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試験研究概要(酸性降下物に関する共同調査研究)

課題名 「酸性降下物に関する共同調査研究」

  1. 担当 大気環境担当
  2. 研究期間 平成25年度~平成29年度(予定)
  3. 予算種類 県単独
必要性

 酸性雨については、ヨーロッパや北欧において森林や湖沼への影響が顕在化している。日本においては、酸性雨が観測されている(平成21年度全国平均4.76)ものの、現時点での植生衰退などの生態系被害や、土壌の酸性化は認められていない。しかしながら、現状程度の酸性雨が継続した場合、今後において生態系への影響が懸念される。そのため、日本全域において酸性沈着による汚染の実態を把握する必要があり、本県も全国環境研協議会の実施する調査に参画する。(平成15年度の第4次調査から調査研究費で参加。)

目標

 全国環境研協議会酸性雨調査について、第5次調査終了に伴い、新たに第6次調査に参加し、酸性沈着による影響の把握、酸性沈着量の時間的空間的変化とその影響を把握するためのデータ提供を行う。また、徳島県の酸性沈着量の現状と全国調査の状況を考慮し、今後の環境対策の基礎資料とする。

研究内容

 保健製薬環境センター(徳島市)の屋上で、降下物を1週間単位で採取し、降水量、水素イオン濃度(pH)、電気伝導率(EC)を測定する。加えて、イオン成分(Na+,NH4+,K+,Ca2+,Mg2+,NO-3,SO2-4,Cl-)についても測定を行う。得られたデータは、1年分をまとめて、全国環境研議会・酸性雨広域大気汚染調査研究部会に送付する。

手法

 当センター屋上に、冷却機能を備えた降水時開放型捕集装置を設置し、1週間ごとの降下物を採取する。得られた試料量から週間降水量を算出し、電極法によりpHおよびECを測定する。イオン成分については、0.45μmのメンブレンフィルターを用いて吸引ろ過した後、イオンクロマトグラフィー(ダイオネックス社ICS-2000)を用いて定量する。測定結果については、イオンバランスと電荷バランスを算出し、データの信頼性を評価する。

これまでの成果

 降水のpHについては、月単位でおよそ4~6の範囲で変動し、全国と同程度で推移していた。また、ゆるやかではあるが降水のpHは上昇傾向にあり、中性域に近づいていることが確認された。データーについては、全国環境研議会・酸性雨広域大気汚染調査研究部会に送付し全国的な解析が行われている。