〒770-8570
徳島県徳島市万代町1丁目1番地
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(知事)
徳島県知事、後藤田です。県民の皆様、報道の皆様、よろしくお願いします。今日の記者会見で報告させていただきたいのは、まず1点目。
先日の阿波おどりの問題が、残念ながら全国に、いろんな課題として報道されているのは、県民の皆様と同様に私も非常に憂慮しております。ただ、その1点を捉えてどうこうということではなくて、私はやはりマスギャザリング、つまり多くの方が集まるイベント事について、改めて行政の長として、また広域行政の長として、全国に先駆けてリスク管理をしたいということを現場に指示しました。もちろん危機管理部局をはじめ、また、にぎわいづくり課、そういった部局がそれを今、研究を始めていただいているところだと思います。具体的に言えば、徳島で言ったらマラソン大会もそういうことになるし、以前、本当に痛ましい、悲しい事件が花火大会で、ほかの県でありますけれども、歩道橋で人が、大混雑の中でお亡くなりになったという事件があったと思います。今回もその建築基準法という阿波おどり、徳島市と実行委員会が主催しておられる、そういったところで問題があったということでございまして、私の立場からすると藍場浜公園というのは県有地でございまして、実は都市公園法の中でも法律に基づいて占用許可というものを出しました。ただ、ふたを開けてみれば(申請内容の変更)許可を取れていなかったという事実が今回、発覚したわけでございまして、今回、そういう中で、そのこと自体はやはり大問題でありますが、本当にここで、あの台風の中で実行した場合、桟敷が崩壊する、壊れる、もしくはいろんな事件でもし本当に怪我や人命、こういったものが損なわれる事態になったら、私どもも責任の一端がある。これは道義的、また行政として。ですから、私どもは淡々と、粛々と、これはやはり法律に基づいて、また新たなガイドラインも含めて我々は人命を守る、そして人権を守るという、こういった体制整備をするべきだと考えました。もちろん阿波おどりのみならず、今申し上げましたような県主催のイベント、もしくは県有地を使うイベント。警察の方々とも、これは県とも密接に連携していきます。もちろん県警の予算というのは県が関係しているわけでありますので。今まではボランティア的な形で県警の皆様には大変お世話になっているわけであります、いろんなイベントには。そのこと自体も、やはりちゃんとした危機対応計画というものがあるか、ないかというのは、これは警察の方だってそれはあるに越したことはないと思っていますので、今後、県警の皆様とも連携しながらやっていきたいと、こう思います。これは海外ではもう当たり前になっているようですが、イベントで。横文字で恐縮ですが「エマージェンシーアクションプラン」という、日本語で言えば「緊急時対応計画(EAP)」という、こういったものの導入を、先ほど申し上げましたように、関係部局に策定をすべく指示を出させていただいたところでございます。今申し上げました天候だとか、そういった気象リスクの増加が今、日本の中でもそういう状況でありますし、国内外におけるイベント事故の発生等もございます。そういった中で導入を検討していきたいということでございます。その記載項目、「EAP」の内容につきましては、やはり今回、阿波おどりが分かりやすい例となりましたが、施設整備の安全性の確認、法令順守、そういったものをしっかり確認するということですね。そしてまた、責任体制を明確にするということですね。権限はあるけれども責任はないなんていう、こんなことはあり得ません。本当にちゃんとしていた場合でも、何か事故があって亡くなった時には「じゃあ、保険に入っているんですか」と、こういったところも含めて、これはやっていく必要があります。例えば、自賠責保険というのは、これはなかなか事故が起こった時に支払い能力がない場合がある。だから強制保険なんですね、あれは。だから、同じようにそこも徹底していきたいと、このように思いますし、天候とか自然災害、これに対してイベントを中止するか否か、こういった問題も主催者側にはちゃんと、気象庁をはじめ関係機関にそれを確認すると。危機管理を多数決で素人さんが決めるということはあり得ませんから。これも本当に危険であります、そういうやり方は。ですから、そこもちゃんと主催者の方々が担保できているかと、こういうことです。やはりリスクコミュニケーションを、イベント関係者の中でも、また参加者の中でもそこが周知徹底できているかということでいうことでございます。基礎疾患がある方だとか、何かの時にAEDなどの設置はもう、今までもいろんな問題が起きた時に必要だということでやっていますが、「喉元過ぎて」というようなこともあるかと思いますので、そこも改めて確認してもらいたいし、救急車等の動線ですね。これがなかなか入れないとか、そういうことになるともう危機管理ができていないのと同じでございますので。こういった記載項目につきましては、また今後、別途、詳細を検討していきたいと思いますが、いずれのそういった項目もクリアした場合には、県の県有地を使用許可すると、こういう形にしていきたいと、こう思っております。もちろん最初はまず、私ども、「秋の阿波おどり」というものを県が主催しておりますが、「隗より始めよ」で、我が県としてやるイベントにまずこういったものを導入、そして検証していきたいと思っています。それがまたいい形で機能していけば、ほかのイベントにもしっかり運用していく、準用していくと、こういうふうにしていきたい。日本のあらゆるイベントにもこういった形が、先進事例として、海外では当たり前になっておりますが、広がっていけばありがたいと、こう思っています。阿波おどりうんぬんについては地元の徳島新聞さんが、もう主催も含めて長らく関わってきていますから、そういったいろんな問題は一番よく知っていらっしゃるだろうから、そこは徳島市さんとしっかりと検証していただいたらいいと思います。私としては、県としては、別に阿波おどりに限らずいろんなイベント、スポーツイベントをはじめとした問題、大きな意味での危機対応計画、いわゆる「エマージェンシーアクションプラン」というものを策定して、法律に基づいて、また安全、安心を守っていくということを粛々と検討していきたいと、こう思っております。それと、ちょっと今日は時間も限られているようでございますし、ご質問があれば今の話以外も受け付けますので、まずはご報告です。いろいろ昨日から、一昨日から皆さん、消化不良になるぐらい報道がたくさんありますので、それについてもまた、ここに質問があれば言っていただければと思っています。
(幹事社・読売新聞社)
読売新聞ですけれども、個別の検証は、という話でしたが、この「EAP」を作るにあたっても、今回の阿波おどりの一連の動きというのはやはり検証が必要だと思うので、知事として今のところ、どういうところに問題点があったという、課題があるという。
(知事)
先ほども申し上げましたが、やはりこれは、本当に事故が起こらなかったというか、事件性、だから違法なもので事故が起こったら事件ですよね。ですから、こういうことがなかったけどこれはたまたまであって、今後やはり、そこはちゃんと危機管理をしっかりしていきたいということで、検証させていただくというのはやらせていただいています。法律的に言えば建築基準法ということでございますけれども、これはまた市の、25万人以上は市がやるということでありますので。ただ市として不作為があったということであれば、市からも、なぜそうなったのかもご説明も聞きたいと、このように思っております。何か私どもに権限があるわけではございませんが、しかし、広域行政の立場として、なぜこういうことになったのかということは確認する必要があると思っています。加えて、私どもの県としての関係で言えば、藍場浜公園という県有地、これはいわゆる都市公園法の占用許可を与えるという、これは私どもの範疇であります、法律的に。ここについても今、検証を指示させていただいております。やはり私どもは建築申請、そして確認を受けているものとして許可を出させていただいております、今までは。ただ、こういうことが起こるということは今までの想定にないので、今後やはり、先ほども申し上げましたように、県有地の占用許可に対してはハードルが上がってくると思いますね、ここは。事業者側が、先ほど申し上げました「エマージェンシーアクションプラン」を中心とした安全対策をやっているかと、こういうことも大きな判断基準になってくると思います。
(幹事社・読売新聞社)
読売新聞ですが、計画についての確認で、県関係イベントとありますが、これは県主催のイベントと県有地を使うイベントという理解でいいんでしょうか。
(知事)
そうですね。まずは、やはり私どもの権限というか責任、責任と権限というのは表と裏の関係でありますが、そこをまずやっていきたいと思います。
(幹事社・読売新聞社)
あと、計画というのはイベントごとにイベントの開催前に策定するということなんでしょうか。
(知事)
そうですね。大きな雛型というものを作らせていただいて、ほかの、私どもの権限が及ばない方々でも、善良な主催者はそれを参考にしていただくことができると思いますので、そういう意味での計画ということでございます。例えば、今回も「にし阿波花火」の方々はこういったことにすごく敏感で、こういった報道が出てすぐに「自分たちもしっかりそういうことを参考にしたいから、また教えてほしい」と、こういう善良な主催者の方々は権限と責任というものを理解していただいていると、こう思っております。
(幹事社・読売新聞社)
あと、「これらの項目の例」というので挙げられているんですけれども、この項目を県と、県が主催じゃないイベントの場合はその主催者と、あと、その中に県警も入って一つ一つ確認していくという、それを満たしているかどうかを確認するというイメージでしょうか。
(知事)
確認の権限が及ぶもの、責任が及ぶものについてはそうしていきたい。自分たちで「隗より始めよ」ということで。それは、だから県主催であったり、県有地というものについては、そこは何が必要であって、やはり現場で何か起こった時に警察の方が現場検証されるわけですから、それを逆算して、何が問題になるかということも、しっかり丁寧に詰めていきたいと思います。
(NHK)
NHKです。先ほど、阿波おどりの事案に対して問題点を指摘されていましたけれども、具体的にどういう検証をして、また今度、どういう過程を踏んでいこうと考えられていますでしょうか。
(知事)
今、申し上げましたよね、ずっと。
(NHK)
「エマージェンシーアクションプラン」、こちらの策定の計画ではなくて、今回の阿波おどりそのものです。台風があったり、開催を多数決で決められたりとか。
(知事)
そのことは主催者である方々、もしくは徳島市、先ほども申し上げました地元の新聞さんはもうずっとかかわってきて、いろんな問題点、課題を十分知っていらっしゃるはずですから、そういった論説を私は楽しみにしておりますし、私、県としては、県の権限、責任が及ぶ範囲で、やはり今回の件を受けて、大きな意味でのイベントの危機管理体制を徹底していくと、こういう判断でございます。阿波おどりの問題については今後、やっぱり市議会や徳島市さん、そういったものが、また、今、訴訟のお話も聞いております。そこは県警の方々が法律に基づいてその責任なりを明確にされていくんだと思いますが、我が県としては、及ぶ範囲は県の主催、もしくは県有地のものでございますので、そこは逸脱するつもりはございません。ただ、今後は県警の皆さんとも、道路の使用許可なども含めて、いろいろ議論をしていくということは、今後の健全なイベントの運営に資するのではないかということで、大きな意味で検証して、発信していきたいと思っています。
(毎日新聞社)
毎日ですが、先ほど「県有地の占用許可のハードルが上がってくる」というお話をされて、そのあと「EAPをやっているかが判断基準になってくる」とおっしゃったんですが、これはつまり、県有地の占用許可を出すか、出さないかについては「EAP」の作成というのが要件の一つになるという理解でよろしいでしょうか。
(知事)
そこは今後の検討課題だと思っています。それはやっぱりイベントの規模にもよると思いますよね。その種類にもよりますので。つまり桟敷席を造るとか、ああいう建築基準法、いわゆる我々の都市公園法に加えてまた法律が、いわゆる関係する法律があるようなイベントをやる場合は、それはハードルは高くなってくると思いますが、単にあそこで何とか祭をやるとか、飲食のイベントをやるとか、そうなるとまたそこは違ってくると思いますので、そこはやはり主催の方々の内容。これは今までも県有地を使う場合にはいろいろ、よくも悪くも、書類提出だとか、チェックだとか、管理だとか。これもこの前、聞いたけど、ほかのイベントでは県がすごい厳しくチェックしていたという過去の話も聞いたことがあるんですよね。ですけど、「何で今回だけ、ちゃんと建築基準法の話がチェックできていなかったんだろう」みたいなことを言う人もいますが、そこはイベントによってまた柔軟に対応するべき問題なのかなと思います。そこも含めてこれから検討するように指示しております。
(毎日新聞社)
少なくとも今回のように、徳島の阿波おどりのような、構造物を造って、それが、法に基づく検査が義務づけられているようなイベントであれば、やっぱりもうお受けにはならない。
(知事)
ですから、そこも含めて、さっき言ったようにマスギャザリングという部分も入ってくるし、大多数のイベントでもあり、そして何か間違えば事故になるようなイベント、そういったところも含めて、そこも危機管理部局またにぎわい部局に勉強、研究してもらいたいと思っております。
(朝日新聞社)
朝日新聞です。いろんな場面で知事は発信されていると思うんですが、改めて今回、こういう緊急時対応計画についても、ある意味、今までもやっていることですよね。傷病者発生時の対応とか、AEDを置く置かないとか、細かくはやっているわけですよね。今回こういうのをまとめた計画を導入されるのは結構なことだと思うんですが、一つ、改めて、今回の件に関して知事はどういう感想をお持ちですか。言ってみたら「仕方なかった」とみるのか、「甘かったな」とみるのか、ちょっと抽象で恐縮ですが。
(知事)
徳島県の本当に伝統的な、400年以上続く文化である阿波おどりというもの。これは県民だけではなくて、その阿波おどりを愛する全国の方、世界の方、そういった、今、もう阿波おどりになっていて、高円寺や南越谷、そういったところでも、それ以外も「にぎわいのために阿波おどりを」という、それぐらいのコンテンツになっております。ですから、より我々は安全性や公平性や、また透明性、こういったものを改めて全国に示して、そういった流れの中でまた、阿波おどりが徳島でも、もちろん夏だけじゃなくて秋と春だとか、そういったリクエストもございます。そして世界で、今度、タイでも「もう踊りを待ち望んでいる」という声も聞こえますから、そういった声に応えるためにも、今回、いわゆる大きな意味でのイベントの危機対応計画を策定しますが、今の質問に答えるならば、阿波おどりの話でございますので、阿波おどりについてもそういったものを順守していっていただければありがたいなと。これは、実行委員会がどうのこうのという話は、これは徳島市や徳島新聞さんがいろいろ、今後しっかり、地元紙として、地元の、元主催もされていたわけですからね。しっかり解明していただけるんだと思いますが、私からすると、感想からすると、安全性の問題もそうでありますが、別に、この人は踊っちゃだめだとか、踊っていいとか、こういったことも、そんな権限はないはずなんですね、そういう公平性の観点から。だから、そういうのも、なぜ徳島市さんはそういったものに対してものが言えないのかという、こういった問題も今、多様性の時代ですよね、世界的な。世界に阿波おどりを売り出そうという、こういう我々の目的にはちょっと反するなと、こう思っていますので、そこはやはり世界の阿波おどりにするためにも、県民の皆様と、阿波おどりを愛する皆様方と、そこはもう透明にしていきたいなと、こういう思いです。
(幹事社・読売新聞社)
阿波おどり、今回の件の検証については、オフィシャルな場というか、会議みたいなものを持たれる、そういう想定ですか。
(知事)
いや、何度も言っていますが、そこは徳島市さんや実行委員会さん、そしてまた、法律違反も含めた検証、こういったものがそれぞれの役割の中でされると思います。私どもは県有地ということで、藍場浜公園、都市公園法の中で検証していきたいと、こう思っていますが、先ほども申し上げたように、イベントの在り方についても何か、これは今後のことも含めて、徳島市さんとも話を聞かせていただきたいという思いはあります。
(幹事社・読売新聞社)
あと、記者というか県民としての要望なんですが、どういう話し合いが、問題があったとかないとか、何らかの結論が出るにしても、どういう話し合いがあって、どういう説明があってそのようになっているのかというのをもっとオープンにしていただきたい。
(知事)
ですから、それは市議会、徳島市が任命した実行委員会、徳島市が中心になっているイベントでございますので、多分、そこは県政記者クラブではなくて市政記者クラブで聞いていただくのが筋だと思います。ですから、私どもは、その阿波おどりだけでなくて、県が主催する、県有地を使っていただくようなイベントについて、大きな意味で安全性や公平性、透明性を今後は確認していただくと、こういうことで、各地域のイベントにもそういったものを促していくという、こういう、私どもは具体的なアクションを取らせていただいたということです。
(幹事社・読売新聞社)
あともう1点、検証は今月にもスタートするという感じなんでしょうか。
(知事)
いや、もうそれは現場の皆様の、もちろん先ほど来言っているように、一義的には徳島市さんがいろいろな形で、責任ある立場としてやるわけですから、もうそれは忙しいんだろうけれども、私どもは土地を、県有地、県民の土地をお貸しした限りは、県民の意向に反することがあればそこは正していきたいと、こういうことであります。
(幹事社・読売新聞社)
質問はいかがでしょうか。終了します。
(知事)
ありがとうございました。