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畜産研究課 Livestock Research Division

阿波尾鶏物語 ー開発からブランド確立までー 第2回

第2回

阿波尾鶏ブランド確立対策協議会

 現在の阿波尾鶏の生産・流通体制は、<図1>のとおりであり、全体の生産・販売計画は、「阿波尾鶏ブランド確立対策協議会」が統括しています。この協議会は、徳島県(畜産振興課、畜産研究課)、ふ化業者、食鳥処理業者、食肉加工業者で構成され、当協議会規約に基づき阿波尾鶏生産出荷体制の整備と消費拡大対策に取り組んでいます。平成元年の販売開始当時からこの協議会の仕組みが構築され、阿波尾鶏のブランド確立のために連携を密に取り活動してきました。

 また阿波尾鶏は、徳島県の施策において、県産農林水産物のリーディングブランドとして位置づけられ、徳島ブランドの生産拡大・販売促進をリードしています。

生産のしくみ

 畜産研究所課では、阿波尾鶏の父親となる軍鶏を維持するために、毎年軍鶏のひなを約2,000羽餌付けし、その中から優良個体を選抜(雄70羽、雌700羽)し、飼養しています。また、阿波尾鶏の母親には、ホワイトプリマスロックを使用しているため、その特徴や能力は阿波尾鶏の性能(生産性・肉質・喧噪性等)に影響を与える可能性があり、軍鶏との相性検定を継続しています。また、阿波尾鶏の安定生産や高付加価値化のための飼育管理技術に関する試験も実施しています。

 軍鶏は前記の畜産研究課とは別に、2戸の原種鶏農家で増殖しています。畜産研究課から種卵(有精卵)が供給され、約1,500羽のひなを餌付けし、雄90羽、雌450羽を選抜し飼育しています。この原種鶏農家は、種卵の安定供給及び家畜伝染病対策(種鶏の分散配置)において必要不可欠であり、選抜作業や飼育にかかる飼料費等については、協議会が負担する仕組みになっています。

 種鶏農家(7農場)では、原種鶏農家の種卵からふ化した軍鶏(雄)と民間企業から購入したホワイトプリマスロック(雌)が飼養されています。ここで生産された種卵からふ化した阿波尾鶏のひなが、阿波尾鶏生産農家へ供給されています。

 

 阿波尾鶏は、県西部・南部を中心に56戸ある生産農家において、食鳥処理場と契約を結び阿波尾鶏を生産する「ローカル インテグレーション」の形態で生産されています。生産当初、阿波尾鶏は軍鶏の血を引き喧噪性が強いことから、増体性の低下や死亡羽数の増加、肉の格落ちなどの問題が発生し、飼育には熟達した飼育技術が要求されました。そこで食鳥処理場は、ブロイラー生産の経験年数が長く、スキルが蓄積された小規模生産者に阿波尾鶏の生産を託すことで、安定的に生産できるようになりました。

販売体制

 阿波尾鶏の生産は、平成元年から開始されました。販売当初は思うように売れず、食鳥処理した肉を冷凍在庫として抱えることがほとんどでしたが、協議会メンバーが一丸となり、店頭での試食販売などの地道なPRを続けた結果、平成10年の明石海峡大橋の開通を追い風に販売数量を急速に伸ばし、生産羽数全国一位の地鶏となりました。<表4>

 生産された阿波尾鶏は、県内2つの食肉加工業者を通じて、主に京浜・京阪神地方へ出荷されています。地域別販売の割合は、京浜(29%)京阪神(35%)中四国(9%)徳島県内(21%)その他(6%)となっています。また阿波尾鶏には、協議会が会員からの推薦をもとに指定する「指定販売店」が県内外に約500店舗あり、そこを拠点に全国的に販売されています。(図2)

 各食肉加工業者は独自の販売戦略を持ち、デパートやスーパー等に正肉を販売する業者と、ファミリーレストランや居酒屋に卸す業者で異なる路線を走り、お互いが認め合いながら販路開拓をしたことにより、全体の販路が広くなったと思われます。協議会では、販売促進資材(ポスター、パンフ等)の作成についても、各会員がアイデアを持ち寄り、意見を交わして阿波尾鶏のイメージにふさわしいものに仕上げています。

阿波尾鶏の生産状況表
阿波尾鶏の出荷先比率
阿波尾鶏のポスター
アニメ「おへんろ」とのコラボポスター