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試験研究評価シート(事後評価:細菌性呼吸器系感染症における原因微生物の迅速検査法の検討)

課題名「細菌性呼吸器系感染症における原因微生物の迅速検査法の検討」

1.評価の種類:事後評価

2.担当名:保健科学担当

3.研究期間:平成23年度~平成24年度

4.予算額:(総額)781千円

5.予算種類:県単独

必要性

 呼吸器系感染症は、罹患者の年齢により重篤度に差があり、また、感染が容易に拡大する場合がある。ところが、病原体が細菌である場合、培養が困難あるいは培養ができたとしても培養日数が長くかかることが理由で一部の原因菌では特定が十分なされていないのが現状である。そこで、迅速に病原体の特定を行える体制を整え、かつ情報発信する体制を構築することは、感染症の蔓延予防にとって意義深い。

目 標

 細菌性呼吸器系感染症において、従来よりも迅速・高感度な検査体制を確立する。さらには、県内における感染症情報の蓄積を行い、疫学的観点から情報の解析・発信を試みる。これらを通じ、感染症予防対策や検査体制の構築と県民の健康維持に貢献することを最終目標とする。

研究内容

 細菌性呼吸器系感染症に対する迅速検査法として、病原体に特徴的な遺伝子検出法を検討する。従前の検査法より迅速化、高感度化された検査法を導入することにより、県内における細菌性呼吸器系感染症における病原体調査実施体制の拡充を図る。また、迅速な検査が可能となることから、感染症流行初期段階での情報発信につながり、県民の安心・安全な生活の確立に寄与する。

手 法

 細菌性呼吸器系感染症のうち、培養が困難あるいは時間を要する細菌であるMycoplasmapheumoniae(マイコプラズマ肺炎)、Bordetellapertisis(百日咳)、Chlamydphilapheumoniae(クラミジア肺炎)を検出対象とし、(1)病原体に特異的な遺伝子領域を利用した検出法の検討、(2)検討した方法を感染症発生動向調査事業に導入し、検査を実施、(3)得られた結果を病原体検出情報として、行政・医療機関・県民等に向けて発信する。

成 果

1.M.pheumoniae、B.pertisis、C.pheumoniaeの迅速検査法として、LAMP法による検査法を導入し、検査体制の拡充を図ることができた。

2.1.の方法により、283検体について実施した。従前の検査法では病原体が検出できなかった検体から、M.pheumoniaeが検出された。さらに、これらのM.pheumoniaeについて、マクロライド薬耐性を調べたところ94%が耐性であった。

3.結果については、病原体検出情報として週報に掲載し、毎週、情報発信した。また、実際に百日咳、マイコプラズマ肺炎が疑われた相談事例では、これら検査法を用い、診断に貢献することができた。

その他

 これら検査法は、病原体サーベイランス事業等に導入し、これらの病原体による感染症の現状把握並びに予防対策において活用している。