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試験研究評価シート(事後評価:徳島県における小児のヒトボカウイルス感染症の罹患状況)

課題名「徳島県における小児のヒトボカウイルス感染症の罹患状況」

1.評価の種類:事後評価

2.担当名:保健科学担当

3.研究期間:平成21年度~平成22年度

4.予算額:

5.予算種類:県単独

必要性

 ヒトボカウイルス(HBoV)は2005年にスウェーデンで発見されて以来、世界中で相次いで検出されている。HBoVは乳幼児の呼吸器感染症の原因ウイルスとして明らかになりつつあるが、臨床面、ウイルス学的、疫学的観点からも不明な点が多い。日本国内においても、まだ報告数が少なく、全国でのさらなる疫学情報の蓄積が必要である。そこで、徳島県内での検出状況を調査し、他地区の成績と合わせ、日本におけるヒトボカウイルス感染症の病態解明に役立てる。

目 標

 徳島県内におけるHBoVの検出率、季節性、他のウイルスとの重複感染率を調査、結果を解析することによりヒトボカウイルス感染症の病態解明に向けての基礎資料を作る。

研究内容

 呼吸器系疾患、胃腸炎症状で県内の医療機関を受診した小児から採取した鼻咽頭拭い液、便を検体として、HBoVの検出を試みる。HBoVの検出率、季節性、他のウイルスとの重複感染率等を調査、解析する。

手 法

 QIAamp Viral RNA mini kit (QIAGEN) を用いて、検体よりウイルスDNAを抽出する。TaKaRa Ex Taq Hot Start Version (TaKaRa)、プライマー 188F、542R を用いてPCRを行い、アガロース電気泳動により生成物を確認する。PCR産物を精製後、塩基配列を解読し、BLASTによる相同性検索を行い、ヒトボカウイルスであることを確認する。

成 果

 2007年~2010年に採取された1180検体について調査を実施した。

 呼吸器疾患に4.0%、全疾患で2.7%HBoVが検出された。患者年齢は6ヶ月~5歳であった。

 特に4~5月が検出率が高く、季節性が認められた。2008~2009年に流行が認められた。他のウイルスとの重複感染率は25%と高くなっている。

 現在行っている発生動向調査事業において、季節性の認められた時期にはヒトボカウイルスを検査項目として取り入れることとした。

その他