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日本紅斑熱の病原体であるRickettsiajaponica(以下;R.J)は、マダニ類が保有し、ヒトや動物がこのR.J保有マダニに刺されることで感染する。日本紅斑熱患者は1984年に徳島県で初めて確認され、感染症法においては4類感染症に指定されている。その後、本県においては毎年1~2名の患者発生がみられていたが、近年増加傾向にある。
日本紅斑熱は時に重症化し、適切な治療を早期に行う必要がある。そのため遺伝子検査法を用いて迅速にR.Jの検出を行える体制を整え、患者発生地域を中心にマダニのR.J保有状況を調査することは、感染症の蔓延予防にとって重要である。
公定法として実施しているペア血清による診断は、結果が出るまでに20日程度を要する。そこで早期治療の一助となるよう、迅速に実施できる遺伝子検査法を検討し、日本紅斑熱の効果的な検査診断体制の確立を図る。またマダニのR.J保有状況を調査し、日本紅斑熱予防のための感染源状況の把握および情報提供を推進する。
臨床検体やマダニからR.Jを検出する迅速検査法として、リアルタイムPCR法を用いた遺伝子レベルでの検出方法を確立する。さらに、患者発生地域を中心にマダニを採集し、R.Jの保有状況を調査する。
日本紅斑熱の病原体であるRickettsiajaponicaを対象とする。検体からのR.Jを検出する迅速検査法としてリアルタイムPCR法を用いた遺伝子レベルでの解析方法を確立する。検体からのR.J遺伝子の(1)抽出法の検討。リアルタイムPCR法による・(2)迅速性・(3)同定精度・(4)検出感度などを検証し、検査マニュアルを作成する。
年間を通じ、感染推定地・推定地に隣接する野生動物が立ち寄りそうな場所及び陰性対照地についてマダニを採集し、マダニのR.J保有状況を調査・解析する。R.J保有マダニが検出された場合は、HP・パンフレット等を用い県民に対し注意喚起や予防啓発活動を実施する。