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平成31年4月22日 定例記者会見 フルテキスト版

平成31年度「徳島夏のエコスタイル」の実施について(説明)

(幹事社:司会)
 それでは、よろしくお願いします。

(知事)
 おはようございます。今日は、私の方から2点発表せていただきたいと思います。
 まず1番目は、平成31年度「徳島夏のエコスタイル」の実施についてであります。
 近年、世界各地で、これまでの経験が全く通用しない、異常気象や自然災害が頻発をしているところでありました。我が国でも、甚大な豪雨災害に相次いで見舞われるなど、気候変動対策は、まさに人類共通の喫緊かつ重要な課題となっているところであります。 
 本県では、全国に先駆けまして、地球温暖化に対する「緩和策」と「適応策」を車の両輪といたしまして、「脱炭素社会の実現」を目指す「すだちくん未来の地球条例」のもと、積極的な取組みを展開しているところであります。 
 今年の夏は、気象庁によれば「平年並みの暑さ」とのことでありまして、四国電力の「夏季電力需給見通し」でも、電力の安定供給が確保できる見通しとなっているところでありますが、気候変動対策を加速させていくためには、引き続き、県民の皆様方や事業所の皆様方の御理解・御協力のもと、「節電・省エネ」を推進する必要がありますことから、「5月から10月末まで」の間、「持続可能な社会の実現へ『エシカル消費』で前進!」をコンセプトといたしまして、「徳島夏のエコスタイル」を展開いたして参ります。 
 以下、少し具体的に内容に触れていきたいと思います。
 まず、冷房時の室温28度。不要時の照明・OA機器の電源オフ。エコドライブの推進や公共交通機関への乗り換えといった「エシカル消費」にもつながる、地球温暖化にやさしい、賢い選択「COOL CHOICE(クールチョイス)」等とも呼んでおりますが、県が率先することはもとより、各種イベントや講座などの開催を通じ、行政機関や事業所の皆様方にも呼びかけて参りたいと考えております。 
 また、今年度は6月に「G20大阪サミット」が開催され、その中で、「海洋プラスチックごみ対策」が大きなテーマとして議論される見通しでありますことや、本県を舞台に、9月には「G20消費者政策国際会合」が翌10月には、「食品ロス削減全国大会」が、本県で開催される非常に重要な年であることを踏まえまして、夏のエコスタイルにおきましても、エシカル消費を通じた食品ロス削減及びプラスチックごみ対策に重点を置き、食品ロス削減全国大会のプレイベントとして実施する各種啓発イベントや「食品ロス、プラスチックゴミ削減」に関する移動パネル展などを展開するとともに、「徳島県グリーン調達等推進方針」に基づく県における「使い捨てプラスチックの原則使用禁止」の徹底や、県主催の会議やイベント等における「マイボトル持参」の推奨による「ぺットボトルの使用抑制」等、積極的な取組みを推進いたして参ります。 
 こうした「徳島夏のエコスタイル」の展開を通じまして、「持続可能な社会の実現」に向けた、「ライフスタイルの転換」の全国のトップランナー徳島が、しっかりとリードをいたして参りたいと考えております。

「水害と土砂災害に関する防災情報」の提供について(説明)

 次に、「水害と土砂災害に関する防災情報の提供について」であります。
 昨年の「平成30年7月豪雨」は記憶に新しいところでありますが、近年、頻発化・激甚化する水害、そして土砂災害から、県民の皆様方の被害を未然に防ぐためには、情報提供の充実・強化が極めて重要であります。
 そこで、この度より分かりやすく、総合的に、「水害と土砂災害に関する防災情報」を提供するシステムを新たに構築し、5月8日水曜日午後1時から運用を開始する運びとなりました。
 少し、具体的に申し上げたいと思います。
 これまで、気象庁や県のサイトを切り替えながら収集しておりました警報や土砂災害警戒情報、河川水位や雨量等の防災情報を「1つのサイトで収集」できるとともに、各種情報の見える化を図ることといたします。 
(パネル「水害と土砂災害に関する防災情報」を掲示)
ということで、1枚のパネルにまとめさせていただきました。少し御覧いただきたいと思います。早め早めの避難につながる防災情報が一目でわかるシステムを、この度構築させていただいたものであります。ということで、説明に入っていきたいと思いますので、よろしいでしょうか。(パネルを置く)
 まずは、画面上で、雨量の分布に土砂災害危険度、または洪水浸水想定区域を連動させ、これまではバラバラだったものを並べて表示することができますので、刻々と変化する情報を比較することによって、「迫る災害リスク」の予測が可能となり、自らの判断によりまして「早め早めの避難」にお役立ていただけるものであります。 
 ということで、
(再度、パネル「水害と土砂災害に関する防災情報」を掲示)
ちょうどこの左側となります。(パネルを置く)
 また、洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域、避難場所や要配慮者の利用施設などを、水防・砂防情報マップに集約して御覧いただくことができますので、日頃からの地域の「災害リスク」を御確認しやすくなるとともに、地域の皆様方で「ハザードマップ」の作成や避難訓練に活用していただきまして、「地域防災力の強化」につなげていただけるものと考えるところであります。 
 ということで、
(再度、パネル「水害と土砂災害に関する防災情報」を掲示)
この災害リスクの見える化とこういう形になります。(パネルを置く)
 さらに、屋外にいる皆様方、あるいは土地勘のない旅行者、特に今はインバウンドということで海外の皆さん方も増えてきておりますので、こうした皆さん方に素早く、現地情報、つまり現在地の情報を御確認いただくことを可能とするため、スマートフォンにも対応することができるようにしておりまして、「水害に関する防災情報」では、河川水位、雨量、ダム情報を「洪水浸水想定区域」に重ねて見ることによりまして、これとともに鮎喰川など15河川の氾濫警戒情報等を御覧いただくことができます。 
 また、「土砂災害に関する防災情報」では、GPSを活用して現在位置における気象情報の発表状況や土砂災害危険度情報、周辺の雨量計や、河川水位計の観測情報等の防災情報を一覧で御覧いただくことができ、安全な避難行動にお役立ていただくことができると考えております。 
 それぞれ、「徳島県 水害」または「徳島県 土砂災害」と検索していただくことで、アクセス可能となりますので、是非、多くの皆様方に御利用をいただきたいと思います。
 また、御利用いただいた上で、こんな点もう少し変えた方がいいんじゃないかといった御提案も賜れば大変ありがたいなと考えております。
 なお、現在「道路の通行規制情報」と「水防情報」をあわせて提供いたしております「県土防災情報管理システム」につきましては、来年1月リニューアルに向け作業を進めているところでありまして、今回、先行して運用開始する防災情報と最終的には、統合した総合防災システムとして、改めてバージョンアップを行い、県民の皆様方のより一層の利便性、安全・安心の向上を図って参りたいと考えております。 
 私の方からは、以上2点です。よろしくお願いいたします。

(幹事社)
 発表事項について質問のある社はお願いします。

「水害と土砂災害に関する防災情報」の提供について(質疑)

(NHK)
 この水害と土砂災害に関する防災情報の提供についてなんですけども、去年の西日本豪雨を受けて国の方も先月ガイドラインを新たに設けて、五段階のレベル分けとかそういったことも今後されていく形になるかと思うんですけども、西日本豪雨では自治体の出す情報というのが、避難にスムーズにつながらなかった、住民の方々につながらなかったという教訓があって、それで国のレベル分けにもつながっていると思うんですけど。そういった意味で自治体が出す情報がなかなか住民の皆さんに伝わらない、届かないというところが、去年西日本豪雨でも課題となったところなんですけど、そう意味では、これがひとつのツールとなるのかなとは思うんですが、その辺りどのようにお考えでしょうか。

(知事)
 まさにおっしゃる通りで、昨年の西日本豪雨はもとよりのことを、昨年は6月から9月まで、まさに災害列島の一色となったところであります。それぞれに例えば地震への対応であるとか、あるいは台風そして風水害。こうしたものに対応すると、それぞれ少しずつ、対応の仕方が違うんです。ただ共通して言えることは今御質問をいただいたように、各市町村、あるいは、都道府県からの生の情報をいかにリアルタイムに伝えていくのか。ただここは、マスコミの皆さん方との情報連携が不可欠となるのです。 
 かつては、公共情報コモンズという言葉で、各市町村が持っている情報をどんどんアップして、これをマスコミの皆さん方に、報道してもらう。あるいは、配信をしてもらうということをやってきたのですが、名前が分かりづらいということで、Lアラートというような名前に変えるとともに、こうした形でマスコミの皆さん方も最初の頃は、それぞれを本当にこの情報が正しいんだろうか。というのをしっかり検証した上で出すべきじゃないかという御意見も非常に強かったわけでありますが、ここはあえて個別の名前を申し上げるところでありますが、NHK徳島放送局の皆さん方があえてこれをそうじゃない。やはり、最初の情報、生の情報をいかに早く打ち出していくのかが重要だということで、あえてこれまでの部分を押し切る形でやっていただいた。
 こうした点で、熊本地震のときにもこれが大きな課題になったんです。私も、全国大会の場でパネラーとして呼ばれまして、その席で実は、徳島ではこうしているんだということをお話をさせてただきました。
 そしてもう一つは、その情報を市町村の皆さん方は、全部パソコンで打ち込んで出していきますので、なかなか打ち込めない。その場合は、本県の場合には、必ず先遣隊を2名ずつ、各市町村の方へリエゾンとして送っておりまして、彼らが率先してそうした役割はもちろん、市町村の皆さん方が打ち込めるのであれば、それはそれで、お任せをするのですが、それがなかなか手一杯でできないという場合には、リエゾンがそれを代わって行う。
 こうすることによって、よりタイムリーに、そして、より正確な情報をマスコミの皆さんに提供し、マスコミの皆さん方がそれを速やかに出していく。 
こうしたお話をしたところ、ネット情報、あるいは、放送の関係者もずらっとそのときにいたのですけど、是非そうしたことを全国の取組みとして進めてもらいたいと。こうしたお話が、幕張メッセで行った大会のときにあったわけです。
 これからは、そうした意味で、今いかにそうした情報をタイムリーに出していくのか。もちろん、精度を高めるというのは重要な点なのですが、まずは一報を出していくということが大変重要だということで、今回はさらにその精度を高めるとともに、利便性を高める。スマートフォンで様々な情報を見ることができる。あるいは、それぞれ全部バラバラに一つ一つ、アクセスをしていたものを見える化ということで一枚の情報地図上で示すことができる。 しかもリアルタイムに。 
 こうした点が、今回の大きな特徴になるかと思います。 
 そして、スマートフォンの利活用といった点では、旅行者の皆さん方、あるいは外におられる皆さん方、テレビを見られる状況にない皆さん方にも、直接打ち込むことができる。ということで、我々として、そうした全国のモデルをどんどん打ち立てていきつつ、今度は、日本全体で技術開発にも繋げていくことができればと考えています。 
 というのは、特にスマートフォンに着目をしたのは来年から日本のスマートフォンが格段に変わるんです。つまりね5Gの時代となりました。これまでの多くの課題であった接続の問題であるとか、遅延の問題であるとか、輻輳(ふくそう)の問題が一気に解消する。つまり、スマートフォンが全く別次元のものになってくるということであれば、より、このスマートフォンに提供をいかにしていくのか。ここのところが大きなポイントとなりますので、その日本の先駆けを、まずは徳島から災害情報として、行っていければと考えています。

日本の世帯数の将来推計について(質疑)

(徳島新聞社)
 世帯数の将来推計が発表されまして、徳島県でいうと2040年に世帯数の減少幅が全国でも上位だということと、高齢者世帯数の中でも単身世帯が4万人近くを占めるという現状になると推計されているんですけども、それに対するまず受け止めをお願いします。

(知事)
 はい。これは日本が、まさに人口減少、そして、少子高齢化、その行き着く先。つまり、2040年の姿が人口推計ということで、今回発表になりました。今お話がありましたように、特に大きな課題となってまいりますのは、独居老人の皆さん方が格段に増えてくる。つまり、高齢者の単独世帯4割越えとするところが全国で増加し、徳島は今回まだ4割までには達しなかったんですが、39.9%となってくることでありました。そうした意味では、こうした独居老人対策ということ。言葉はこれから変わるようになってくると思うんですけどね。これをいかに行うのか。
 また、日本全体として大きな課題となるのはこの40%越えに東京都、つまり、大都市圏が入ってくるということなんです。今までは、この高齢者の皆さん方の独居老人という言葉がよく言われてきて、これは地方の問題だ。特に中山間地域が、過疎化とともに、限界集落だとした言葉で、いわゆる地方というところの集落がどんどん消滅するんだ、消滅集落と言われ続けてきて、そうした中に地方創生をしっかりしなければ。さらには、インバウンド対策と合わせてそうした中山間地域を、こうした高齢者の皆さん方に、まさにお守りをいただいている。これによって地域特有の食や文化が育まれてきている。これを次世代にどうつないでいくのか。日本の原風景を見たいという海外の皆さん方がものすごく多いんだ。そうしたいい点とこれからの課題を我々としては、解消を求め続けてきたんです。
 しかし、今回の人口推計では全く違う次元のものの姿が見えてきた。つまり、これまでは若い若いと言っていた、東京を中心とする千葉、神奈川、埼玉、いわゆる東京圏。あるいは、愛知県を中心とする中京圏。大阪を中心とする、特に近畿圏。大阪圏という言葉はあまり聞かないですけどね。あるいは福岡を中心とする北九州のエリア。こうしたところは若いんだ若いんだ。しかし、その筆頭である東京都が何と4割を超える。これは日本全体が逆に対応するのが、今の段階のいわゆる供給体制ということを考えると、不可能という言葉が見えてきてしまう。まさに未知の世界、これまでの経験則が全く活きない時代がここに来る。これをどうするんだろうか。
 平時においては、そうした高齢者の皆様方のケアをどうしていくか。いざ、発災となったときはもっと大変なことが起きます。我々の場合は、各地域、顔の見える関係ということで、どこにどういう高齢者の皆さん方がおられて、その方の健康状態がどういう状況なのか。歩行が可能なのか、車椅子なのか、あるいは、寝たきりなのか。こうした点がある程度、社協の皆さん方を中心に個人情報保護があるにも関わらずケアといった点ではできているのが、地方の強みだったんです。
 しかし、私も埼玉県の財政課長を平成7、8年にやってきましたが、当時から埼玉県も若いところだ。どちらかというと、若年者対策、あるいは、青壮年の皆さん方の対策が中心だったんですが、今一気に東京をはじめとする、東京圏が高齢化を迎える。また、独居老人対策ということになってくると平時に合わせて、災害時の情報が本当につかまえてるのかどうだろうか。
 恐らく、この夏の全国知事。富山県で行いますが、こうした点も大きな課題になってくるんではないのかな。もちろん、そうしたときに処方箋としては逆に我々、地方でこれまで取り組んできた高齢者対策。あるいは、独居老人対策、平時、災害時においてどうするのか。また、今は個人情報保護法という制度があるわけでありますので、そうした中でいかにケア体制を作っていくのか。地域包括ケアシステムが2025年問題の大きな解決の処方箋だと言ってるわけでありますが、その根底が大変な状況になってくる。
 つまり、需給バランスが大きく崩れる。大都市圏からということになりますので、これからは、まさに、日本の大きな課題になってくるんではないか。逆にそうした課題に対して、従来は課題先進県であった徳島をはじめとする、四国。また、地方というところが、課題解決を行う、課題解決先進県となり、逆に日本の大きな課題であるこの2040年問題。これに正面から処方箋を打ち出していく。まさにそうしたことが求められる時代になってきたんではないのかな。まさに未知の世界の羅針盤を地方からこそ作ることが、これからの地方創生の第2期としての進んでいく方向。また、その延長線上に日本創生が成り立っていくんではないか。というよりはそうしなければならない。こうした大きな課題が突きつけられた、今回の人口推計であったと考えています。

(徳島新聞社)
 これらの課題に対して、徳島県としてはどういうふうな目標なり、方針なりを立てていくというふうにお考えでしょうか。

(知事)
 まず、徳島としては、2020年に65歳以上人口。つまり、高齢者人口がピークを迎えるという意味では、全国よりも早く、高齢化が進むとともに、ピークを迎えてくる。少しこの辺りの幅ができるのかもしれませんけど。そうした意味では最初に処方箋を打ち出していくには絶好のポジショニングにある。もちろん、逆の見方をすると大きな危機が来るということにはなるわけですが。まさに、ピンチをチャンスにというのは、徳島のお家芸となっておりますし、さらには、2025年問題について地域包括ケアシステムの西日本の最初を走っているのが徳島ということでもありますので、これは県の医師会、県の看護協会をはじめとする地域包括ケアシステムをお支えいただく皆さん方としっかりと連携をするとともに、当然のことながら、市町村の皆様方とスクラムを組んでいく。こうしたことが当面の対応となってくるかと思います。
 そして次に、この2040年の像というものをしっかりと見据える中で、徳島、四国、あるいは、関西広域連合は当然のこととして、日本全体の課題をいかに解決をするのか。恐らく東京の皆さん方はこの数値を突きつけられて大変だ。確かに、オリンピック・パラリンピック、来年に控えるわけでありますが、この問題にどう対応するんだろうか。こうした点が大きな課題となっていると思いますので、我々としては、東京もまさに小池知事が言われるように地方だということ。これをしっかりと、サポートをしていく。まさに体制を全国知事会としても、組んでいかなければならないのではないか。そうした中で我々四国というのは、あるいは中四国というのが限界集落でも最先端と言われ続けてきたわけでありますが、しっかり、ここもスクラムを組む中で、そしてこの対策、対応というものを打ち出していくことができればと考えています。

本四架橋の経済効果について(質疑)

(徳島新聞社)
 本四架橋の経済効果について、お伺いしたいんですけども。先日、経済効果が発表されまして、31年間で41兆円という効果。昨年度については、四国4県で9,000億円。4県で単純計算すると2,250億円になるわけですけど、こういったところの実感というのと、こういった経済効果を今後、徳島県としてはどのように、また膨らませていくのか。そういった構想がもしあれば、お考えをお聞かせください。

(知事)
 まずは実感といった点では、夢の架橋ということでありましたが、やはり、その大きな課題となっていたのが、高すぎる料金ということで、平成の大関所によって例えば、コンビニであれば、「7」のマークのコンビニが一つも四国四県にない。また自動車の組立て工場。例えば、四国の対岸の広島にマツダの本社があり、大阪にはダイハツがあり、そして少し今度は北東側でありますけど愛知県にトヨタがあり。それだけの自動車、名だたる企業の本社があって、しかし、工場が四国をパッシングして、九州であるとか、あるいは東北。距離的なことを考えると四国よりもはるかに遠いところに生産拠点、組立て工場が林立をしている。
 これは明らかに距離は近いんだけど、経済距離は四国はものすごく遠いということを実証している。かつてから言われてきたんですが、その具体的な処方箋が何も出されなかった。そして、こうした点を言うと、必ず国の方から言われるのは、そらそうですよね、四国に3本も橋をかけるからですよ。これは当然その投資に対して、しっかり払っていかなければいけない、償還をしなければいけない。そのためには、高い償還、また高い料金は、やむを得ない。ずっと言われ続けてきたんです。
 しかし、それはおかしいだろう。よく国は高速道路はつながってこそと言うのに四国だけは別ですか。四国だけ関所を設けるんですかということになるわけですよ。そうした点で平成16年に徳島の方から国土交通省の皆さんに、決して四国の料金だけを安くしてくれとは言いませんよ。全国と共通にしてほしい。そして、関所をなくしてくれと。こうしたことを提案して。そして関西広域連合も作り、その議会の第一番目の議決案件といったものが、本四高速の全国共通料金となり、平成26年の4月1日から、完全ではないですけど、物流といった点では、まだ不満があるところですが、しかし、まず、形の上としては全国共通料金となった。「7」のマークのコンビニも四国四県、最初に徳島に入ってきましたけど。でも、まだ自動車の組立て工場は、四国4県どこにもないわけでして、まだまだ課題はある。物流の皆さん方、トラック協会をはじめ、そうとした皆さん方からはまだまだ課題があるんだとよくお話をお伺いしているところであります。
 しかし、そうした中、経済波及効果といったものが国から発表された。そうした意味ではこの本四高速の全国共通料金化、こうしたものも通行台数であるとか、結果として料金を下げるんだけどこれは改善なんですよね。いくら、高い料金をあげたとしても、国が想定をした通行台数を大きく下回ったことによって償還計画が崩壊をするということで、我々は追加出資を求められ、実際に払ったわけなんです。しかし、これも途中でもうやめてくれと。それよりも、全国一律にしてくれと。これが通ったということで、ここはギブアンドテイクということになったんですけどね。しかしそうすることによって、料金が落ちたけど通行台数が非常に増えたことによって結果としては、経済波及効果、あるいは償還にプラスということになる。
 これは、経済原則でありますので。限界効用というのも、よく経済学部の人は研究されるんですけど、そうしたことからすると、もっともっと早くやっても良かったんじゃないのかなと思うんですけどね。
 しかし、今、そうした形の中で新たな架橋時代がここに来てるんではないかと考えておりまして、後段の御質問である、こうした効果をどう広げていくのか。そのためにはやはり今回もG20が、日本で初めて開催される。こうした世界的な大会、あるいは、イベント、三大国際スポーツ大会が今年から3年連続でとこうしたものをいかに、四国に呼び込んでいくのか。徳島としては今年のG20サイド会議である消費者政策国際会合が9月の5、6日に行われる訳ですし、ラグビーのワールドカップ、強豪ジョージア。9月8日から16日まで鳴門で事前チームキャンプを行うと。来年は東京オリ・パラ、ドイツ。あるいはカンボジアの代表チームが。そして再来年は、ワールドマスターズゲームズ2021関西ということで、徳島がまさに競技地。軟式野球も決まりましたので、12競技種目が徳島で開催される。さらには2025年は大阪・関西万博。徳島は関西広域連合の一員として、これをいかに成功に導くのか。当然そのことは、その後の対応ですよね。
 つまりこうした、イベントを一過性に終わらしたんでは意味がないということですから、G20の消費者政策国際会合にしても、あるいは三大スポーツ大会にしても、あるいは、この大阪・関西万博にしてみても、その後をどうレガシーとして残していくのか。徳島が、あるいは、関西広域連合がと。こうしたものが、これからの大きなテーマとなってくる。また絶好の機会でもあるわけでありますので、そうした意味では今回のこの発表となった、本四効果、より本四高速を使いやすい体制にしていくにはどうするのか様々な実はインバウンドの皆さん方のワンパスですとかね、割引というのも徳島から提案をして中四国サミットで採択を頂いて、具現化されたところでもありますのでね。より多くの対策といったものをどんどん四国4県、あるいは対岸となる中国、あるいは、近畿。こうした皆さん方とスクラムを組んで、よりこの効果を高めていく。まさに、絶好の機会到来と考えています。

和牛の受精卵等の持ち出しについて(質疑)

(徳島新聞社)
 先般発生した和牛の受精卵と精液の持ち出されそうになった事件を受けて、今月下旬から関係者を対象にした説明会を開いていくと。内容として、法令の遵守であったり、流通管理の徹底を呼びかけるというような内容だと思うんですけれど。以前、知事の会見の中で農林水産省内に設けられている有識者会議の動向を注視していくということをおっしゃっていたかと思うんですけれども。説明会を開くっていうのは、一つの事件を受けての行動だと思うんですが、県として、何か、独自の枠組み、要綱であったりとか、そういった流通管理に関する何か規程というのを設ける予定があるのか。あるいは、単に、関係者にそういったものを呼びかけるだけなのか。その後のお考えをお伺いできたらと思います。

(知事)
 これはいわゆる遺伝子情報であったり、今回は牛ということでしたので、いわゆる動物ですよね。それ以外の、例えば、植物の情報。こうしたものをいかに知的財産としてしっかりと守っていくのか。海外流出をどう防いでいくのか。こうした点が大きな課題となった。
 かつてから日本はこの知的財産、こうした点について少し甘いんじゃないかと。意識は高いんですが、防御といった意味で、非常に甘い。場合によっては産業スパイ天国などということも、よく言われて。例えば、イチゴ。皆さん方も食べるイチゴ。どこに種があるのと子どもさん達によくいわれるんだけど、外側に付いてるブツブツだよという話がある。それをそのまま生で、出していきますよね。それは、栽培することが可能なわけで。例えば、「あまおう」という品種があって、非常に人気が高いわけなんですが、韓国に行ったり、中国に行ったらいくらでも、それをより改良した「あまおう」版が、「あまおう」2世3世、って言った方がいいのか。それはどんどん高い値段で売られている。日本から「あまおう」を持っていく。いやいや、日本の「あまおう」よりも中国の、韓国の、「あまおう」の方が美味しいから、いらないと言われる。これはよく言われる一例なのですけど。
 だからこうした遺伝子情報であるとか、いわゆる知的財産をどう保護していくのか、しっかりと考える必要が、今回の事件あるんではないか。ただ、今、御質問があったように、徳島として様々な実は、政策提言をすぐさま行いたいということはあったんですが、実は一点、少しそれに踏み込めなかった点がある。
 というのは、本県のブリーダーの方の所からこれが出て、そして逮捕という事件にまで発展をした。つまり、徳島県として、遵法精神と言ったものを、ブリーダーの皆さん方にしっかりと伝えてこなかったんじゃないか。このように、仮に、政策提言をしたときに国に、つまり、農林水産省の皆さんに言われてしまうと。はい、そうですねということになってしまうんですよね。
 そこで、まずは、対策としては持っていたんですが、国の有識者会議の対応。実は、有識者会議の中にもそうした問題意識が非常にあるところでありますので、それをしっかりと見守り、そして踏まえさせていただいた上で、我々が考えていた対応といったものをよりバージョンアップする形で、農林水産省の方に提言をしようとした準備で前回の会見のときには見守るということを申し上げたんですね。
 今、御質問いただきましたので、どんな点で考えてるんだといった点をあえて申し上げたいと思います。今回の点、例えば同じ遺伝子情報の中で、徳島が今や世界に誇る地鶏ナンバーワンの阿波尾鶏。かつては、名古屋コーチンとか、比内地鶏がナンバーワンブランドだったんです。しかし、本県から産んだこの阿波尾鶏が、彼らは出荷羽数が大体40万羽とか50万羽なんです。でも、徳島の阿波尾鶏は200万羽と桁が違うということで、日本でも地鶏といえば、阿波尾鶏。ナンバーワンブランドで、海外にも展開をしてるんですね。しかしこれも当然のことながら、卵という遺伝子情報があって、それをスッと改良されるということになると、より改良バージョンで新たな地鶏ができて上がってしまう。
 ということで、ここのところはしっかりと、これを守る。卵という状況でね、あまり言い過ぎると、徳島県の企業秘密をばらしちゃうことになるんで、そこまでにしときますけどね。
 そして、守ると同時に、トレーサビリティ。つまり、入口と出口をしっかりと監視をするということを徹底をしてきている。これは養鶏農家の皆さん方にも協力を頂いてるところなんです。しかし、今回の和牛の点については、このトレーサビリティ、ここが欠けていた。もしこれが、ちゃんとできていれば、直ちに分かった所なんです。摘発される前に。ということで、このトレーサビリティをいかに、和牛のその精子といった遺伝子情報を確保していくのか。鳴門わかめのときにもそのトレーサビリティの話があったわけですけど。ここが大きなポイントになってくる。
 しかも、こうしたものを海外に流出をどう防いでいくのか。ここのところもなかなか難しい。法律でただ単に定めることができるかできないかの一番のグレーゾーンのところという課題もありましてね。
 そうした意味もあって、我々として、今言った大きな点を政策提言しようと。すぐさま行こうと考えていたんですが、本県から出たということもあって、そこのところは慎重にさせていただき、有識者会議その流れをしっかりと見守った上で、さらに改良バージョンを提言できればと考えています。

徳島にとっての平成と令和について(質疑)

(徳島新聞社)
 平成最後の定例会見となりますのでその関連で、平成が徳島にとってどんな時代だったかというふうにお考えかというのと、令和をどういうふうな時代にしていきたいか。この2点をお伺いできますか。

(知事)
 やはりこの平成というのは、徳島にとっては、夢の架橋時代になり、やはり徳島が本州と地続きになる。こうした点を考えていくと、大きな夢の時代の幕開けだったんではないか。しかし、そうしたものの中で、課題も見えてきた。先ほどの御質問をいただいた本四架橋の高すぎる料金であるとか。あるいは全国に新幹線があれだけ走る。四国にも計画路線が2本も、縦軸と横軸があるにも関わらず。いまや、日本の本州以外の、北海道、九州、こうしたところにも、新幹線が走る中で四国だけが走っていない。私もかつて、自治省の役人のときに四全総というものを作り上げ、運輸省担当でありましたんで、その解説本を書かせていただいて、この四国の新幹線のことも熱き思いで書かせていただいたんですが。そうした一人として、やはり大きな夢とともに大きな課題も見えてきた。そして、今度、令和の時代となって、確かに日本全体が、人口減少、また災害列島という大きな課題。そして、これまでの経験則がなかなか活きない。活かすことが難しい時代が来るわけでありますが、逆にこうしたときにこそ、四国をはじめとする、四国。かつては大きな課題、過疎化。あるいは、高齢化、そして少子化、人口減少。また、限界集落、あらゆる日本の課題が最初に訪れる四国。多くの点で、苦難の歴史であったわけでありますが、しかし、これを最初に解決することによって、まさにその処方箋、日本のスタンダードを作り上げていく。私も知事就任のときから徳島が課題先進県から課題解決先進県を目指して、ピンチをチャンスに合言葉として、この処方箋を打ち出すことによって、徳島スタンダードが日本のスタンダード。つまり、日本の標準を徳島が作ることができる。こうしたことをずっと訴えかけ続けてきたところでありました。多くの処方箋を打ち出してきたことが日本の制度にも多くなっているところですけど。
 しかし今こそ日本全体が求めるこうした課題の解決。今までの経験では、全く難しい。先ほど御質問のあった2040年。独居高齢者の皆さん方が4割を超える。こうした考えられもしなかったことを逆に、これまでコツコツと対応してきた徳島から多く提言できる。まさに、徳島が課題解決先進県から未知の世界の羅針盤となっていく。そうした時代が令和の時代に訪れてくるんではないか。また、それを求められる時代だと思っています。
 そうした意味では、今年から始まっていく三大国際スポーツ大会。あるいは、G20。そして、大阪・関西万博も大きな奇貨とさせていただきました。そして、まさに、挙県一致体制によってこうしたもの、もちろん、徳島だけということでは難しいですから、関西広域連合であるとか、四国、あるいは、中四国、それぞれに知事会、サミットを持ってるわけでありますし、あるいは全国知事会、そうしたものの処方箋を打ち出していくのが、総合戦略・政権評価特別委員会の委員長を仰せつかってるところでありますし。今また、最初は、5名のチャーターメンバーでいった若手知事会も、今15の知事会となったところであります。この度の統一地方選で若い知事さん方が、また新たに誕生しておりました。こうしたところからもラブコールを頂いておりました。まさに次世代を担っていく。この知事会の名前が、日本創生のための、次世代の育成をしていく、そうした知事同盟であるということに標榜していることでもわかるように(日本創生のための将来世代応援知事同盟)、まさに、2040年問題を解決する。その処方箋をこうした様々な組織の皆さんとリンケージ、つまり、連携をとることによって対策を、徳島から発信することができれば。こうした令和の時代になってもらえればな。つまり、その延長線上に日本の明るい未来と、そして世界の恒久平和といったものを日本から打ち出すことができる。そのお支えの一つになっていければなと考えています。

(幹事社)
 ほかに質問ございませんでしょうか。では、知事ありがとうございました。

(知事)
 それでは、よろしくお願いします。

このページに関するお問い合わせ
徳島県 知事戦略公室
電話番号:088-621-2015
FAX番号:088-621-2820
メールアドレス:chijisenryakukoushitsu@pref.tokushima.lg.jp
 
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