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(徳島新聞社)
小見野々のダムの移転計画について。先日国交省の2020年度の概算要求の方で移設計画が盛り込まれた。現在地から下流に移設するという計画内容ですが、これについてはまずどのように受け止められていますか。
(知事)
まず背景というか、小見野々ダムが今ある、いわゆる那賀川。これは非常に高低差があって、でもその割には長さが短い。つまり急流。渇水と洪水を繰り返した、まさに、四国の暴れ川。徳島の場合には、四国三郎の異名を持つ日本的な暴れ川である吉野川。そして南にはこの四国の暴れ川である、那賀川。この両方の治水対策。非常に長年先人の皆さん方も苦労した。例えば、吉野川であれば、岩津から上流。吉野川全体としたら、中上流と言うんですけどね。ここをあえて、三好、美馬。このエリアには、堤防を作らせない。そしてここで氾濫原として溢れさせて、そして、岩津から下流を守ると、こうしたこともやってきた。でも今ではそういう話ではなくて、早明浦ダムも出来た。そして、利水といった観点では、池田ダムが出来て、そこから香川用水、香川は渇水を繰り返したんですね。こうした状況がある。でも、災害を受けるのは全部徳島。ということで早明浦ダムを触るにあたって、いわゆる岩津から上流の無堤地域が10、今、二つ直轄で工事をしてもらってますが、10年以内に残りの8箇所も全て着手をしてもらう。まさに美馬三好の皆さん方に長年この吉野川の、あえて国に氾濫原とされて治水対策で苦労、また多くの水害を甘受してきていただいたと。このお気持ちを察して、とにかく一日も早く無堤地区をなくし、そして美馬三好の水害を防いでいくと。こうした対策を今進めてもらっています。国と共にと。そこで問題はこの那賀川と。ここは、徳島の中にほぼ入っていますので、徳島として国と共にどうしていくのか。元々は、先般、角落としゲートができて、大規模に洪水、利水、こうした機能が高まったわけなんですが、こちらは、県営ダムとして作られたんですね。しかし、どんどんどんどん堆砂が進んでいくと、利水、あるいは、治水。そのそれぞれの機能が失われていく。このままではそう遠くなく長安口ダムは全部堆砂で埋もれてしまう。しかしなかなかこれ、堆砂を取る、難しいですよね。
そこで国に対してなんとかこの長安口ダムを直轄で管理してもらえないだろうかと。そして、ダム改造。そして、堆砂対策、恒久堆砂対策と我々は呼んで、政策提言しましたけどね。でも国のダム、国が作ったダムを県に払い下げる。これはまあ普通あることなんですけど、県で作ったダムを国が貰い受ける。これはほぼない話なんですよね。つまり、水が上から上流から下流に流れるになっても下流から上流へ遡る、っていうのはね、鯉の滝登りじゃありませんけどね。普通は無い。しかしこれも平成16年。三位一体改革でいわゆる河川局の補助金が全て一般財源化を知事会の中で会長以下が提言をした。しかしこれ、一般財源化っていうことになると、補助金がなくなって、税として、地方税として配られる。となると、当然人口の多いところに、東京とか、大阪とか、神奈川に行っちゃうと。しかしこれらのエリアっていうのはかなり水路にしても、洪水調整も出来上がってる。地方でこそ、災害が起こる訳ですから、これはやはり国が補助金なり、国としてお金をプールしといてもらって一気に投入をして、例えば、復旧復興する。でも同じ災害が来たらまたやれるので、今徳島では再度災害防止事業ってことで、同じ規模の災害が来た場合には二度とやられない。そうした形では、災害予防、これが必要だと。平成16年、私の方から提言をさせていただいて。最初は全国知事会では、災害復旧が常識なんでそれは聞けない、っていう話もかなりきつく言われたんですよね。ちょうど災いの年、台風が10。日本に最高に上陸して。特に九州の知事さん方が、それに賛成したい。国民の生命、財産を失ってから、莫大な税金で復旧したって何の意味も無い。その前に県民、国民の生命、財産守ろう。それで2,000億の河川局の補助金が全て残るとともに年を明けた17年、大規模な災害予防を冠した日本初の国の補正が作れたんですね。そういうことで、この災害予防概念というものを作って、そうした公共事業の財源を増やした。
そうしたこともあって、一つは飯尾川のあの加減堰。これも本来は、川っていうのは広げるのが、治水事業なのに、ここもあえて下流の徳島市の南北井上を守るために、ちょうど今フジグラン石井のところでね、狭めて、狭窄の部分を作って、溢れさせて、もっと言うとそこから上流の鴨島ね。今の吉野川市、ここも水害にさせて下流を守るという手法をかつて国は取った訳なんですよね。それだけ技術力が無かった。しかし、まずここで、角ノ瀬の排水機場。今は、飯尾川が直接、吉野川に流れてたものが鮎喰川に流すと。そこへポンプアップをする。そして、樋門を作る。しかも角ノ瀬の排水機場は四国最大、毎秒20トン。本当は40トンあると理論的には加減堰両方飛ばすことができる。しかし半分ということがあって右岸を飛ばしてますね。これによって、その後、ほぼ、あのフジグランの所では水害が起きない。今回の大きなあの台風の時にも大丈夫と。この角ノ瀬の排水機場がいきなり建設費として直轄で付いてますね。そしてもう一つが長安口ダムの国での直轄。これは少し時間がかかりましたけどね。これをやっていただいて、そしてダムを水を溜めながら、ダムサイトを切って角落としゲートにも、それから、洪水吐ゲート。これによって洪水、あるいは、治水の容量、非常治水、利水の容量が増した。もう一つは、恒久堆砂対策といった点についても、すでに工事が始まって。つまり坂州木頭川からの方がたくさん砂利が入ってくる、ということがあって、破砕帯があるんですね。もうすでに埋もれてしまったいわゆる砂防ダムである追立ダム。これもう砂防堰堤になってんだけど。これを掘り返してポケットにしてそこからベルトコンベアでトンネルで抜いてそして、長安口ダムの下流にこの砂利をどんどん流すと。この今恒久堆砂対策っていうかね。今は中長期の堆砂対策、国は言ってますけどね。これも今、工事が始まった。そうした中で国としては、これ全て世界初のこと。今あるダムをどう、維持していくのか。
そこでこの小見野々ダム、これは、四国電力が作ったダム。いわゆる発電のダムですよね。でもこれもほとんど埋もれてしまった。これは地元那賀町の皆さん、木頭の皆さん方が、なんとかこれ堆砂対策やってよって。でも四電もとてもとてもそんなお金ない。ということで何と国土交通省はそれを国のダムに一端引き上げて、そして改造しようと。もちろんこの小見野々ダムを長安口ダムのように水を溜めながら改良する手法であったり、あるいは恒久堆砂対策をやる。これも当然考えるわけなんですけどね。そうした中でやっぱり、選択肢として、下流域にもう一つ作るか、こうした手法も考える。我々として様々な、しかも、流域住民の皆さん方が納得していただけるような形で。そして那賀川全体の治水、利水。その効果を高めると。今でもかなり高まった。そして、平成26、27。大きな水害。これが那賀町の鷲敷土佐地区。さらには阿南の加茂谷、ここで起こった。これもいよいよ令和2年度中にはまさに再度災害防止事業として。加茂谷は国の直轄。そして鷲敷土佐。那賀町は県の補助事業として今急ピッチで行ってるわけですので、これらとも合わせて、この那賀川の治水利水安全度を飛躍的に高めると。いうことを進めていきたいと。こう考えていますので、決して今回の小見野々ダムだけということではなく、那賀川全体の治水利水といったものを考えて、これは国と共にやっていきたいと。このように考えています。
(徳島新聞社)
この計画についてですが、浸水被害への軽減が期待されるんですけども、一方で、周辺が水没であるとか、環境の変化も懸念される声もある。その辺は県としてどのように。
(知事)
これはまず、今回の事業で水没をするということがあるとは聞いてはいないんですよね。こうした点については、やはり、何度も国の方には、地元そのエリアの人達、何と言っても、かつては、細川内ダムの建設を巡って自殺者まで出すと。大変なことが起こったわけですんでね。やはり、そうした過去の歴史というものを国にしっかりと踏まえていただいて、しかし今回の事業、この小見野々ダムがどんどんどんどん意味が無くなってくるものをあえて逆に、意味のあるものにして、那賀川の治水、利水の安全度を高める。この大きな方向というのはおそらく、これは、那賀川流域の住民の皆さんにとっても、理解して頂ける方向だと、これだけの、水害を繰り返したんですからね。渇水も含めて。ですから後は、地域住民の皆さん方がしっかりと、それなら協力するよ、やろうよ共にと。こうなる方向で進めていただけばと。国の方には常々申し上げてることですけどね。
(幹事社)
他によろしいでしょうか。では、知事ありがとうございました。
(知事)
それでは、よろしくお願いします。