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近年、アジア大陸からの越境汚染として、光化学オキシダントの濃度上昇や有害大気汚染物質の長距離輸送、PM2.5の濃度上昇等が注目されている。黄砂もアジア大陸から輸送されるものの一つであり、環境省が実態解明調査に取り組むなど、我が国への環境影響が懸念されている。
平成23年3月には大規模な黄砂が確認され、県内においては、浮遊粒子状物質濃度(SPM)がすべての地点で環境基準を上回った。 また、PM2.5については、大陸(中国)からの影響が注視されており、これらの実態把握と県民の健康影響についての調査が必要と考えられる。
黄砂時と非黄砂時における浮遊粉じんの成分を重金属元素濃度を中心に調査し、黄砂時における大気汚染物質濃度について把握する。合わせて、PM2.5についても同様に調査を行う。
また、黄砂時においては重金属元素の起源が黄砂起源によるものなのか、もしくは、それ以外の起源(輸送中における吸着等)によるものかを確認するため、各成分の濃縮係数を算出する。
さらに、重金属元素濃度とその毒性値(指針値等)を比較し、健康影響について検討するほか、マスク等における防御対策の効果について調査を行う。
・黄砂時における金属元素成分、イオン成分の濃度実態の把握
・無機元素比、濃縮係数を用いた金属元素の起源の推定
・有害な金属元素等の健康影響の検討及び防御対策の効果の検討
・黄砂試料については、保健製薬環境センター(徳島市)、阿南保健所(阿南市)、美馬保健所(美馬市)において、ハイボリュームエアサンプラーを用いPTFEろ紙上に浮遊粉じんを採取する。
・金属元素成分、イオン成分については「微小粒子状物質成分測定マニュアル」を参考にそれぞれ、誘導結合プラズマ質量分析装置、イオンクロマトグラフ分析装置を用いて定量する。
・得られた定量結果から無機元素比及び黄砂標準試料(中国の国家1級標準物質:黄砂エアロゾル標準物質CJ-2)から算出した濃縮係数を用いて金属元素成分の起源推定を試みる。
・工場等からの排出基準または大気環境中における濃度について指針値等の設定されている有害な金属元素については、黄砂日の濃度実態から健康影響を検討し、マスクによる防御対策の効果を検討する。防御対策の効果については、マスク使用時の浮遊粉じんの除去効果を捕集フィルターの重量比から検討し、さらに金属元素成分毎にマスク使用時の濃度を算出し、マスクの効果を検討する。
・黄砂時における金属元素濃度およびイオン成分濃度について把握することができた。
・黄砂時における金属元素の起源を推察することができた。
・黄砂時の防御対策としてマスクの有用性が示唆された。