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令和6年11月8日 定例記者会見 フルテキスト版

発表事項

(知事)
 県民の皆様こんにちは。ただいまから定例記者会見を始めさせていただきます。最初に、危機管理関係の事案をお話させていただきます。昨日、香川県の三豊市の養鶏農場におきまして、高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されました。本事例は今シーズンに入って国内6例目、四国では初めての発生となります。本県の対応としましては、隣県香川県による疑い事例の公表後、速やかに危機管理会議を開催し、庁内情報共有を図るとともに、三豊市から本県に通じる国道32号線、そしてまた新猪ノ鼻トンネルの徳島県側に消毒ポイントを速やかに設置し、本日9時から畜産関係車両への消毒作業を開始しております。また、県内の養鶏農場に対しては、本事案を速やかに情報提供するとともに、改めて巡回確認・指導を行い、飼養衛生管理のさらなる徹底を図って参ります。一方、10月24日に阿南市で発見されました死亡野鳥から、国の検査により「H5亜型・鳥インフルエンザ」に感染していたことが、11月6日に判明しました。このことから、回収地点の半径10km圏内が環境省により「野鳥監視重点区域」に指定をされ、野鳥の会など、関係機関との連携強化により、野鳥の重点監視を行っているところであります。なお、現在、国の機関におきまして、高病原性の確定検査を実施しておりまして、「確定」となりましたら、本県独自に設定している「鳥インフルエンザ・とくしまアラート」を「ステージ4・特別警報」に引き上げ、さらなる防疫体制の強化を図って参ります。今シーズンは、例年より早いペースで感染が確認され、警戒感が高まっておりますが、本県におきましては、養鶏場にウイルスを持ち込ませないよう、生産者及び関係機関との緊密な連携の下、引き続き、しっかりと対応に努めて参ります。なお、鳥インフルエンザウイルスは、感染した鳥に濃密に接触した場合などの特殊な場合を除いて、通常では人に感染しないと考えられておりまして、過度に心配する必要はありません。県民の皆様が死亡した野鳥を見つけられた場合は、お近くの市町村、また県民局までご連絡をお願いします。鳥インフルエンザ関係は以上であります。続きまして、先日のタイ王国政府機関のMOU締結等につきまして、ご報告申し上げます。先週、タイの投資委員会(BOI)及び工業省産業振興局、いわゆるDIPRMという2つの政府機関との間で、徳島県が「MOU」、いわゆる「産業連携に関する覚書」を締結しました。締結式に併せて、10月28日から31日までの間、経済ミッション団として、県内事業の皆様とともにタイを訪問。ミッション団の工程につきましては、まず28日にプーケット県において、同県のソポン知事を一緒に表敬訪問し、経済や環境、さらには観光関係など、幅広く意見交換を行わせていただきました。29日にはバンコクに移動し、最新の商業施設ワン・バンコクの視察や現地の有力企業を訪問させていただきました。翌30日、投資委員会BOIとの締結式を開催。BOIからはナリット長官に参加いただき、MOUにサインし、幅広い分野の起業支援、ビジネスや投資施策・機会に関する情報共有などについて連携することとしました。かねてからタイ政府は、タイ国への投資を促進するために、さまざまな優遇措置を講じておりまして、この制度について大企業の方はご存知であっても中小企業にはなかなか知れ渡っていないということもあって、今回県内の企業の方々も非常に関心を持っておられました。加えて31日には、工業省産業振興局、いわゆるDIPROMとの締結式が開催されまして、エーカナート工業大臣にもご臨席いただき、ナーティヤ局長とともにMOUへサインさせていただきました。MOUの内容としましては、人材交流やビジネス交流、産業クラスター連携など経済分野で緊密な関係の確立に向けて、本県とDIPROMが連携するものでございます。発展著しいタイの政府機関2つとMOUを締結できたことは、徳島経済の国際化への歴史的な第一歩だと認識しております。地方創生戦国時代、そしてまた四半世紀後には3割人口が減る日本において、1人当たりの生産性を高めるという観点からも、海外に市場を求めることは非常に大事であります。それに先んじて手を打つことは大変重要なものだと考えておりまして、これを契機に本県とタイ、お互いの課題解決、そしてまた生産性向上等、さまざまな技術の交換、また人の交流を始めて、貿易の促進を図って参りたいと思っております。続きまして「とくしまマラソン2025」のランナー募集開始でございます。ご覧のとおりのポスターが出来上がりました。「踊るように走れ。」ということでありますが、エントリーが昨日11月7日午前10時からスタートしました。来年1月7日まで特設ウェブサイトにて受付けております。今回は、募集定員を8,000人から8,500人に増やすとともに、前回大会において5年ぶりに復活した「海外枠」につきましても前回の150名から200名に増やしたところであります。また、長距離に不安をお持ちのランニング初心者の方、また小中学生や高校生など幅広い方にまずは体験していただくということで「チャレンジラン」も同日に開催いたします。こちらは1.5km、3km及び13kmの3部門をご用意させていただいています。エントリー料金につきましては、より多くの方に参加いただけるよう1人当たり11,000円とし、参加賞はTシャツでございますが、別途2,000円での選択制としました。ゲストにつきましては、前回大会に引き続き、箱根駅伝で東洋大学の選手として活躍した設楽啓太さん、設楽悠太さんなどにお越しいただく予定でございます。素晴らしい大会になりますよう県民の皆さんにもご協力いただきたいと思っております。続きまして3番目でございますが、毎年11月14日は「世界糖尿病デー」として、11月第3水曜日は「世界COPDデー」として、世界中で糖尿病やCOPDの啓発キャンペーンが推進されております。このため、県では11月11日から17日まで、「世界糖尿病デー(World Diabetes Day)」に合わせてシンボルカラーであるブルーに、11月20日は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)」のシンボルカラーであるゴールドに、それぞれ17時から22時まで、県庁舎等をライトアップいたします。本県調査によりますと、糖尿病が強く疑われる人、いわゆる「有病者」と、糖尿病の可能性を否定できない「予備群」の方々は、40歳以上の人口の26.1パーセント、約12万5,000人と推計されます。これは、平成28年県民健康栄養調査によるものでございます。また、COPDは肺の生活習慣病とも呼ばれておりまして、健康寿命を維持する上で注意すべき重要な肺疾患の一つであります。糖尿病、そしてCOPDの発症予防・重症化予防のためには、早期発見・早期治療はもちろんのこと、適切な食事、適度な運動は欠かせません。ご自身の生活習慣を改めて振り返る機会にしていただきたいと思っております。なお、11月9日15時30分から阿波おどり会館でのライトアップ点灯式に併せて、鷲の門広場から阿波おどり会館までを往復する「ブルーライト・ウォーキング」を開催しますので、ぜひご参加いただきたいと思っております。QRコードを皆さん(スマートフォンで)読み取っていただくとありがたいと思います。また、県のウォーキングアプリ「テクとく」では、歩数の管理だけでなく、野菜摂取量の記録や、血圧と体重のグラフ化機能もありますので、ご覧のとおり、ぜひご利用、ご活用いただきたいと思います。続きまして「『ストップ!DV』強化推進月間」および「オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン期間」のライトアップの実施についてご報告でございます。まさに今私がつけております、この2つの色は「ストップ!DV」そして「ストップ児童虐待」の啓蒙活動でございますが、11月および12月を強化月間とさせていただきます。11月は、児童虐待防止推進を目的とした「オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン」でございます。そしてDV防止はパープルでございますが、「ストップ!DV」も併せて県民の皆様も改めて考えていただきたい。また、周りでそういった事案がありましたら、速やかに市町村、そして県、また警察の方にご連絡をいただければありがたいと思っております。続きまして、「徳島おどりフェスタ」のご報告でございます。ご覧のとおりポスターが出来上がりました。秋の阿波おどりを県として実施をする一環で、12月1日「東京ディズニーリゾートスペシャルパレード」、そしてまた「ダッフィーバス」、また我々徳島県の伝統的な「阿波おどり」、また「人形浄瑠璃」等と合わせた素晴らしいイベントがいよいよ迫って参りました。当日は9時から14時まで会場となる県道30号線の一部区間を通行止めにするため、県民の皆様方には改めてご協力、またご理解をお願いします。また、当日は相当な混雑が予想されますことから、会場へはできるだけ公共交通機関をご利用いただきたいと思っております。また、お体の不自由な方に関しましては、担当部局からしっかりその対応につきましても今後発信して参りたいと思っておりますので、よろしくお願いします。車でお越しの方は予約不要・無料でご利用いただける「イオンモール第2駐車場」とか「沖洲マリンターミナル」の臨時駐車場をご利用いただきまして、パーク&ライド方式で、シャトルバスをご用意いたしておりますので、活用してご来場いただくとありがたいと思っております。また、前日の11月30日は、プレイベントとして複数のイベントを同時開催する予定になっております。例えば、藍場浜公園では「とくしま祭」を開催させていただきまして、徳島県の24市町村の皆様と連携して食・物産・観光を県を挙げて、この阿波おどりフェスタに県外、また海外から来られる方にいい機会でございますので、発信する場を設けさせていただきたいと思っております。さらに、来場者の皆様に周辺イベントを巡っていただくため、徳島県オリジナルディズニーグッズをプレゼントするスタンプラリーを開催させていただくこととしておりまして、徳島駅前全体を周遊して、徳島の町を丸ごと楽しんでいただきたいと思います。これがグッズの一つでございます。また、本イベントは、これからの徳島、そして県都の中心市街地全体の活性化も兼ねておりますので、県民の皆様におかれましても、こういった機会を活用して、さまざまなアピール、そしてまたご参加をしていただくとありがたいと思っております。さらなる詳細につきましては、私の記者会見後に担当課からご説明させていただくことになっておりますので、よろしくお願いします。続きまして、「徳島ぼうさい選手権」の開催について、ご報告させていただきます。今月23日、東部防災館おきのすインドアパークにおきまして、徳島県教育委員会、またとくしま地震防災県民会議の主催により、県内高校生20チーム60名に参加していただて、また日頃から防災に関心の高い高校生・大学生のボランティア30名にお手伝いいただいて、県民挙げて、若者の防災意識の向上を目的として「ぼうさい選手権」をさせていただきたいと思っております。多くの協力企業の皆様、また団体の皆様に対しましても、心からご協力に感謝を申し上げます。続きまして3番目でございますが、「こどもの権利ハンドブック」でございます。本年、2024年は「子どもの権利」にとって節目の年でございます。と言いますのは、「こどもの権利条約」に批准したのが1994年であります。それから30年でございますから、改めてこどもの権利を、本県におきましてもしっかり尊重する。本年3月は「徳島県こども未来応援条例」が制定されたところでありますし、昨年は国内におきましても「こども基本法」が施行されたわけでございます。そこで我が県としましては、この機会に教育委員会と連携しまして、自分らしく過ごし自由に意見を表現することができるといった「こどもの権利」について、こどもさん自身にしっかり理解してもらえるよう、わかりやすく解説する「ハンドブック」を制作させていただきました。こどもは知識とか経験が少ないものですから、このハンドブックを読んでいただくことによって、自分たちの権利、そして自分たちの自由を改めて理解していただいて、こどもたちが本当に自分の意思で我慢することなく成長していただく一つのきっかけになっていただければありがたいと思います。制作のポイントとしましては、発達段階に応じて活用できるように「小学校低学年向け」、「高学年向け」、「中学生向け」、また「高校生・大人向け」の4種類を制作させていただいておりまして、わかりやすい内容になっていると思います。今後、県内の小学校から高校、特別支援学校等に通う約6万6千人の児童・生徒にもハンドブックを配布するとともに、タブレット等でも活用いただけるよう、準備しているところでございます。さらには、ハンドブックを活用したモデル授業として、神山町神領小学校におきまして実施することとし、引き続き教育委員会と連携しながら理解促進に取り組んで参りたいと思います。こどもさん、また保護者の皆様方も、自分のこどもが通う学校が、こういったことをしっかりやっているかどうか確認していただくいい機会であります。学校現場の皆様方には、ぜひ「こどもの権利」というものを、この30周年の節目において、しっかりとこどもに教えていただけるよう、お願い申し上げます。私からは以上であります。

質疑

(幹事社・徳島新聞社)
 ありがとうございます。では、幹事社から質問させていただきます。まず最初に、タイ王国とのMOU締結ですが、これから徳島県の企業にどういうふうになっていただきたいとお考えでしょうか。

(知事)
 徳島県のこれから20年、30年を考えた時に、先ほど申し上げましたが、間違いなく人口が減る、これは日本全体もそうであります。四半世紀後には3割の人口が減る中でどうするかと言えば、一人当たりの生産性を高めていかなきゃいけない。高度人材を育成していかなきゃいけないということだと思います。そして経済におきましても、我が県はGDPが3兆3千数百億であり、一人当たりの県民所得は企業所得と個人所得を合わせたものでありますが、全国で9番目であります。こういう中で、さらにいい企業を伸ばしていく。そして同時に、生産性がまだ低いところもいろんな形で支援をしていく。そして賃金を上げていく。ドイツのモデルがいい例でありますが、今般の最低賃金引き上げで、徳島もいろいろ話題になっておりますけれども、例えばドイツは最低賃金が1900円なんですね。人口は日本よりも3割ほど少ない。人口が少ないのにGDPは、日本は抜かれてしまいましたね、ドイツに。ということになれば、一人当たり生産性が高いということ。掛け算になりますから。一人当たりGDP×人口であります。国としても努力された。ただ、ドイツの場合は連邦といいますか、州が非常に強い。そしてすごく主体的に海外に出ております。例えば「メッセ」はドイツ語であります。積極的に海外に州単位で出ていっているといったことも学ばなきゃいけない。一方隣の韓国も、これから人口減少はアジアの中で日本よりも急速に進んでいくと思います。なぜなら、出生率が0.7を切っております。じゃあ韓国はどうしているかというと、GDPの4割が輸出であります。日本は15%であります。そう考えた時に、課題先進国である韓国を学ぶとするならば、もっと輸出を増やすのは自命の理であります。我々徳島県におきましても、既に大塚さんや日亜さん、海外に幅広く展開している会社もございますが、見本となる会社があるわけでありますので、中堅企業と県内における中小企業もいい見本を倣いながら、そして私ども県行政としましては、海外に出るきっかけ、そのプラットフォームを作ることは当然のことであります。今回のタイを皮切りに、東南アジアの5億人マーケット。日本は1億人を切るだろう数十年先に比べて東南アジアは5億人。そして昨日はインドの講師がお見えになって、インドとのマッチングセミナーを、チャレンジメッセと同時に開催させていただきましたが、インドはもう世界一、15億人のマーケットでございます。そういう意味でも徳島の国際化。さらには高度人材を育成するために、これから若者には、今月香港便も定期便化しますが、韓国便も含めて今鋭意接触中でありますが、徳島が国際化するんだと、若者も若いうちに世界を体験するんだということで、生産性が高い、より豊かな徳島にして参りたいという思いでございます。その一環としての海外展開でございます。

(幹事社・徳島新聞社)
 ありがとうございます。続きまして、「徳島おどりフェスタ」が12月1日開催ですが、当然成功していただきたいと思っているんですけども、例えば雨天等の対応は今回どのようになっているんでしょうか。

(知事)
 これは担当部局から、後ほどゆっくり説明していただければと思っていますが、今のところなんか答えられますか。

(県担当者)
 小雨決行で開催したいと考えておりますが、そこはEAP等でも中止の判断基準を練っておりますので、それを踏まえて当日決定したいなと。もしくは前日に決定したいなと。

(知事)
 自然には抗えませんので、ひたすら祈るだけでございます。

(幹事社・徳島新聞社)
 また、ちょうどお話があったのですが、EAPがちゃんと策定されているということで安心しました。

(知事)
 子どもさんがすごく楽しみにしておりますから、エマージェンシーアクションプラン、つまり危機対応はしっかり万全を期したいと思います。また担当部局は県警とも長きにわたって調整してくれていることに感謝を申し上げたいと思います。

(幹事社・徳島新聞社)
 では発表項目以外で質問を始めたいと思いますが、皆様いかがでしょうか。

(四国放送)
 今税制改革の議論が始まっていまして、いわゆる年収の壁103万円という中で、それを実施した場合、地方税収が減るだろうという予測も出ていますけれども、それについて後藤田知事はどのように考えるでしょうか。

(知事)
 最近やっと103万の壁とか150万の壁とか130万の壁といった税制の問題と同時に社会保障の問題。私も国会議員やっていてよく思ったのは、非常にわかりにくい部分がたくさんあった。今回わかりやすい政策として、国政の中でも議論されましたが、私は税制の話と、就労規制をしない、いわゆる賃金を上げて所得を増やすこと、もう一つは経営者側からしても、人材を確保すること。これはそれぞれリンクするけれども、より良い方向をぜひ国の方々には導き出していただきたいと思っています。総務省の発表では、また知事会も懸念を示しているのは、103万円の壁の見直しをした場合に、地方の個人住民税だけで4兆円程度の減収が見込まれるという発表をされたことによって、皆さん、知事の方々も反応されたと思うんですが、本県の試算は約69億円になっております。ただ、これについては、減収は無きようにお願いしたいということであります。減収があるから、103万円の壁の問題がだめとか反対とかいうことは、非常に短絡的な話であって、私としては県民所得が上がること、そしてまた経営者としても就労抑制をすることによって働き手が不足する事態が防げることについては前に進めるべきだと思います。それによって所得が増える、そして事業者が収益を得る、それによって消費が増えるといったプラスも当然考えなきゃいけないと思います。制度をいじることによって地方税収が減ることに対しては、それはそれでしっかり担保していただきたいと思います。税収が減るから賃金を増やすとか、就労抑制をなくすことを変にリンクするのはおかしいと思っておりまして、しっかりと賃金を上げる、収入を増やす、手取りを増やすこともやり、経営者もプラスになり、地方も税収が減にならないように知恵を絞っていただくのは当然であります。今は税収も72兆円で過去最高ですよ。ですから、そのぐらいの補填はしっかり国がやるべきであって、やはり大事なのはこの数年、物価高に対して、国また地方がどう対応するかということ。物価高に対応するのは何かといったら賃金を上げることですよ。それ以外ありませんよ。ですから、それは大前提で、ただ同時に、税収減はないようにしていただきたいと思います。

(四国放送)
 地方で税収減はありますけれども、それ以上に経済効果の方をという。

(知事)
 経済効果は、僕はあると思いますよ。先ほども申し上げましたが、制度の詳細な議論は、国の方でしていただくんだと思うんだけれども、税収減がないように制度設計することは国の仕事であり、厚労省、財務省のお仕事だと思いますね。

(四国放送)
 地方の税収も減らないような制度設計。

(知事)
 そういうことです。制度改革をするのにあたって、玉突き的に昔の制度を守るというのはナンセンスな話であって、私はいつも言っているように、新次元の政策を打つ場合には、前例踏襲はあり得ない。本当にこれが好事例ですよ。国においても、新次元の対策を打たなければ、大変な時代なんですよ、この数年が。ですから、前例踏襲で20、30年前の制度を後生大事に守っておくこと自体がおかしいので、柔軟に改革していただきたいと思います。何度も言うように、72兆円の過去最高の税収を神棚に飾って後生大事に使わないということじゃないですよ。今こそ使うべきじゃないですかね、そういうところにね。賃上げ対策。

(NHK)
 NHKです。今月から引き上がった最低賃金について、いくつか質問させていただきます。まず全国で最大の引き上げ幅となった最低賃金なんですけども、企業への影響とか最低賃金を上げることによって人材流出を防ぐといったことについて発言されていたと思うんですけど、そういったことを含めて改めて最低賃金の引き上げについて、どのようにお考えでしょうか。

(知事)
 元々、最低賃金というのは、最低賃金法という法律がございまして、そこの第1条をご覧になっていただいたらわかるんだけれども、目的に何て書いてあるかというと、労働者の生活の安定ということが、まず書かれていますね。そしてまた、生産性の向上ということが書かれていますね。そして事業者サイドにおける公平な競争と書かれていますね。1丁目1番地である目的に、それが書かれているわけなんです。つまり最低賃金法は、生存権、憲法25条の最低限の暮らしを守るための具体的な法律だと私は解釈しております。ただ、意思決定プロセス、いわゆる地方最低賃金審議会におけるプロセスにおいては、最低賃金法9条だったと思いますが、そこにも最低限の生活を保障するという前提と同時に、事業者の支払能力も考えなければいけないと書かれております。その点で、いつも労使との意見調整があり、意見の隔たりがあったりするわけでございます。そういう中でも、先ほども申し上げましたが、人口が減少するこの日本社会、そして私ども徳島においても隣県との人材獲得競争、また世界との人材獲得競争において、これからは人口が増えない社会においては、人材がいなければ経営が成り立たないということについて、使用者側、つまり経営者側、会社側はそろそろお気づきになっていただきたいと思います。加えて、我が県におきましても、この物価高の影響は、まさに県民が大きな影響を受けております。これに対応するのは当然のことであって、加えて経営者側も激変緩和としまして、ワンストップの相談窓口、そしてまた激変緩和に対する支援策も先般の議会で約11億円の予算も作らせていただきました。また国や中小企業庁において、さまざまな支援策、また生産性向上の補助金がございます。実はこれが使われてないケースもございます。今回こういうことになって労働局や我々県に改めて相談に来られた方々が、こんな制度があったんだ、こんな補助金があったんだということに気づいていただく大きなきっかけになったと思います。加えまして、最低賃金は障がい者A型の賃金、または高齢者シルバーの方々の賃金、そして若者、学生のアルバイトの賃金、さらに外国人労働の賃金に準拠するものであります。そういう中でも、我々徳島県は障がい者に対して下から2番目の配慮しかないのかと、私はこう思われたくありません。今回の上げ幅がトップであっても、全国ではまだ27番目なんですね。平均以下です。ですから、障がいのある方に働いていただく、そしてそれに対しての評価、賃金をしっかりと支払える徳島県だということは、徳島県民にとっても誇らしいことであると思いますし、高齢者の方々にもまだ元気に働いていただきたい。そして、その方々の経験に対してもちゃんと相当な対価をお支払いしたい。そして外国人労働の皆様に対しましても、実は今日本を素通りしています。韓国の方が最低賃金高いです。先ほど申し上げましたドイツは最低賃金1900円です。カナダは2000円を超えています。オーストラリアもそうです。ですから、日本に来なくなります。そういった時にどうするんですかということ。数年後には外国人労働の方々が都道府県を移動できることになります。そうすると徳島で苦労して外国人労働をお入れした企業の方々は、ほかの県の給料が高かったら、すぐ会社辞めてしまいますよね。こういったことにも先んじて準備をしていただきたいということで、今回、地方最低賃金審議会に中小企業、経営者側の支援策もパッケージにして相当な最低賃金引き上げをお願いしたというのが背景であります。

(NHK)
 ありがとうございます。続いてですけど、先ほどもお話の中でありましたけども、今県が中小企業などに一時金を支給するとか支援策を行おうとしていますが、今後県としてさらなる支援策とか対策を行うことについては考えられていますでしょうか。

(知事)
 支援策につきましては、状況によってさまざまに対応したいと思います。先ほどタイの海外進出の話もさせていただきましたが、まさにそれも賃金にも関係しているんですね。つまり日本市場は、人口が3割減る。いわゆるパイが縮小する中で、日本国内だけの相手じゃなくて輸出を増やしていく。さっき言ったように、韓国は4割が輸出です。これから倍増させなきゃいけないんですよ、日本全体として。そういった時に輸出の支援をして、より利益を上げていただいて、労働者にも賃上げという形で還元していただく。このために地域商社を立ち上げる。もちろん地域商社を立ち上げる前も、この度のタイの経済ミッションでもおわかりのとおり、既にいくつかの会社が海外とビジネスを成功させております。ですので、公金による支援策以外でも全国へのトップセールスやPRも含めて販売促進のお手伝いをして参りたいと思います。

(NHK)
 最低賃金について引き続きなんですけど、県が金額を決定する地方の審議会に関わっていく仕組みが必要というふうに以前おっしゃっていたと思うんですけども、最低賃金が毎年ある中で、今後どのように関わっていきたいと考えていますか。

(知事)
 労働問題は皆さんご承知のとおり、ILOという条約に批准した国は、国がやることになっているんですよ、労働政策は。監督とか労災とか失業保険とか、国の真水の税金のみならず、労働保険による特別会計。これは何兆円も相当な規模がございます。私も国会議員時代、そういったことにも関係しておりました。例えばコロナの大変な時に、雇用調整助成金で、お給料をそのまま出す制度がありましたね。特別会計はすぐ空になってしまうぐらいであったわけでございます。そういう意味で、労働問題は国が主体的にやるということでありますが、ただ私からすれば、地方創生、または地方のいろんな特性、地政学的なものもあります。さっき言ったように、我々みたいに兵庫県、淡路島、大阪に近いところとそうじゃないところは競争条件が違うわけでありますので、そういった点においても地方の声をしっかり反映させる、そして地方の声をしっかり聞くことは、今後国の機関である労働省の徳島労働局には考えていただきたい。本省である厚生労働省にもその旨は、先般事務次官以下官房長、労働基準局長、皆さん勢揃いの席で申し上げさせていただきました。国の機関の人、所長さんはじめみんな頑張ってくれていますが、数年で替わってしまいますよね。だけど我々は、この徳島にいて、徳島の未来にしっかり責任を持つ立場ですよ。しかし今までは、数年で替わってしまう人たちが、徳島県における労使や公益の方々と数円上がってはい終わりっていう。私は国会議員時代からこれはおかしいと思っていたわけですよ。その当時から桁を1個上げたんです、数十円上げようと。僕はまだ足りないと思ったから、知事になってそういった行動を起こしたということでございます。国政にいた頃から、なんで知事さんたちはもっと声を上げないんだろうとずっと思っていたことを自分で実践させていただいたということです。

(幹事社・徳島新聞社)
 先般の衆院選挙の結果を受けて、どの党も過半数を取れていない状況になっています。各知事さんも国政がどうなるのか不安というか、先行きが見通せない中で、後藤田知事として国会に対していろんな政策とか、スピーディーに進めてもらいたいとかいう思いがあると思いますけど、どういったお考えでしょうか。

(知事)
 まず、国政選挙における国民の判断は尊重されるべきだと思います。そして結果としては、過半数を取る政党がないという現状であります。そういう中で、私ども現場を預かる知事としては、不安定な政局は望みません。安定的な政策重視の国政運営をお願いしたいというのが、まず大前提です。比較第一党になった自民党を中心に、政策オリエンテッドで連携していただきたいと思っております。今、国民民主党の具体的な政策でのパーシャル連合といいますか、こういったことが謳われています。また11日以降の首班指名はどうなるかわかりませんけれども、その他の政党も政策で連携するという前向きな議論。そして緊張感のある議論を国民が望んだがゆえにああいう結果、絶妙なバランスというのか、何が絶妙かどうかは人によって違うと思いますが、少数の政党の意見にもいい政策はあると思います。いい意見もあると思います。そういったものがちゃんとくみ取られる運営を比較第一党は謙虚にやるべきだと思います。今まで前例踏襲でなかなかできなかったことも、少数政党のある意味尖った、いい意味ですよ、いい意味で尖った意見も採用されて、先ほどの就労抑制の問題、賃上げの問題、壁の問題も改革されることが実現すれば、私はいい意味でバランスが取れた結果になるんじゃないかなと思います。そういう政策オリエンテッド。政局ではなく政策中心の、そして新次元の政策をパーシャルでどんどん進めていただきたいと思っています。私のXに玉木さんからコメントをいただいた際にも、私ども知事会が例の、税収減だから壁に対して反対しているというのは違うと思いますと。壁の問題を突き破って手取りを増やすこと。そして就労抑制によって困っている経営者。人がいないからもっと働いてもらいたい、こういう方々にとっても良いことだと思います。税収が減るから103万円の壁の見直しが悪いということは全く違いますよということを私がコメントさせていただいて、感謝のお言葉をいただいたわけであります。税収の話は税収の話で、減らないようにするという別の話にさせていただいた。加えて、先ほどの最低賃金の話じゃないけれども、頑張ったところには地方創生交付金を、賃上げというテーマでかさ上げしていただきたいということもぜひ提案してくださいというコメントを返させていただいたわけでございます。

(幹事社・徳島新聞社)
 もう1件なんですけれども、タイの話で、プーケットを訪問されていたと思うんですけれども、これからプーケットとの間で何か徳島県と関係が強化されるか、何か比較とかデータがあるんでしょうか。

(知事)
 プーケットは、そもそも徳島トヨタさんとプーケットのパールグループという財閥の方が、ジョイントベンチャーでトヨタ車をお売りになっているところから、いろいろ関係が深まりました。プーケット県は40万人足らずの人口ですが、1,400万~1,500万人の観光客が毎年来る。そういう世界の観光地でございます。我が県は観光戦略、これから観光立県、今急いで取り戻すために頑張っていますけれども、私どもとしては、1,400万人の観光客の口に入るものに、うちの地元の農林水産物等を輸出できないかとか。また、観光客が来るということは、世界中にPRする機会でございまして、徳島のいろんな物産も紹介できないかとか。そして同時に1,400万人の人がゴミを出すわけですよね、物を食べて。それに対する環境技術。こういったもので、私どもの県における中小企業の技術が貢献できないかという話。そういったことで、知事さん一回徳島に来てくださいという話もさせていただきました。ただ一つ特徴として申し上げたいのは、日本と違って中央集権の国なんですね、タイという国は。ですから、知事は昔の日本と同じで任命、今日本は公に選ばれますけれども、ポリティカルアポインティーだから任命することになっていて、プーケット市は選挙で選ばれるんですけど、広域行政のプーケット県は、行政の人が知事になるんですよ。唯一バンコクだけが選挙だったと思います。だからこそ僕は政府とMOUを結んだんです。ですので、役人さんのようにしょっちゅう変わってしまうのであれば、なかなか大変であります。ただ、ベースとして姉妹都市というか連携をプーケットと結べば、知事が変わろうと継続していくんだと思いますので、そこは前向きにやっていこうという話をさせていただきました。同時に今、韓国のチェジュ自治道とも、先般吉岡室長をはじめみんな行ってくださって、私どもとチェジュのいろんな共通点、例えばハルラ山と剣山は1,955mと1,947mと近いねとか、柑橘系が似ていますねとか、この前三好は日本ジオパークに認定されましたが、チェジュは世界ジオパークに認定されていまして、世界自然遺産が3つあります。そういったことだとか、戦前にチェジュから政府に迫害された四・三事件で大阪に十何万人来られた。これが日本における韓国との関係である。私ども徳島としては包摂的に全てを受け入れる考え方の中で、これから韓国便も含めて、韓国との関係もしっかり県として、地方のインターローカル、インターナショナル、国同士の国際化だけではなくて、地方の国際化、インターローカルを進めて参りたいと思いますし、プーケットもその一環でございます。

(NHK)
 すいません、再び。今日で南海トラフ地震臨時情報が発表されてから3ヶ月が経過したと思うんですけども、以前、県としては県民へのアンケートを実施したりして、防災対策を進めていくという形でおっしゃっていたと思うんですけど、今後、防災対策だったりどういうふうに対応していかれるのかというのを教えていただければと思います。

(知事)
 昨日、防災訓練を渦潮レスキューとしてやらせていただいたわけでございます。そして同時に、孤立集落をどう支援していくかということに特化してやらせていただいたわけでございます。何よりも防災意識をしっかり高めるということに尽きると思います。台湾の花蓮県における防災体制を勉強しに行ってもらって、昨日の防災訓練でも、台湾の場合は、ツーチーという慈善団体、民間NPOが常に現場に行って、さまざまな経験をして、非常に慣れているわけですよ。日本の場合は、何か起こったら全部行政がやる。もちろん民間の皆様にご協力をいただきながらだけれども。私は、ツーチーや台湾のモデルは非常に参考になるし、こういう観点で普段から、まず訓練をもうちょっと頻回していきたいと思います。年に1回お約束的な感じでやるんじゃなくて、季節ごと。昨日も寒かったけど、実際の災害はテントもないし、パイプ椅子で座ることもないし、そういうことじゃなくて、本当に寒い時期、春夏秋冬、最低でも年に4回ぐらいは、いろんなところで僕はやるべきだと思っています。つまり、練習してないことはできない。訓練してないことはできない。その中で、多分私ども、この世代は南海トラフ経験してないですよ、はっきり言って。ただ、東日本や能登をはじめ、例えば最初の72時間の救命救急、そしてその後の避難所生活の維持、これを本当に現場でやられたのは自衛隊の方であり、警察の方であり、DMATの方であり、DHEAT、DWAT、現場の方であります。また、昨日はツーチーのみならずピースウィンズジャパンさんにも来ていただきました。そういった、現場により近い、そして現場で経験した方々と今後もより情報共有していきたいし、県民の皆様方にも危機意識、防災意識をより持っていただきたいと思います。先般、市長会の方々にも改めて申し上げましたけれども、いわゆる緊急防災・減災事業債につきましても、しっかり活用していただきたい。(四国)4県の中で、高知が緊防債を活用して防災装備をしております。ですので、その比較においても、もっと市町村頑張ってほしいということを再々申し上げております。同時に、これから徳島のみならず国の方も、さっきも省庁の次長からメールが来たところだけれども、赤澤大臣とも数日前にお話をしたところ、防衛装備品と同様に、防災装備品を国が責任を持ってやっていただきたいという主張を重ねて申し上げたところでありまして、それについては、非常にそのとおりだねという話もしていただいておるところでございますので、どこの誰がやるかということじゃなくて、国・県・市町村が一体的に早期に防災装備環境を整えるということは急務だと思っています。

(幹事社・徳島新聞社)
 では、もしなければこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

(知事)
 どうもありがとうございました。

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