〒770-8570
徳島県徳島市万代町1丁目1番地
- 電話番号:
- 088-621-2500(代表)
- 法人番号:
- 4000020360007
徳島県知事 後藤田正純
聞き手:フリーアナウンサー 平石香奈子氏
■平石
知事就任から3年目を迎えられましたが、今のご心境をお聞かせください。
■知事
本当にあっという間でした。私が考える「知事」の使命とは、自らが徳島の未来を左右する「経営者」であるという自覚を持ち、さまざまな人や企業、関係機関と連携して政策を推進することで成果を出すことだと思っています。
ご承知のとおり、徳島県は今後30%の人口減少が見込まれています。つまり、市場も労働力も3割縮小するということです。こうした少子高齢化は日本全体の課題ですが、政治や行政が正面から向き合えているとは言い難い。私はそれをしっかりと受け止め、この数年が勝負だという意識で、スピード感を持って改革に取り組んでいます。
人口が減少し、若者が県外に流出する中で、県庁職員に求められるのは前例を踏襲することではなく、新しい政策を次々に打ち出す「新次元」への挑戦です。
私は職員に「常にバットを振れ」と伝えています。空振りしても構わない。いちばんよくないのは、何もせず見送ることです。
■平石
知事が就任されてから、県庁の雰囲気が大きく変わりましたね。職員の皆さんの服装や表情を見ても、生き生きと働かれている様子が伝わってきます。
■知事
今の時代、県庁も「選ばれる職場」でなければなりません。働き方やワークライフバランスが問われる中で、県庁もまた、リラックスできる空間や五感を刺激する職場環境へと進化させていく必要があると考えています。
その取り組みの一つが、万代庁舎11階にある食堂・展望者ロビーのリニューアルです。昼食をとるだけの場ではもったいないという発想から、会議や懇親会、県民の皆さまとの交流にも活用できる”開かれた空間”として整備しました。
■平石
こんなおしゃれな県庁なら、県民も誇りを持てますね。
■知事
最先端企業では、社員がそれぞれタブレットを持ち、好きな場所で自由に働くスタイルが一般的になりつつあります。大切なのは「結果を出せば、やり方は問わない」という柔軟な考え方だと思います。
今後も、職員一人ひとりがやる気をもって働けるよう、庁内の環境づくりをさらに進めていきます。
■平石
県庁では中途採用が増えていますね。
■知事
今年度は40人ほどを中途採用しました。国の官僚や他県の県庁職員、政令指定都市の職員などが含まれています。また、徳島の変化や進化に共感して入庁された、民間出身の方々も多数いらっしゃいます。
私が職員によく伝えているのは、「方法論と目的論を取り違えないようにしよう」ということです。大切なのは、あくまでも”目的”です。これまでのやり方にとらわれず、目的に応じて柔軟に方法を見直していく。そうした姿勢が、職員のさらなる成長につながると考えています。
■平石
県庁のチームも、どんどん強くなっているんですね。
■知事
ありがとうございます。今後も職員一人ひとりが目的意識を持ち、チーム力を高められるよう取り組んでいきます。
■平石
国際化に向けた取り組みも、さまざまな場面で成果が見え始めていますね。
■知事
県では10年先を見据えた構想として、昨年に「徳島新未来創生総合計画」を策定しました。基本理念は「未来に引き継げる徳島」の実現です。未来を担う徳島の若者たちが国際的な視野を持つことは、新しい時代を築くうえで何よりも重要だと考えています。
たとえば、韓国では国民の約6割がパスポートを取得しているのに対し、日本はわずか17%。このままでは、世界と渡り合うことはできません。
そんな中、2つの国際定期便の就航により、韓国や香港がぐっと近くなりました。まさに徳島の国際化に向けた大きな一歩です。修学旅行などを通じて若者が海外を体験することで、「日本の良さ」や「徳島の魅力」を再認識する機会にもつながります。
まずは県民や企業の皆さまに国際定期便をご利用いただくことで、子どもたちにも”国際化”への意識が自然と芽生えていくはずです。この環境を未来に向けて持続していくためにも、ぜひ積極的なご活用をお願いいたします。
■平石
教育分野でも、さまざまな改革を打ち出していらっしゃいますね。
■知事
教育は未来そのものです。県では、公平な受検機会を確保するための学区制見直しをはじめ、英語教育や国際交流、STEAM教育の推進などを通じて、世界に通用する人材の育成に取り組んでいます。
また、今年4月からは県立学校47校で、年間3日間の休日を取得できる「ラーケーションの日」を導入しました。ご家族で休暇を取り、気軽に国内外へ出かけることで、多様な学びの機会を得ていただければと思います。
■平石
徳島の経済についてお聞かせください。
■知事
徳島のGDPは約3・3兆円ですが、1人あたりの県民所得は全国9位(R3)です。グローバル企業があり、製造業の生産性は全国2位を誇ります。
一方で、本県には小規模事業者の生産性の低さや後継者不足といった課題もあります。こうした企業が連携し、再編を進めることで、大企業や世界と戦える力が生まれると考えています。
また、県では昨年、最低賃金を引き上げ、一昨年まで全国ワースト2位だった順位を27位まで改善しました。実質賃金は直近8カ月連続でプラスとなり、外国人や障がいのある方、高齢者、大学生アルバイトなど、さまざまな人の働きやすさにもつながっています。
■平石
今後の展望についてお聞かせください。
■知事
今後10年が勝負となる「地方創生戦国時代」を生き抜くため、「ずっと居りたい」「いつも帰りたい」「みんな行きたい」という将来像を掲げました。その実現に向け、「安心度」「魅力度」「透明度」の3つを柱としています。
防災・医療・保育・教育によって「安心度」を支え、国際定期便や大型イベントで「魅力度」を高める。そして、透明性と結果にこだわる経営感覚が「透明度」につながると考えています。
昨年度の徳島県への移住者数は2年連続3000人を超えました。「徳島には何もない」と言われることもありますが、豊かな自然やおいしい食べ物、海外へのアクセスといった魅力が、県外の人々に評価されている証だと捉えています。宿泊者数もかつて全国最下位でしたが、現在は大きく回復し、訪日外国人観光客も増加傾向にあります。
これからも”攻め”の姿勢で、笑顔と誇りにあふれる徳島を皆さんと共に築いていきたいと思います。若者たちが誇りを持てる徳島の実現に向けて、引き続きご協力をお願いします。(敬称略)
働く場としての本県の魅力が向上。
R5年度からR6年度の増加率「全国1位」に。
住民の命を守る。市町村発行額の伸びが対前年度比「全国1位」に。
香港、韓国との間に、年間を通じた「国際定期便」が就航。
県産品の販路開拓や県内企業の海外進出を支援する「官民一体のワンストップ組織」。
子どもの夢を広げるイベントに、8万人の大観衆が集結。
行政や民間から、経験豊富な職員を積極的に採用。