関する出土品です。
飛鳥時代から平安時代の資料が大半で、「観音寺(かんのんじ)・敷地(しきじ)木簡」として知られる多数の木簡や墨書土器、役人の身分を表す腰帯具、文書行政に必要な銅印、硯など政務を表すものや、斎串(いぐし)や人形(ひとがた)などの祭祀具(さいしぐ)具や農工具(のうこうぐ)・紡織具(ぼうしょくぐ)・建築部材などの木製品、漆関連製品、武具(ぶぐ),瓦(かわら),楽器(がっき)など祭祀や生産・生活を表すものがあります。また各時期の指標となる土器などを含めて,古代地方官庁の多様性を示すものが多数出土しています。
7世紀中頃の「論語(ろんご)」木簡は棒状の四面体のうちの一面に『論語』学而篇(がくじへん)第一(だいいち)の一節を記し,我が国への論語の流入状況を示すものとしても貴重です。また7世紀後半の「五十戸税(ごじゅうこぜい)」木簡や「板野国守」木簡は国府の成立段階の様相を示すほか、8世紀の「勘籍(かんじゃく)」木簡は戸籍を検査し身分を確認する阿波国司と中央官庁との行政手続きを示しています。
また、木製祭祀具については、斎串や立体的な人形・刀形・舟形などは継続的に使用されますが、7世紀末以降に扁平で板状の人形や刀形などが加わるなど、在地的な祭祀と律令的な祭祀が重層的に行われている様子がわかりました。
これらのことから、木簡をはじめとして指定品は古代地方官衙に関する諸要素が網羅されており、政務や律令制度の実態、官人層の生活等を復元する上で重要です。さらに出土品は7世紀から10世紀と連綿と認められることから,律令制の浸透、経営の実態など、古代律令制化の歴史環境を具体的に解明する上で重要な歴史資料であり,阿波国府成立過程や終焉を知る上でも,その学術的価値は高いものです。


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