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畜産研究課 Livestock Research Division

阿波尾鶏物語 -開発からブランド確立まで- 第3回

第3回

「地鶏肉」JASの取り組み

 日本国内には、地鶏や銘柄鶏と呼ばれるブランド鶏が177銘柄(日本食鳥協会:全国地鶏・銘柄鶏ハンドブック2017)あります。

 農林水産省は、地鶏や銘柄鶏の流通が広まり始めた当初、これらの「違い」が曖昧であることから、消費者が製品の価値を正当に評価できるように、「地鶏肉」を定義付ける「地鶏肉日本農林規格」(地鶏肉JAS)を制定しました。(平成11年6月)

 地鶏肉JASの仕組みは、登録認定機関と呼ばれる第三者認定機関から認定を受けた生産工程管理者が、生産された鶏肉が地鶏肉の生産方法の基準に適合しているかなどを検査・格付けし、JASマークを添付するというものです。(平成11年7月改正)(図3)

 徳島県阿波尾鶏ブランド確立対策協議会は、この地鶏肉JASを全国に先駆けて活用することで、より多くの消費者に阿波尾鶏の良さを伝えられると考え、認定申請に向けた作業に取りかかりました。阿波尾鶏が地鶏肉JASの認定を受けるためには、まず、地鶏肉の登録認定機関が必要でした。ブランド協議会のメンバーである徳島県は、公益社団法人徳島県畜産協会(当時:徳島県畜産会)が、登録認定機関としてJAS認定業務を行うことを推し進め、登録申請にかかる事項について理事会協議を繰り返し、臨時総会を経て、農林水産大臣に申請書を提出しました。(平成12年11月)

 提出された申請書は、地鶏肉の登録認定機関としては初めての申請であったため、農林水産省との協議は幾度にも及び、その中で必要とされた業務規定変更などの手続きを済ませ、徳島県畜産協会が登録認定機関として認定されました。(平成13年3月19日)

 このことに併せて、阿波尾鶏を処理する食鳥処理場(県内2業者)は、生産工程管理者の認定にかかる書類審査(認定の技術的基準等)と現地検査(食鳥処理場と阿波尾鶏生産農家)を申請し、合格しました。(平成13年3月27日)

 これにより阿波尾鶏は、全国に数ある地鶏の中で「地鶏肉JAS 第1号」の認定を受けることができました。認定後は、想像していた以上に、台帳記帳や証拠書類の整理などに労力がかかりますが、ブランド地鶏の最大の脅威である「ニセ物・偽装表示」からブランドを守り、安全・安心の証となる地鶏肉JASは、阿波尾鶏には無くてはならない制度となっています。

地鶏肉日本農林規格
阿波尾鶏の地鶏肉JAS認定証授与式
【地鶏肉JAS認定証授与式】

阿波尾鶏のこれから

 阿波尾鶏は、平成31年に販売開始から30周年を迎えました。販売当初は、誰もが年間200万羽を出荷できる地鶏になるとは、夢にも思っていませんでしたが、今では協議会会員が一丸となり、年間出荷羽数300万羽という大きな目標に向けて様々な取り組みを行っています。

 今後も、ヒナの安定供給や加工品開発、地鶏肉JASなどを継続するとともに、阿波尾鶏を地域資源の核とした、新たな産業分野(IT産業、アニメ産業など)とのコラボレーションによる地域振興の深化にも取り組んでいきます。また、阿波尾鶏が最も力を注いできた「安全・安心」についても更なる高みを目指し、GAP及びHACCP認証の取得に挑戦し、東京オリンピック・パラリンピックや海外市場など、徳島から世界へと大きく飛躍していきたいと考えています。

 

阿波尾鶏写真