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令和2年12月18日 臨時記者会見 フルテキスト版

「eスポーツによる地方創生徳島プロジェクト」連携協定について(説明)

(司会)
 ただ今から、「eスポーツによる地方創生徳島プロジェクト」についての共同記者会見を始めさせていただきます。本日の記者会見出席者をご紹介させていただきます。

(司会)
 飯泉徳島県知事でございます。

(知事)
 本日はどうぞよろしくお願いいたします。

(司会)
 一般社団法人全国高等学校eスポーツ連盟細井専務理事でございます。

(細井専務理事)
 細井でございます。よろしくお願いいたします。

(司会)
 四国大学、四国大学短期大学部松重学長でございます。

(松重学長)
 松重です。どうぞよろしくお願いします。

(司会)
 阿南工業高等専門学校平山校長でございます。

(平山校長)
 平山でございます。よろしくお願いいたします。

(司会)
 株式会社サードウェーブ尾崎社長でございます。

(尾崎社長)
 尾崎です。よろしくお願いします。

(司会)
 それではまず、飯泉知事から今回の連携協定について、発表をお願いいたします。

(知事)
 本日、徳島県とここにご出席いただいております一般社団法人全国高等学校eスポーツ連盟細井専務理事さん、また四国大学の松重学長さん、阿南工業高等専門学校平山校長先生、さらには、株式会社サードウェーブ尾崎社長さん、以上5名で「eスポーツによる地方創生徳島プロジェクト」の協定を締結いたしましたので、まずはご報告を申し上げたいと存じます。
 eスポーツ、まだまだ日本では聞きなれない言葉ではありますが、競技人口では1億人、その数リアルスポーツでいきますとテニス人口を上回る、また昨年度は茨城国体で、文化プログラムとして初開催、でも2022年の中国杭州ですね、アジア大会からは正式種目となる、今注目の競技となっているところであります。
 一方、本県は言うまでもなく、9年連続ケーブルテレビの世帯普及率日本第1位、そしてこれらがすべて光ファイバーで結ばれる、全国屈指の「光ブロードバンド環境」を有するとともに、今年最大のヒット映画と言われる「鬼滅の刃」の制作会社スタジオや直営シネマがあり、毎年春と秋、延べ100万人を動員する日本最大級のアニメイベント「マチ★アソビ」が開催され、「アニメの聖地」徳島として認知されていることからeスポーツに関する世界的なトレンドをいち早く捉え、「マチ★アソビ」と連動する形で、2018年の5月からは、「eスポーツステージとくしま」をスタートさせ、昨年の5月には、eスポーツでは全国初となる「県知事杯」、こちらを創設するなど、「eスポーツを地方創生の活力」としてきたところであります。
 本日、ご参加いただいております四国大学、また阿南高専の皆様方におかれましては、eスポーツについて、学生さん主体で運営するクラブを創設され、校内はもとより、地域の皆様方にも開放いただくなど、eスポーツ推進の県の動きに、積極的に呼応いただいているところであります。
 こうした活動を受け、このたび、文部科学省の後援を受け、全国高等学校eスポーツ選手権、こちらを主催・共催される「JHSEF(ジョセフ)」様、及び「株式会社サードウェーブ」様から、これまでの両校の活動をさらに活性化させ、全国に向けて、「eスポーツによる地方創生モデル」を打ち出したいとのご意向を受け、本日の協定締結になったところであります。
 「GIGAスクール構想」の推進など、教育現場におきましては、ICTの活用、飛躍的に拡大しているところであり、これからの社会にデジタル人材の育成はまさに、不可欠のものとなっているところ、そのきっかけ、入り口として、eスポーツが担うべき役割、非常に大きなものがある、とこのように認識するところであります。
 本協定によりまして、両校をフィールドとして、eスポーツの魅力、その可能性が様々な分野に広がるとともに、県全体に波及していくことで、まさに本県の地方創生第二幕の実現につながるよう、県としても全力で応援いたして参りたいと考えております。
 私の方からは以上です。

(司会)
 続きまして、一般社団法人全国高等学校eスポーツ連盟細井専務理事様より、今回の連携協定に基づき、取り組む内容等をご説明いただきます。

(細井専務理事)
 細井でございます。皆様、書類はお持ちだと思うんですけれども、今回こういう連携協定を結ばせていただいたというのは、今後、高校生の中に、eスポーツというものを文化として根付かせる、あるいは根付いてもらいたいという、その希望に添ったものでございます。
 そういう意味で言いますと、「産官学」、この協定というのがそういうコラボレーションで、できあがっております。
 なぜ、徳島県というのが皆さんの中にあると思うんですけど、先ほど飯泉知事がおっしゃられたように、徳島に関して言うと、ITに対するいわゆる投資、あるいは理解が非常に高い、そういうことも含めまして、我々全国高等学校eスポーツ連盟としましては、実は阿南高専さん、我々今、ちょうど第3回目を今やっております。
 予選があさって終了して、3月に決勝大会をやるんですけど、その中で第1回目、阿南高専のeスポーツチームが、ベスト4に進出した、これが我々からすると、非常に重要な事項として捉えておりまして、徳島と何とかやりたいなというようなことで、今回、プロジェクトを立ち上げるときに、司会をやられている加藤様の方にお話を持って行って、こういう提携になりました。
 プロジェクトの内容としましては、目的として見るとeスポーツの「教育的価値」というのをいかに理解してもらうか、それと先ほど知事がおっしゃいましたように、地方創生の一つの起爆剤として、これを結びつけられないか、ということを目的としております。
 さらに、地域のコミュニティづくり、先ほどちょっとお話ししてたんですが、例えば高校生とそのおじいちゃま、おばあちゃまがひょっとしたら、プラザを立ち上げて、PCをサードウェーブさんに提供していただいているんですが、その中でいろんなゲームを対戦することによって、今まで全くすれ違っていた、あるいは関連性がなかった方々の結びつきというのがひょっとしてできるんではないか、そういう実証実験も含めて、とにかくこのプロジェクトに参加させていただいて、協定に結びついたというふうに思っております。
 そういう意味で言うと、いくつかのポイントというのがあります。
 交流スペースというのを、四国大学様と阿南高専様に提供していただいて、サードウェーブ様から、いわゆるゲーミングPCを提供していただくということで、プラザを立ち上げます。
 その中で、我々が重要視しているのが、ただ側を作ってもしょうがないよねと。ですから、それをいかに使ってもらうか、ということで、阿南高専の方の我々から言うと有名な小松先生という方がいらっしゃるんですけども、その先生がカリキュラムを作って、すでに学校の中で「教育的価値」というものを出されているんですね。
 そういうことも踏まえて、我々からすると、生徒、それと教育関係者、それと家族、この3つがいわゆるコラボレーションといいますか、融合できるようなそういう場に持っていきたいなというふうに思っております。
 もう一つの目的というのは、「eスポーツ、所詮ゲームでしょ」と言う方々も当然いらっしゃいます。当然のことながら、ゲーム依存症だとか、そういうようなところもあるんですが、それを実際に使ってみてどうなんだろう、「教育的価値」というのが、そういうところで見い出されるんだろうか、そういうような実証の場というふうに、我々これを捉えていきたいなというふうに思っていますので、徳島県からこういうことって初めてなんですけれども、飯泉知事の力強いリーダーシップのもと、全国に広めていっていただければということで、我々今回、こういう協定にサインさせていただきました。それが大体、おおよその説明でございます。

(司会)
 ありがとうございます。発表は以上です。これより幹事社様の進行でお願いいたします。

「eスポーツによる地方創生徳島プロジェクト」連携協定について(質疑)

(幹事社:読売新聞社)
 新しく交流スペースを設けられて、具体的にどのような活動をされていくのか、現段階で決まっているあたりをお伺いします。

(細井専務理事)
 プラザの開所を1月ぐらいから、まず1年かけてやらせていただきます。当然のことながら、四国大学様と阿南高専様の協力で運営していただく。そうすると、徳島県の方の北と南、そこをカバーできれば、いろんな方がそこに集まってeスポーツを生で経験していただく。それを、それぞれ学校の、四国大学様、それと阿南高専様の皆様で協力して運営させていただく。当然のことながら、我々連盟とサードウェーブもそういう意味で言うと全面的に協力させていただくという体制でいきたいと思っています。

(読売新聞社)
 それぞれ学校の学生さん、四国大学さんも阿南高専さんの方も学生さんはeスポーツに参加されていらっしゃる方が既にいらっしゃると思うんですが、さっきちらっと言ってらっしゃった、ここに地域の方が加わるとか、その交流スペースを設けることで、どういった層がそこに参加するのか。

(細井専務理事)
 今、eスポーツをみるともちろん大学生もやられています。プロの方もいらっしゃいます。
 ところが、eスポーツの世界、実は小学校、中学校、そのゲームをスポーツとしてみる。要は親御さま、ご両親は一緒に体験できる。ですから、イメージとして、ゲームというと一人で部屋に閉じこもって、無制限にやるイメージですが、そうではなくて、そういう交流スペース、プラザでいろんな方、先ほど言いましたように学校の先生と生徒、あるいは生徒同士、あるいはご両親と学生、生徒、それと親御さんの親、もう本当にそういう意味で言うと、男女関係なく、あるいは歳も関係なく、体力も関係なく、そういうところで試していただく、これが一番大事なところだと思っていますので、そういう意味で言うとコミュニティに参加する、最初は恐らく「何だこれ」という形になると思うんですけれども、それを乗り越えて、例えば阿南高専の高校生、あるいは四国大学の准教授の先生、あるいは学生の方が、寄り添って当然我々巡回してきますので、密接に関係づくりをしていきたいなというふうに思っています。

(読売新聞社)
 「教育的効果」 といったときになかなか、計るのが難しい尺度かもしれないですが、先ほどの協定の場で、例えばコミュニケーション能力だとか、いろんな話が合ったと思うんですが、例えばどういった「教育的効果」があるのか。

(細井専務理事)
 一つは、カリキュラムをeスポーツというのが実は学術的にどういう影響力があるのか。ですから、クラブを作ってクラブの中で、ゲームを対戦するだけではなくて、そういう自分たちが置かれている中で、eスポーツが世の中に与える影響って何、あるいはその先に、例えばゲームをやらない人たちからすると、プレーヤーじゃない人たちとどういう関わり合いができるのか、将来の職業の拡大って何、例えばeスポーツやるためには、プレーヤーだけではなくて、運営する人、それから審判、それを見たいという人に対してのメディアの発信、そういう人たちが結構大事になります。ですから、そういうようなところで、役割分担なんかも実は「教育的価値」の中に入ってくると思っております。

(読売新聞社)
 資料の中に、学生さんが運営するみたいなこともあるんですか。

(細井専務理事)
 ですから、例えば阿南高専さんにしても四国大学さんにしても御自分達で大会を運営する。その中で、先ほど言いましたようにビデオカメラを回す人、企画する人、設営をする人、それともちろん、当然プレーヤー。それを世の中のSNSで拡散する人たち、そういう人たちも含めて運営されています。とくに、阿南高専さんと、四国大学さん、そういう学生さんが集まっているので、私からすると「徳島恐るべし」というのが、私東京の深川の生まれなんですが、これは「徳島に負けているな」と思います。

(読売新聞社)
 最後に1点、実証試験ということなので、どれくらいの期間、どういう方にどういったものとか、そういったことは。

(細井専務理事)
 最初に期間を決めないと、なかなか進まないので。まず、1年見ます。その中で、どういう方々が実際に訪れるか。その中で学生さんと高校生、中学生、年齢層、そういうのが分かってこれるなと。そうすると、地域の中で、例えば学生のみならず、先ほど言いましたように親御さんですとか、いわゆるおじいちゃん、おばあちゃん、そういう方々が入ってきて、実際にやってみる。ひょっとすると、香川県の方々が帰省されているので来てみようかとか、そういう部分もひょっとしたらあるかもしれない、そういうところ、他県からの移動なんかも見てみたいというふうに思います。

(毎日新聞社)
 こちらの機材(PC)を提供されるということなんですが、交流スペースにそれぞれ何台ずつ提供されるのか。

(尾崎社長)
 (四国大学と阿南高専に)それぞれ11台、トータルで22台となります。

(徳島新聞社)
 交流スペースは地域に公開される、誰でも来られるようなスペースになるのか。

(細井専務理事)
 そのとおりです。

(徳島新聞社)
 このような自治体と地域の大学だとか、今回5者ですけども、協定は全国的に初めてなのか。

(細井専務理事)
 そうですね。eスポーツに関して言うと、徳島県、飯泉知事が気合いを入れてやられているので、その部分がどうしてもリーダーシップを発揮されているということがあって、(全国で)初めてですね。ですから、今後こういう形のものが日本津々浦々広がっていくと、eスポーツ、アメリカ、中国、韓国に負けない、eスポーツ大国になる。
 ですから、これはあくまで先ほど言いましたように、プロを養成するだけじゃなくて、eスポーツに関わるいろんな産業が生まれてくるので。ですから、先ほど知事がおっしゃったアニメーション、あるいはジャストシステムさんとか、テレワークなんでいろんな形で、東京に居る必要ない。
 ですから、そういうような、企業が生まれてくる可能性があります。ですからそれを、先ほど知事がおっしゃったように「地方創生」というふうに捉えることができれば、我々の取組みというのは成功の一歩かなというふうに思います。

(徳島新聞社)
 先ほど依存症の話が出たんですが、依存症も病気と認定したりして、世界的にもゲームの副作用について指摘されているところだが、「モラル教育」、ゲームとのバランスというか、兼ね合いというか、そのへんはどういうふうにしていくのか。

(細井専務理事)
 そうですね。私どもの今の連盟の中に、理事で現役の脳外科医さんがいらっしゃいます。その方というのは、Jリーグのプロサッカー部の主治医も兼ねているんですね。
 その方がeスポーツというのは、ゲームではなくてスポーツだと。いろんな今、実証実験をしています。
 実はサードウェーブさんはプロチームの所属を持っているんですね。その方々の協力を得てゲームをやっている最中の、例えば筋肉の動き、脳の動き、あるいは酸素の摂取量、そういうのも測って、例えば何日間までだったら、ゲームとして成り立つのかとか、そういう実験も始めています。
 さらに、我々連盟というのは、北米の教育eスポーツ連盟と提携していまして、そこがやっぱり、今は約2,000校になっていると思うんですけど、そういうところの実証を持っているんですよ。
 ですから、当然のことながら地域の中に、あるいは学生の持っている基礎体力とかに影響してくるんですけど、何時間までだったらそれが持続するとか、そういう研究が始まっていて、結構そういうような学術的なことを今、準備しています。
 ですから、一般的な概念として、依存しちゃうんじゃないの、そうではなくて、これは違う学校なんですけど、要はクラブに入ったおかげで、家に帰ったら部屋に閉じこもってゲームしなくなったという人もいるんです。
 ですから、そういう事例なんかを我々は連盟のホームページで発表していければなというふうに思っております。答えになっていますかね。

(徳島新聞社)
 どういうふうに「モラル教育」をやっていくのか具体的にありますか。

(細井専務理事)
 その件に関しては、私のところの理事が来ていますので、大浦理事から補足します。

(大浦理事)
 私の方から、お話をしたいと思います。ゲームというとどうしてもまだ市場として成熟していないので、どうしてもやっぱりこわいというふうな先入観を持たれると思うんですね。
 とくにゲームのネットの世界というと、とくに言葉が汚いとかいうところがあります。例えば野球とか、サッカーとか、柔道とか、そういった今のスポーツというのは、例えばグランドに入る前にまず礼をしてから入りましょう。試合が始まる前にお互いに握手して始まりましょう。試合中にラフプレーをしたら、それはいけないプレーだと教えますよね。それが積み重なって今の文化、スポーツ文化ができあがっていると思います。
 今、eスポーツは始まったばかりなので、要は大人がそこをまだきちんと教育できていないんですね。なので、とくに今回の取組みの中で教育関係者、先生方にお願いしたいのは、まずそこの部分です。そのプレーをどうしたら強くなるかではなくて、例えばネットでも今、いじめとかいろいろ問題がありますよね。それをやっぱり教育現場の中でもきちんとそれを伝えられていないと思うんですよ。
 eスポーツは、ネットをどう使いこなすか、いじめも含めてですね。といったところを教えていく入口になると思っています。例えば、生徒たちに、これ見て下さい、このポスター。これ実は、四国大学の学生が今回作ったんです。そういうふうに、eスポーツ、単にプレーヤーだけではないんですね。僕は映像を作るよとか、僕はポスターを作るよとか、いろんなこと、能力が引っ張られてくると思うんです。
 そういった中で、例えば自分たちが企画、運営していったら、ただ見ているだけだと運営どうなっているんだと言いたくもなります。自分たちが運営する立場になったら、こんなこと言ったら傷つくよね、ネットの中でそんなことをいうのはやめよう。そういった子たちが高校生のところから経験をしていけば、彼らはいずれは大人になります。大人になったら逆にその子どもたちに対して、指導ができると思います。
 そういったことを今からまず、四国大学さん、それと阿南高専さんの学生の皆さんが次の大人になるための準備をしてもらって、正しい形の、教育の形、そして、eスポーツの日本の新しい文化にしていきたいと思います。
 なので、今回のこの提携はまさに日本のeスポーツ、これを文化にしてくための一つのきっかけになる日だと思っています。

(読売新聞社)
 先ほど知事へのリーダーシップへの期待の話もあったんですが、どういった点を期待するかということと、それを受けて知事の方からどういったサポートをするのか(をお願いします)。

(細井専務理事)
 最近、東京でいろんなニュースを見ていると飯泉知事の出番がかなり多いです。やっぱり、リーダーシップ、(全国知事会)会長として、ものすごくリーダーシップを発揮されているなというふうに私は捉えています。
 ですから、そういう意味で言うと、先ほどの記者さんの話にもありますが、(eスポーツの)良い部分と悪い部分が当然あるので、悪い部分について実証して潰していきたい。それを、良いところに結びつけたい。
 そういう意味で言うと、徳島県でやられているeスポーツの取組みというのは、知事が全国知事会でやりますと、小池(知事)さんが飛びつくとか、吉村知事がとかそういうふうになっていただけるといいのかなと思います。
 我々は地道に草の根運動をやっていきますので。そういう面では飯泉知事のお力というのは大きいなというふうに思います。

(読売新聞社)
 情報発信力ということか。

(細井専務理事)
 情報発信力は今、日本では一番じゃないでしょうか。

(知事)
 今、お話がありましたように、やっぱりこの日本の国というのは、今まであらゆる分野において、例えばヨーロッパ、アメリカ、アジア。かつては先進国と言われたのに遅れてきた。その原因は一体何なんだろう。
 それは、転ばぬ先の杖。よくスキー競技が例えられますね。スキーは本来滑降とか、大回転、スーパー大回転。とにかくスピードを競う。
 ところが、日本選手がアルペンで勝てない。なぜかというと、私も昔そうでしたけど、スキーを習うときに日本人はこけ方から教える。つまり、安全でないとダメなんだ、スキーは危ない競技なんだ、頭からそういうふうに教え込んでしまう。
 だから、スピードに対しての恐怖心が芽生える。指導者の皆さん方もスピードを出し過ぎるよりは、いかに安全に滑りきるかということ。であれば、どんどんどんどん世界標準から遅れてくる。
 そして、もう一つあるのが様々な点で実証実験、これは役所に多い話なんですけどね。これは良い話なんですが、一見。
 ところが、実証で仮に失敗した場合は、これなかったことにしようということで、失敗したことの事実を消していく。失敗した上で、何が失敗していたのか、それを直して、それを成功に導こうという、その道が閉ざされてしまう。
 そこで、とくにこのITの世界で日本はかつて、世界最先端、これを目指し、一度はゲットしようとした。
 ところが今、OECD諸国の中で、例えば子どもさんたちの1人1台端末、当たり前。でも、昨年までは日本は1人じゃなくて3人に1台の端末。そこで、文部科学省の方が、最後の決意を持って財務省に予算要求したところ、これを切られてしまった。
 そこで、昨年の11月、当時は安倍総理でしたけど、文科省の方から何とかならないだろうか、やはりもう一度世界にチャレンジしたいと、我々としてもそれはいい話だということで、安倍総理にこれは直接、(全国)知事会長として申し上げ、そして、安倍総理の方でもそれはやろうではないかということで、補正部分も加え、4,500億円であくまでも公立の小・中(学校)ではありますけどね、国公立の。このGIGAスクール、これがスタートを切った。
 結果、何が起こったかと(いうと)、日本が世界に追いついただけですが、その後誰も考えなかった、このコロナ禍を受けて、学びの保障にこれはなくてはならないものになるんですね。
 つまり、これを実証実験でしょぼしょぼやっていたら、とてもじゃないけどそんなお金より医療に、あるいは業を支えるためにお金を入れるべきではないか。
 しかし、この基盤があったればこそ、じゃあこれを学びの保障に使おうじゃないか、ということで、遠隔授業であったり、そしてそれが、個の教育、こうしたものにどんどん使われるという形になった。つまり、実証じゃなくて、実装した。
 ということで、私は自分がやってきたこのITの世界ですから、総務省、今日も先ほどBeyond5Gもいよいよコンソーシアムを立ち上げて、挨拶を冒頭してきたんですけどね。
 やはり、実証ではなくて実装する。そして、世界が10年でやるんだったら日本は5年でやるんだと。そして、これは無理という人が必ずいるんだけれども、そうじゃない。日本の得意な分野を5年で勝負をかける、何もフル装備で標準化する必要はない。
 そして、じゃあ日本の得意って何。クールジャパンの代名詞と言えば「アニメ」。そうしたものはもう世界中で支持される、「進撃の巨人」はもとよりのこと、「鬼滅の刃」を見ても分かるように、ジブリもそうですけどね。
 となれば、日本の得意な分野、それに非常に親和性があるのがeスポーツ。だからこれをまず、実証実験ではなくて、やる。フィールドを作り、そこに四国大学、あるいは阿南高専の皆さん方がフィールドとして参画しようじゃないか、これほどいい話はないわけでして。
 やはり日本の文化を変えなきゃなんない。あくまで実証実験から実装、まずやる。そして今、細井専務(理事)がおっしゃられたように、その中でまずい点をたたき出していく。そうすることによって、この世界、まずやったという既成事実があることによって、日本が世界最先端、まずその最初の一歩を記したのは日本だ。そうすることによって、日本はこの世界の中で第一人者になってくる。
 だから、リスクを恐れるがあまり、結果として、日本、先進国の中の一番最下位にあらゆる分野でついてしまう。
 例えば、2050年カーボンニュートラル、我々自然エネルギー協議会としてずっと言ってきた、ようやく今回総理が踏み切っていただいた。
 でもそれで、世界最先端かというと、ようやく先進国の中に入ってきたと。お待ちしてましたと言われたのが、この間のパリ協定で、これはイタリア大使館の中で、私もパネリストになりましたけど。
 だから、全ての面において、やはり日本のこの価値感というもの、このコロナ禍をきっかけに一気に変えて、まずは実装するんだと。その中で、まずい点をたたき出していく。
 そして、日本がそうしたあらゆる分野において、世界の先駆けになる。そのためには今回、非常に絶好の機会が来た。そして、これネットを活用することによって、今テレワークをはじめ様々な点でこの「ニューノーマル」、その代名詞、そして、子どもさんたちは非常に関心を持っている。どんどん自主的に学んでいく。それがさっき言われたこのeスポーツが教育面でプラスになってくる。
 確かにこれが万全というわけじゃない。中毒の問題。でも、ここも脳外科の先生がちゃんとJHSEF(ジョセフ)の中にも居られて、検証していくんですよ。こうしたお話があるわけですから、まずはやる、実装する、ここからということになるかと思います。

(徳島新聞社)
 最後、知事にお伺いします。アミコに移転する青少年センターの計画の中にも、eスポーツを活用した交流推進というものを打ち出されていると思うが、この青少年センターの活用と連携はリンクしてくるのか。

(知事)
 もちろん我々として、そうしたものを打ち出すことによって、JHSEF(ジョセフ)さんであるとか、サードウェーブの皆さん方であるとか、これまでの様々なお付き合いもあるわけなんですが、やはり徳島県の本軌道、こうしたものをご理解いただけてるんではないのか。
 ただ絵空事だけでこれをやろう、その先進を目指すんだ、かけ声だけではダメであって、実際に今回、四国大学、阿南高専の皆さん方が高等教育間をフィールドとして、また多くの青少年が集う青少年センターの新たな形として、しかも場所を駅前へ持って行ってくる。多くの皆さん方がアクセスしやすい場所にということになれば、自然にeスポーツ、これに親しみたいという人たちが、先ほどお話しがありましたね、香川県の皆さん方もJRに乗って、すぐおいでをいただくことができる、より多く、徳島だけではなく、四国、そして日本全域、世界、そうした形に広がっていくものと考えています。

(時事通信社)
 今、日本のeスポーツの競技人口は大体どれくらいいらっしゃるのか。

(細井専務理事)
 競技人口一つをみると、なかなか難しいんですけれども。今、例えば全国大会に出場している高校の数、タイトルによって違うんですが、1番大きい大会だと、1,700校。そのくらいの高校が入ってきています。
 よくこれ、サードウェーブの尾崎社長を我々eスポーツの兄貴と呼んでいるんですが、これキーワードになるんですが、eスポーツの兄貴なんですが、大体2,000校にいくと、柔道部の数に匹敵するらしいです。
 ですから、そこまでもうちょっとなんですね。そういう意味で言うと、かなりの数の高校生が入ってきているなと。ですから、それ掛ける大体3人から5人。阿南高専さんは10何人ですよね。そういう例外はあるんですけど、大体掛けるとそういうふうになってくるのかなという気がします。それはもう増え続けていますね。
 ですから、将来、私先ほど言い忘れたんですけど、全国大会の例えばベスト4だとかそういう人たちとアメリカの方のベスト4と戦えるようにマッチングできるような仕組みも考えていきます。

(幹事社)
 これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

(知事)
 それでは、よろしくお願いします。どうもありがとうございました。

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