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令和4年度第1回試験研究評価委員会評価結果(事前評価1)

令和4年度第1回徳島県立保健製薬環境センター試験研究評価委員会

事前評価結果1

〈課題名〉食中毒細菌に対する次世代シーケンサーの活用について

評価結果1
総合評価
採点結果(出席全委員の総合評価点の平均点)
3.7点(5点満点)
評価結果2
評価項目ごとの採点結果。点数は、出席全委員の平均点。
評価項目 必要性 目標 研究内容 手法
採点結果(5点満点) 4.0点 3.6点 3.6点 3.7点
試験研究評価シート
主なコメント

○・次世代シーケンサーを用いる食中毒原因菌の早期究明を目指した本試験研究は、従来法の補完、ならびに新型コロナウイルス感染症収束後の次世代シーケンサーの活用という観点から、ニーズを踏まえた研究内容である。
・次世代シーケンサーによる遺伝子解析を従来法と並行して実施する際の費用対効果についても、十分に検討いただきたい。

○必要な新型コロナウイルスの診断目的で導入された次世代シーケンサーの別の使い道を探索することは、非常に有用で、食中毒細菌の診断に活用できれば、県民にも恩恵がある重要な課題である。その目標が、従来法と並行してゲノム解析を実施するところに留まっており、従来法に替えてゲノム解析を導入することに関しては言及されていない。そのため、従来法でこれまで対応できていたものに高価な検査を追加で実施することとなり、たとえ原因菌の予測が簡便にできたところで、実用化に至らない恐れがある。ここは、従来法に替えて導入することを念頭に、研究の時点から、患者検体のみでなくコントロール株の同時測定を検討するなど、より有効に活用できることを目指してほしい。

○次世代シーケンサーの活用方法ということで、他県の方と情報共有しながら進めて行かれるとのこと、結果を期待しております。特に大規模であったり毒性が高そうな食中毒事象の早期の原因菌解明に有用ではないかと思いました。石澤委員もおっしゃっていましたが、医療機関の対応のために迅速にフィードバックできると非常に効果的かと思います。コストが高そうなので、どのような際に適用するかも含め検討いただければと思います。

○・食中毒最近を迅速かつ正確に同定することは、原因を究明し対策する上で重要である。
・次世代シークエンサーを用いて、食中毒の原因細菌の効率的な検出方法の開発を目指すという目標が評価できる。この目標を達成する結果が得られることを期待する。

○・コレラ菌のような三類感染症の菌検体が搬入されているという事実を知り驚いた。
・次世代シーケンサーによるゲノム解析について、新型ウイルスだけではなく食中毒の原因菌の早期究明が期待されるとの事で大変興味深い。
・研究内容、手法については特に問題ないと判断する。
・従来法との比較結果に期待したい。

○食中毒細菌の早期究明に資するため、次世代シーケンサを活用した事前スクリーニングの工程を加えることを想定し、その効果を多面的に評価することを目的としている。本検討は今後の未知の食中毒細菌への対応としても有効であろう。是非進めていただきたい。技術適用の「効果」について、検討を通じてより定量的に示されることを期待します.

○新型コロナウイルス感染症収束後を見据え次世代シーケンサーの新たなる活用について検討されていることについては評価できる。食中毒が疑われる検体から原因菌を効率的に検出する方法を確立するという目標については、早期に食中毒の原因菌が特定できれば治療方法の判断に大きく貢献できるとして大変興味深い。研究内容については、比較的安定した遺伝子の一部である16Sリボソームを基本に塩基配列を特定する方法で問題ないと思われる。手法については、1年目の令和5年に検体に含まれるそれぞれの菌量の割合を算出するためのプログラムの作成とデータの蓄積と解析を行う。2年目の令和6年は、引き続きデータの集積と解析を行い、終盤にかけて評価を行う。この2年間で、次世代シーケンサーを用いて細菌叢の16Sリボソーム配列を解読し、解析ソフトウェアを用いて、16Sリボソーム配列の決定を自動化し、菌量の割合が算出できるようなプログラムを作成できるのが鍵となる。また、食中毒原因菌を特定するためのデータが限られた期間で十分収集できるのか、従来法と比べどれくらい時間が短縮されるのか結果が楽しみである。