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令和4年8月1日 臨時記者会見 フルテキスト版

「産学官連携による地域バイオマスを有効活用した持続可能な農業の実現と関連産業の振興に関する協定」の締結について(説明)

(司会)
 ただ今から「産学官連携による地域バイオマスを有効活用した持続可能な農業の実現と関連産業の振興に関する協定」の締結についての共同記者発表を始めさせていただきます。この度の協定締結は、本県農業における未利用資源からの新たな価値創出と、生産体制の強化を進めることを目的とするものでございます。発表に先立ちまして、本日の出席者をご紹介させていただきます。徳島大学から河村保彦学長。

(河村学長)
 河村です。よろしくお願いいたします。

(司会)
 同じく、中澤慶久教授。

(中澤教授)
 中澤でございます。よろしくお願いします。

(司会)
 全国農業協同組合連合会徳島県本部から、長江郁哉県本部長。

(長江県本部長)
 長江です。よろしくお願いします。

(司会)
 徳島県から飯泉知事でございます。

(知事)
 どうぞ、よろしくお願いします。

(司会)
 以上の皆様から発表をさせていただきます。それでは、初めに飯泉知事から発表をお願いいたします。

(知事)
 本日は徳島大学、河村学長、また、全国農業協同組合連合会徳島県本部、長江県本部長様にお越しをいただいておりますが、まずは私の方から本協定について説明をさせていただきます。この度は「産学官連携による地域バイオマスを有効活用した持続可能な農業の実現と関連産業の振興に関する協定」につきまして、先ほど3者協定締結させていただきました。初めに、今回の協定締結に至った経緯につきましては、本県農業を取り巻く環境は、担い手の高齢化、減少の進行、経済のグローバル化の進展による競争の激化、さらには長期化するコロナ禍の影響やウクライナ危機をはじめと致します世界情勢を背景に、農家は一層、厳しい経営環境となっているところであります。こうした状況の中、本県の基幹産業である農業を持続可能な、魅力ある産業として、本県農業を維持、発展させるためには、技術開発はもとよりのこと、生産、販売体制やブランド力の強化によりまして、農家所得の向上を図ることがまさに不可欠となっているところであります。このため、県におきましては、平成28年4月、中四国9県の中で関西の台所、日本の台所を担っている徳島県として、実は唯一、農業系の学部が大学にないということで、徳島大学の皆さんと協力をさせていただきまして、徳島大学に30年ぶりの新学部「生物資源産業学部」、独自産業、その人材育成の拠点として創設されたところでありまして、これを契機として、徳島県立農林水産総合技術支援センターと徳島大学生物資源産業学部農場、石井キャンパスとも呼んでおりますが、そちらを中核に据え、「アグリサイエンスゾーン」形成し、県、徳島大学に加え、民間事業者の皆様方の参画をいただきまして、例えばIoTやAIなど、最先端技術を用いましたスマート農業に取組む実践力の高い人材の育成や、次世代園芸施設での、高度環境制御技術をはじめとする研究開発や現場実装などの新たなイノベーションの創出に取組んできているところであります。さらに今回、徳島県、そして徳島大学、全農とくしまが3者相互強力のもと、本県農業における未利用資源からの新たな価値創出と生産体制の強化を進めることによりまして、地域バイオマスを有効活用した持続可能な農業の実現と関連産業の振興を図っていくことといたしたところであります。
 少し具体的に申し上げて参りますと、本県が世界に誇るブランド品目すだちについて、新たな価値創出及び生産体制の強化に向けた取組みを進めて参ります。まず、新たな価値創出の取組みといたしましては、加工果実の搾汁残渣、こちらから精油、こちらを抽出いたしまして、また、バイオエタノールの精造など、商品化、事業化を進めて参ります。次に、生産体制の強化の取組みといたしましては、老木樹、非常に樹齢が高くなったものの更新、あるいは傾斜地から平地への移動改植、さらには、スマート技術導入により生産効率を高めて参ります。県といたしましては、これまで培って参りましたすだちの精油抽出技術の提供、また、この度の連携で創出をするバイオエタノールを活用した新たな土壌消毒技術の現場実装などに取り組みまして、さらなるブランド力の強化を図って参ります。今後、3者の強固な連携によりまして、協定締結に基づく各種取組みが1日も早く実装され、本県農業を持続可能で、そして魅力ある成長産業へと変革をもたらす、地方創生のモデルとなるよう、積極果敢にチャレンジをいたして参ります。私の方からは以上です。

(司会)
 続きまして、河村学長様から発表をお願いいたします。

(河村学長)
 徳島大学長の河村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私の方からは、バイオ分野の「オープンイノベーション」の推進、本協定における本学の役割の2点について発表させていただきます。これまでのバイオ分野の本学における「オープンイノベーション」の推進ですが、既にご承知のように、本学の研究成果を基に、食用コオロギのベンチャー企業を立ち上げ食品化を進めております。また、つい先日も、この記者会見室において、「マリンサイエンスゾーン」での成果として、海藻でございますミリンソウですが、この商品化について発表させていただいております。そして、今回はこれらの取組みに加え、徳島県及び全農とくしま様と連携しまして、本県特産のすだちの残渣を活用して、付加価値の高い香料や肥料を開発していくこととしておりまして、今後、より一層、「オープンイノベーション」を進めて参ります。本協定における本学の役割につきましては、未利用資源を活用した新たな価値創出のための研究開発、実証に関することであります。具体的には、私の隣におります中澤教授が中心となって進めるのですが、すだちの搾汁残渣から天然香料の原料となる精油の抽出、生産プロセス開発、最新の分析機器を用いた品質評価や残留農薬の検出などを担当いたします。さらに、精油抽出の残渣からバイオエタノールの精造に関するプロセス開発、基本設計などを行います。この研究開発は、先ほど飯泉知事からもご紹介がございました、現在、石井キャンパスにおいて経済産業省の補正事業で整備を進めております新しい施設、ヴォルテックス棟と称しておりますが、こちらにおいて、これまでの知見を生かして進めることとしております。本学としましては、この研究開発にしっかりと取組み、ひいては地域バイオコミュニティの実現、ならびにSDGsの達成に向けて貢献して参りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。私からの発表は以上となります。本日はありがとうございました。

(司会)
 続きまして、長江県本部長様から発表をお願いします。

(長江県本部長)
 全農とくしま県本部の長江でございます。よろしくお願いいたします。この度は徳島県様、徳島大学様との間で、本県の農産物を活かした産学官連携の協定の締結に至り、大変喜ばしく思っております。この事業につきましては、私ども、全農徳島県本部ではすだちの搾汁残渣から精油を抽出し、フレーバーやフレグランス、ただ今、ご説明いただいたとおりでございますが、原料として販売を手がけていくということになりますが、われわれの役目としては、これの原料の調達、それと技術指導をいただいた中での精造、そして、これを国内はもとより、全世界に向けて販売をしていくという役割を担うことになって参ります。このすだちの残渣につきましては、現在、多くが産業廃棄物として処分をされています。これまで活用されずに廃棄されている搾汁残渣を、徳島県様、また徳島大学様の協力を得て、精油原料や肥料原料、これから、未来に向けて「カーボンニュートラル」の時代を迎えて参りますが、そのために、われわれは開発を一緒に進めていきたいと考えております。先ほど、バイオエタノールというお話もございましたが、甘藷のつる、またはその他の農産物の残渣等についてもバイオエタノールが抽出できるということを聞いており、われわれは大変期待をしているところでございます。この事業を通じて、年々減少をしてくる生産量、また栽培面積に歯止めをかけ、後継者や担い手の育成、販売力の強化など、農業界のさまざまな課題解決に貢献できる、また、生産振興を目指して参りたいと考えております。今回の新たな取組みは、地域の未利用資源の活用、地域社会の活性化、環境負荷軽減に通じたSDGsの達成の貢献、国が掲げております「みどりの食料システム戦略」に連動しておりますこの取組みを行うことで、本県の農業を支え、徳島県の新しい魅力を作って未来へつなげていくということを考えているところでございます。今後とも徳島県様、また、徳島大学様のご支援、ご指導を賜りますようお願い申し上げまして、私の発表とさせていただきます。本日はありがとうございました。

(司会)
 発表については以上でございます。ここからの質疑の進行は幹事社の方、お願いします。

「産学官連携による地域バイオマスを有効活用した持続可能な農業の実現と関連産業の振興に関する協定」の締結について(質疑)

(幹事社・徳島新聞社)
 幹事社の徳島新聞です。よろしくお願いします。幹事社から何点か質問をさせていただきたいんですが、まず、この3者での協定ということになったわけですが、この3者で取組みを進める意義、それをまずお伺いできますか。

(知事)
 先ほど、冒頭も申し上げたように、徳島大学、そして徳島県とで、まず、この「アグリサイエンスゾーン」、また「生物資源産業学部」、これを実現。今度はそこで大きな目的となっている6次産業化、これを進めていく具体的なテーマ、こうしたものを、いろいろ、これまでもやってきたわけなんですが、今回、全農とくしま様が入ってきていただいたおかげによりまして、本県の一番のブランド品目であるすだち。しかも、実は今、お話があるように7割がこの残渣になっている、搾汁残渣ですね。これが産業廃棄物になるということは、コストをかけて、これを処分しなければならない。しかしこれを、逆に価値あるものにしていく、有価物にするということで、マイナスからプラスへ。そして、さらにこれが付加価値の高いもの、フレグランスの話も出たところでありますが、こうしたものを商品化して売っていくとなってくると、ここは全農とくしま様の得意分野ということで、今までは研究開発を中心にやってきた徳島県と徳島大学、ここに、これを具体的な成果として、付加価値の高いものにし、農家の皆さん方の所得向上につなげていく、これが持続可能な農業の実現、今回の協定の一番最初に書いてあるところなんですが。こうしたものを行なうということで、これまでの県と徳島大学、そして民間企業の皆様方に加わって「アグリサイエンスゾーン」をしてきたわけですが、全農とくしま様が入ってきていただいたおかげで、これを海外などにも直接販売していく。こうした大きな力を得たということで、まさに3者のそれぞれの強みを活かし、相乗効果、これを高めていく、これが大きな目的ということになります。

(幹事社・徳島新聞社)
 あと、具体的にどういった商品が考えられるのかというところは、何かあればお伺いできますか。

(中澤教授)
 それでは、具体的な商品として一番考えられておりますのは、精油の部分から出てきますいわゆる化粧品原料であるとか、そういうところを考えているという状況でございます。また、プロセスによりましては非常に、エキスという形で、非常に芳香性の強い水分、水も出てきますので、そういうものも含めまして、総合的にすだちの香りを楽しめるというところの商品、そういうふうなことを考えています。

(幹事社・徳島新聞社)
 もう1点。今回、すだちの残渣を活用してということですけれども、この枠組で、その他の作物に関連した何か取組みを、今後、進めて行くようなお考えというのはありますか。

(知事)
 先ほど、調印式のあとの場で長江本部長からもお話があったように、例えば、今後、鳴門金時、これは具体的に先ほど名前が挙がっていましたが、当然、まずは最大の品目であり、そして生産の98パーセントが徳島県、この代表品目であるすだち、この成果をしっかりと上げて、その応用として、よく四大ブランドといっているのに、もう一つ、農業の関係だと鳴門金時が出てきますから、こうしたものへどんどん広げていくと。つまり、徳島の得意分野、こうしたものにより応用をしていこうと、こういうことになります。もし、長江本部長からつけ加えるのであれば。

(長江本部長)
 将来は、鳴門金時のつるからバイオエタノール。また、県内で今、大変邪魔になっているというか、自生している、竹からもバイオエタノールが作れるということを聞いておりますので、将来の徳島の農業を守っていくために、いろいろな分野からバイオエタノールを作っていきたいなと。それと、精油の方については、これから先生の開発、徳島大学様の開発にもよりますが、桃の花であるとか、なしの花であるとか、いろいろな分野に展開ができるのではないかという期待は持っています。

(知事)
 中澤先生、何か。注目されている分野が。

(中澤教授)
 徳島県はいろいろ、流通面でいいましてもさまざまな花き類、シンビジウムとか、そういうのもございまして、その花のフレーバーというところで、すだちはずっともう、その時期にしか、すだちをやるわけではないので、それ以外の時期に他の精油成分を取っていくとか、さまざまな工程を入れることによって、徳島県下の農産物、そういうところからいいフレグランスを取ってくるということも考えております。

(NHK)
 NHKです。すだちの7割が残渣として産業廃棄物になっているというお話なんですけど、年間大体、量的には何キロ、何トンぐらいが。

(長江本部長)
 徳島県内でのすだちの生産量が4,000トン強なんです。その中の約半分が、2,000トンが搾汁用に利用されています。そこの中の7割ということなので、1,400トン余りが産業廃棄物として処理をされている。既に、飼料に使ったり、一部は利用されていますけど、ほとんどが産業廃棄物として処理をされていますので、これを有効に使っていこうということです。

(NHK)
 それで、そのすだちの残渣を化粧品に変えるということなんですけれども、実験というのは、もう既に着手している。

(中澤教授)
 そうですね。実験の方はもう着手しておりまして、過去からも、そういうデータはございますし、例えば、隣の高知県の方ですと、ゆずからは、香りの化粧品に応用するというのはかなり進んでおりまして、それよりももっと成分が、すだちの場合は非常に多いものですので、そういうふうなところを参考にしながら、新たに追加するような研究開発も含めてやっているというのが現状でございます

(NHK)
 ゆくゆくはその化粧品メーカーとかと一緒に精品を作っていくという方向性にもなってくるんですか。

(中澤教授)
 そうですね。それも流通の段階で、卸の、香料材屋とかいろいろございますので、そこはもう全農様とお話をさせていただきながら進めるんですが、まずはそのスペックをどういうふうに決めるかというところもございますので、それをメーカーと話しながらということになろうかと考えています。

(NHK)
 最後に、参考までに教えてもらいたいんですが、大体、すだちの残渣のどれぐらいの量から、どの程度のフレグランスの商品が出来上がるかというのは、データなどは既に出ているんでしょうか。

(中澤教授)
 私の方から解説でいいですか。大体、今のところは0.4パーセント前後ぐらい、皮、すだちの、全体の皮の重量から0.4パーセントほどという形になっています。

(NHK)
 ありがとうございます。

(四国放送)
 四国放送です。実際にそのすだちの香りが含まれた商品が販売となるのは、いつぐらいというのは決まっているんですか。

(中澤教授)
 本部長、どうですか。

(長江本部長)
 早急にわれわれも精品化したい。既に香油としては商品ございますので、それをさらに研究、開発をしていこうということですので、これから工場、この2、3年の間には一つの方向を出していきたいという考えです。

(中澤教授)
 この精油はできておりまして、結局、どういう分野にということで、例えば、非常に簡単なお菓子とか、そういう添加物であれば食品添加物になりますので、採用さえ決まれば即ということになりますし、安全性の問題は基本的には問題ないという形になりますので、その部分から考えますと、非常に身近なものと、ちょっと遠いものと、二つあるかと思います。

(四国放送)
 じゃあ、もう既にでてきるものを、これからどのような商品に活用していくかというのを考える。

(長江本部長)
 われわれが目指しているところの途中のものですので、もしよければ一度、匂っていただければ一番いいと思いますので、どうぞ。

(四国放送)
 いや、いいですか。

(知事)
 実感をしていただければ。

(長江本部長)
 実感を。

(四国放送)
 すみません。ありがとうございます。

(知事)
 その場面も撮っていただいて。カメラに向かって。

(四国放送)
 いやいや。おいしい香りがします。

(長江本部長)
 もしよければ、それをお持ちのハンカチに少しつけておいていただくと、より実感してもらえるのではないかと思います。

(四国放送)
 じゃあ、化粧品以外にも、お菓子とかにも活用していくかもしれない。

(知事)
 いや、というか、お菓子がまず一番早いんではないですかね。食品添加物としてオッケーなものですから。そして香料は、先ほどのいうように、そのエキスをどう、バイヤーといいますか、そういう会社の方に売り込んでいくのか、そこになりますので、さっき長江本部長がいわれたように、ある程度の期間がかかる。でも、食品添加物としていろんなものに使っていくとか、あるいはシュシュッと簡単な、よく女性の皆さん方が夏、暑い時にシュシュッと、あれ、水ですよね。あの中にちょっと入れるだけでさわやかな香りがする。で、今、皆さん、マスクをつけて「しんどいな」。そこも、シュッとマスクにつけることで、結構長く保持できるということがありますので、さまざまな点ですぐにできるもの。それから、先ほどのように中長期。中長期のものであればあるほど、例えば香水や何かということになりますと付加価値が非常に高くなる。先ほど、どのぐらいの量だと、0.4パーセントという話があったんですが、世界最高峰の香水、バラの花から抽出しますけど、この部屋ぐらいでこのぐらいですからね。それから見れば、かなり率は高いのではないかと、こう思います。

(四国放送)
 ありがとうございます。

(司会)
 それでは、時間となりましたので、これをもちまして記者会見を終了させていただきます。本日は、本当にありがとうございました。

(知事)
 それではどうもありがとうございました。よろしくお願いします。

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